転生者、兵器道を極める

山風狭霧

第4章 第3話

ーポート共和国首都ゼブルー

 「機密文書を乗せた飛行艇が落ちただって!?」

 「はい、ディーネ基地発・ドールド基地着の予定でしたが…」

 「機密文書なぞどうでもよい!搭乗員は誰だ!?」

 「はっはい!搭乗していたのは海軍省長官スルク・ガレー及び兵器開発局長と技術者数名です!」

 「くそっ!」

 「まぁまぁ…声を荒らげずに…」

 「少しは落ち着いたらどうだね?」

 (こいつら…自分達の派閥じゃないからと…

 腐ってる…こんなので国が守れるのか?)

 「確か彼は君のお気に入りだったじゃないか。確認しに行ったらどうだね?」

 (ここで私も始末する気か…

 …何としても生き残るんだ。ここで死ぬわけにはいかん)





 「残骸1つ見つからんな…」

 「はい…

 あの、もしかしたらの話なのですが…」

 「なんだ?言ってくれ」

 「彼らは墜落していないのではないでしょうか」

 「馬鹿な…そんなこと出来るわけが…」

 「2時の方向!所属不明機が接近中!戦闘機です!」

 「なんだと!?特徴は!?」

 「フロートが…水上戦闘機です!」

 「迎撃しろ!何としてでも逃げるんだ!」

 ー機関銃がオーバーヒート寸前まで撃ち尽くされ、薬莢が機内に転がり落ちる。

 「敵が速すぎる!まずい、来るっ!」

 ー 機内に爆発音と大きな振動が走る

 「どこがやられたっ!?」

 「尾翼がやられました!操縦不能!水上に不時着します!」

 (くそっ…なんだったんだ、あの機体は…?)

 ー黒色のグラデーションで彩られた機体に、とてつもない機動性と運動性能。窓から一目見えただけでも惚れ惚れしてしまう程の、美しさと強かさ。

 (あんな機体が出てきたら…今の飛行機などは全て淘汰されてしまうな…)




 ー舞台は再び首都、ゼブルに戻る。

 「さてさて、あんたの上司さんは無事に首都から脱出したみたいだな」

 「じゃあ作戦決行、か」

 「なんだ?故郷でも寂しくなったか?」

 「いいや、そんなことは無いさ。行くぞ」

 「あいあい、了解しあしたー」




 [水上戦闘機 暗風]

 新型レシプロ水上戦闘機。黒で彩られた機体が特徴であり、比較的小柄。

 その機体規模と高機動性・高速度の為武装は貧弱で、爆弾や魚雷は搭載できず攻撃ヘリ用に開発された軽ロケット弾を転用している。機銃は30ミリ2基。

 その機体の運用目的は敵機迎撃が主であり、1機でも多く運用する為に機体が切り詰められ、装甲も薄くなっている。

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