転生者、兵器道を極める

山風狭霧

第3章 第4話

 「…起きた?」

 「…あぁ。ところで聞きたいことがあるんだが?」

 「…何?」

 「なんで俺はお前に膝枕をされているんだ?」

 白髪の彼女はキョトンとした顔を傾ける。

 「莇、寂しいから」

 「は?」

 「…私とあなたは、一緒」

 「もしかして、お前も…」

 「そう。転生者」

 何気なく放つその事実は、彼を大きく驚かせる。

 そして、長考。数分か、数十分かはたまた数十秒かもしれない。

 「…なぁ」

 「何?」

 「…仲間に、なって欲しい」

 「ふふっ…かわいい人。まぁ、その言葉を待っていたのだけれど。…膝枕されたままそんなことを言うなんてね」

 さっきとは打って変わった妖艶な雰囲気に少しばかり怯む。

 「ごめんなさい、素が出てしまって…二重人格みたい、ですか?」

 「いや、そうは思わないさ。…俺にだって表と裏の違いはある。それが大きいだけだろう?」

 「良かった…正直、気味悪がられるんじゃないかと思ってたの」

 彼女はその白い髪を揺らしながら安堵した様子で両手を合わせる。

 「…じゃあ、これからよろしく頼めるか?」

 「ええ、任せて」

 2人は握手をし、仲間となる。…彼女はその先に行こうとしているようだが。

 「…銃は使うか?」

 彼が自分の得物である銃を使うかどうか、彼女に聞く。

 「えぇ。ただ…使い方は教えて欲しいわ」

 「それなら簡単だ。銃は…これでいいか」

 《物質保存》から懐かしのMP7を取り出す。

 「まず、構えてみてくれ」

 「分かったわ」

 右手でグリップを握り、左手でフォアグリップを握る。

 「よし、握れたな。じゃあ次はマガジンとコッキングだ」

 「ここかしら?」

 マガジンリリースボタンを押し、落下するマガジンを掴み取る。

 「これがマガジンだ。上下逆にしないようにな」

 「失礼ね。前世で少しはこういうゲームをやったことはあるわ」

 「だから手慣れていたのか…すまなかった」

 「ええ。ところで…もう撃ってもいいかしら?」

 「…早いな」

 余りにも手慣れている。…まぁ、前世のことはあまり深く突っ込まない方が双方の為だ。

 銃声が響き、用意していた的にバスバス当たる…という訳では無い。さすがにゲームでは実銃と違いがある。

 「違う。力み過ぎだ」

 「えっと…こうかしら?」

 当たるのは的の下。狙うのが人間の胴体ならば上下どちらでも致命傷とはなるが。

 「まぁ、それは後々だな」




 「《デウス・エクス・マキナ》の能力って結局なんなんだ?」

 「うーん、説明が難しいのだけれども…『相手に接触した場合、相手の身体を操作できる』っていうのかな…?」

 「じゃあ、この空間はどういうことだ…?」

 そう、ここは簡単に言ってしまえば「現実と隔離された空間」。時間の進みがほぼ0なほど遅い。

 「それは、あなたの時空間魔法を使ったのよ。さっきのは嘘」

 あっさりと言い退けるが、それは簡単なことではない。

 そもそも魔法を扱うということ自体もそうだが。




 (…! 指揮官さんにいやな予感がするの!

 まさか…女の子?)

 独り寂しく指揮官補佐は悪い予感を感じ取るのだった。

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