転生者、兵器道を極める

山風狭霧

第5章 第2話

 昼頃にようやくハカラからの非難が為された。

 要約すると「宣戦布告による開戦の条文を破る形で攻撃した」、と。

 これに竜騎国家ラルドと帝国が便乗し批判。

 だが、これに対してガーランド領、つまり俺たちが「条文には7日目としかなく、時刻の制限がない」と応酬を加え、王国が追随。




 ハカラから水面下での停戦条約締結を図る接触が起き、急遽彼らは会議を開くこととなった。

 ハカラから停戦を申し出された。

 「このまま攻め落とすべきです」

 「だが既に敵の勢力はほとんどないのだぞ。無理に焦る必要は無い」

 「いいえ、敵は民間人さえ引っ張ってくるでしょう。ここはせめてサタルを落とすべきです」

 結局会議はどっちつかず。

 海軍は棄権、陸軍は慎重案をだすが空軍は積極案をだす。

 今回の作戦は司令官テオバルトから「こちら側に一切の犠牲者を出すな」と言われている。

 空軍としては早く手柄を上げたいのだろう。今のところ陸軍は召喚レベルが高いし、海軍は司令官のお気に入りだ。

 次またユニークスキルの召喚レベルを上げるならば一番割を食うのは自分達だからだ。(しかも海軍はぜラルダ島攻略において主演の座を約束されている…まぁ活躍するかどうかは彼ら次第だが)

 だが陸軍としては市街地の戦闘は死者が出やすい…悩み所だ。

 しかし今回の作戦にはおよそ関係しない海軍は会議の投票権を棄権…他に投票権があるのは司令官補佐2名自分とライリー、司令官のみだ。

 しかし棄権するのは海軍だけでは無い。ライリーと司令官は自ら棄権。

 つまり陸軍、空軍、司令官補佐1名のみでこれを決めるのだ…中々面倒くさいことを押し付けられたものだ。

 「ふむ…ここはこうしてはどうですか」



 
ー 12月4日午前12時より ガーランド領とハカラが休戦状態へ ー


 [ガーランド領 新領主は弱腰か]ー大陸新聞

 [ガーランド領 悪魔の力を借りたか]ー帝都新聞

 [ガーランド領 記者の取材に黙殺]ー自由情報組合新聞

[ガーランド領 その思惑は]ー王立新聞


 「ふむ、こうも差が出るものか」

 「ですね…まぁ王立新聞以外は帝国寄りの報道ですからねぇ」

 「やっぱりギルもそう思うか」

 「はい。帝都新聞においては完全な侮辱ですからね」

 「まぁいい。休戦はあと1ヶ月続くが、ハカラがどれだけ軍を再構築できるか、見物だな」

 「ワイバーン専用の基地は文字通り消滅、前線部隊は全滅、残っているのは上層部と治安部隊だけ、ですか。

  ラルドからの援軍はどうしますか?」

 「海軍を動かすぞ。ワイバーンと空母をぶつける。空母を召喚するしかない」

 「では、搭乗員の習熟度は如何にするおつもりですか」

 「前に召喚していたセントーとアルビオンから引っ張ってくるしかない。艦載機も先の航空支援の際の零戦がある」

 「随分と用意周到なことで…では、何隻召喚するのですか」

 「赤城と加賀、蒼龍の3隻だ。日本空母と英国空母は多少の違いがあるが仕方あるまい」

 「はいはい、分かりました…関係各所に連絡しておきますよ」

 「ありがとうなギル。召喚する場所は第8大型造船所だから先に行ってるぞ」

 「全く…」


 ー 今日も補佐官の有能な方は溜息をつきながら、仕事をこなすのであった。




 第6東南艦隊航空部隊

・航空母艦 3隻

【天城型巡洋戦艦改造航空母艦】
一番艦 赤城(CV-611)

【加賀型戦艦改造航空母艦】
一番艦 加賀(CV-612)

【蒼龍型航空母艦】
一番艦 蒼龍(CV-613)


・駆逐艦

【特Ⅲ型駆逐艦】
一番艦 暁(DD-611)
二番艦 響(DD-612)
三番艦 雷(DD-613)
四番艦 電(DD-614)

※艦番号は

艦種- 所属艦隊番号 所属戦隊 何番艦

例:特Ⅲ型駆逐艦一番艦暁

DD(駆逐艦)-(第)6(艦隊所属)、{(第6艦隊の)第}1(直衛艦隊)、(暁型駆逐艦)1(番艦)

ただしこの艦番号はクラス・型によって艦隊にそれぞれ全て分けられている為成立する。後々艦番号が変更されることは原則無い。

 つまり、陽炎型や秋月型等の同型艦が多い型も「その型全ての艦を同じ艦隊に入れる」から、この艦番号の付け方は成立する。

 また、赤城や加賀、蒼龍等、同じ部隊に違う級が入る時には、その型の一番最後の艦から次の型に+1される。(しかし、もし119から次の型に移行する際は120ではなく1110になる)

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