転生者、兵器道を極める

山風狭霧

第3章 第3話 フリッカ

 班は1組5人。全部で100班ある。

 今回やるのは「ダンジョン攻略」。まぁ当たり前だわな。

 班員の中でアイギス持ちは俺を含めて2人。そして男2人、女3人。

 まぁ、最初は自己紹介か。

 「俺はテオバルト。よろしく頼む」

 「あぁ、よろしくね。僕はリューネイって言うんだ!気軽にリューって呼んで!」

 水色の髪に小柄な体。こいつは生憎アイギス持ちじゃない。…消去法でこいつは男か。

 「あたしはゼルブストラダー。ゼルでいい」

 明るめの赤茶色に中柄の女。こいつもアイギス持ちではない。

 「私はルル。よろしくね〜!」

 黒色の髪。だが転生者、という訳ではなさそうだ。

 「…自分はヴァニティ」

 髪は白色…というか色が抜けている?しかも彼女がアイギス持ちだ。どんな過去を背負っているのだろう。

 その後は順番に握手する。そして最後に─

 「ヴァニティ、よろしく頼む」

 そう言い握手しようとすると─

 「《デウス・エクス・マキナ》」

 3節のアイギス。それは最強を意味する。


 刹那、ジャラジャラと俺の体に鎖が巻き付けられる。


 そして…能力は『鎖』か?


 いや…違う。周りの時も止まっている…?


 体感時間も遅くなっているのか…?


 まずい、全く身動きが取れない…


 イグニスを出すか…いや、まだいい。


 相手の目的がわからない以上刺激するのは危険だ。



 「おい、何が目的だ」



 そう、問いかけるが返答はない。


 そして縛られた時からずっと何かが蠢く雰囲気を感じる…しかも胸の中で。


 この気持ち悪い感触には強烈な生理的嫌悪感を感じる。


 「あなた…寂しい人」


 「は?」


 「誰にも信頼や、期待などしていない…違う?」


 …何故、彼女は分かるのだろうか。


 「…へぇ。転生者なのね、あなた。道理でその歳に見合わない壮絶なモノが見れる訳だわ」


 「おまえは、何を」


 「私のアイギス、《デウス・エクス・マキナ》は…舞台…つまり空間を特定して、その中ではなんでも出来るの。

 …例えば、貴方の心を見たり、貴方の過去を見れたり」


 「なっ…」


 そんな能力は…卑怯だ。誰だろうと勝てっこない。


 「ふふっ…驚いた?


 …でもね、貴方は殺さないわ。気に入ったもの」


 「大丈夫、あなたは独りじゃない。安心して、眠って?」


 なんだ…急に眠気がっ…





























 「莇、ね…いい名前。

 大丈夫…私はあなたの味方。

 あなたの救いになってあげる。でしょ?《デウス・エクス・マキナ・『フリッカ』》…

 オーディンの力を持つあなたと、フリッカの力を持つ私達は…互いに救いになるの」

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