旧 ペットショップを異世界にて
冒険者登録
「エリスに魔法を教えてもらうと良い」
「良いんですか?」
「こんな可愛らしくて教えがいもある生徒が持てるなら、私としても光栄だわ」
ほのかがこの先どうするにしたって、使えるものは身につけておいて損はないだろう。
この世界で魔法使いを名乗れる冒険者は少ない。ほとんどの人間は魔法石の力を使って魔法を扱うが、自分の力だけで、制限を受けずに魔法を扱える物となると貴重だ。
魔法の扱いは人とエルフというだけで大きな差が生まれる。
自分の体内に流れる魔力の量がまず、エルフと人では大きな差がある。エルフは亜人だが、龍や精霊、悪魔など、物語で語られる生物たちに準ずる魔力を持っている。生まれながら魔法とともに育ったエルフは、その扱いも人間とは比べ物にならないほど優れている。
人族も魔法に支えられた生活を送っているものの、道具の補助なしで魔法を使えるのは全体の三割程度。道具よりも強力な、いわゆる“使い物になる”魔法の使い手はさらに少ない。この世界において魔法使いと呼ばれる人間は、冒険者をやっていてもなかなか見られない存在だ。
「ほのかを魔法使いとして登録してくる」
「いいの?まだ使えるかわからないわよ?」
「エリスが教えるんだ。もう使えてるようなもんだろう」
なんせ全く魔法適性のなかった上、扱いどころか魔法の概念すらおぼつかなかった俺を魔法を使えるようにしてくれたのがエリスだ。
エリス以上に優れた魔法使いも、師匠も、俺は知らない。
「ご期待に添えるように頑張らせてもらうわね」
「よろしくお願いします!」
エリスが鑑定して実力の保証もされている。これでうまくいかないなんてことは、あり得ないだろう。
「あと、もう面倒だしSランクにしてもらっておこうと思う」
「そうね。そのほうが何かと都合はいいかしら」
「えっと、そんな簡単に……?」
まあ、ほのかの視点でいえばそうか。
もちろんSランクの条件は本来そんな簡単なものではない。
「エルフに異常な魔力と魔法適性の高さを認められてるっていうのが、それだけのものだってことだ」
「どちらかと言えば、アツシが推薦するから通るという部分が大きいと思うのだけど……」
「アツシさんって、そんなにすごいんですか?」
「話してなかったの?」
「今日でこの子と会って2日目だし、わざわざ言う機会もなかったからな」
「何のことですか?」
エリスの意味ありげな言葉にほのかが不思議そうに首をかしげる。
「アツシはね。Sランクの冒険者の中でも、特別なの」
「特別?」
「そんな大層なもんじゃない。日本人とかテイマーとか、変わった要素が多いからギルドに目をつけられてるだけだ」
「やっぱりアツシさんはすごい人だったんですね!」
無垢なまなざしで見つめられると謎の罪悪感に苛まれる。本当にそんなに大したことはない。
「照れてるのかしら?」
「うるさい。それで、ギルドのランク付けはFからアルファベットをAまでさかのぼり、その上にSがある」
ほのかが小さく、「ここでも英語が?」とつぶやく。
魔物の名前にしてもギルドのシステムにしても、英語のような言語がつかわれている。ここに来た時から誰と話しても言葉は理解できるが、その仕組みはよくわかっていなかった。文字はアルファベットを利用したものになっている。さすがに読み書きは覚えたが、文法と話している言葉が一致している気はしない。
俺は個人的な考えで、この世界の言葉を見知ったものに変換するスキルがあるのではと考えていた。ほのかの登場でこの辺のことも突き詰めて考えていけるようになるだろう。
「私もSランクの冒険者だけど、今ここにいる中では私たちだけね」
「そんなにすごいところにいきなり……?」
ほのかが恐縮するのも無理はないが、今のこの様子を見て反発するものはいないだろう。
ほのかに大人しく撫でられ、甘える様子のハクは、それこそAランクの冒険者が束になっても勝てない。ハクをこれだけ手懐けているのだから、実力的にも問題はないと判断されるはずだ。
一人で戦えばBランクがいいところの俺が、Sランクになっているのだからそういう形でも認められるだろう。
「Sランクの冒険者にはギルドの信頼もあるから、ある程度の無茶は通っちゃうの」
「それ、なおさら私が突然なって良いんでしょうか……」
「もちろん信頼も何も、突然の話だから、全くアツシと同じというわけではないわ」
「そうですよね」
「依頼を受けるのにランク制限があるんだ。なんかあった時に一緒に動けないのは不便だからな」
それ以上の権限は勝手についてくるものであって、自動的に認められるものではない。
「そういうことでしたら……」
「俺が登録に行く間に、店を案内してやってくれないか?」
「構わないわ」
「その後飯にしよう。先に終わったほうが席を取っておく方向で」
「何から何まですみません」
ハクから離れ頭を下げるほのか。
「気にするな。この世界でのことは俺もエリスから教わったし、色々教えてもらうと良い」
「そうね。どうせならアツシの昔話もたくさんしましょうか」
「この依頼、報酬を出してるのは俺だというのを忘れるなよ?」
「まあその当たりのことは食事をしながらゆっくりと話していきましょう」
逃げるようにほのかを引き連れてエリスが離れた。
一抹の不安を覚えながらも、ほのかのことはエリスに任せ、リリアさんの下へ向かった。
「あ、どうでしたか?ホノカさんは」
「Sランクの魔法使いとして登録を」
「えっ。そんなにすごかったんですか?」
「エリスが魔力を測り切れなかった……。正直、特Sランクへの申請を出してもいいレベルだと思う」
「それは……」
特Sランク。
Sランクの中でもその力の有用性や実績が認められた者にのみ与えられる、ギルドの裏設定のようなものだ。
ランクは公表する義務はないが、必然的にSランク向けの依頼を受けていれば知れ渡ることになる。だが、この特ランクはその限りではない。
エリスの鑑定能力がギルド公認であることや、俺がこうしてリリアさんに無茶を言えるのもこのランクのおかげと言える部分が少なくはない。
「まあ、すぐにとは言わないけど、近いうちにそうなると思う」
「本当に、アツシさんの故郷ってどんなところなんですか……」
「鬼族が近い文化を持っているって聞いたことがあるけど」
「鬼ですか……伝説上の生き物ですね……。まあとにかく、ホノカさんのランクはS。これで登録させてもらいます。魔法使いで登録していいんですね?」
「ああ、パーティー勧誘とかは全部なしで」
「独占欲が強いんですね?」
「そういうのじゃない……」
「でも、あんな可愛い子なら少しくらいそういう気持ちも?」
この世界に来て5年、いろんなタイプの美人を見てきたが、やはりどこかで遠い存在だという認識を持っていた。エリスなどその典型例だ。
その点ほのかの可愛さは“現実味がある”。その一方で、学生服のイメージが強すぎる。この世界で罪に問われるようなことではないことは分かっていても、どうしても胸に芽生える罪悪感のようなものに攻め立てられる。可愛いなと眺めることはあっても、それ以上はない。
「ほのかより、リリアさんのほうが魅力的に見えるよ」
「えっ、急にどうしたんですか!今までそんなこと言ってくれたことなかったのに!」
誤魔化すために言った一言が思いのほかリリアさんをパニックに陥れていた。
まあ、手を出す気のないほのかに比べれば、リリアさんの方が魅力的に見えるのは確かだ。ファンクラブまであるしな、リリアさん。
「獣人族のアイドルとまで言われているんだから、よく言われるだろう」
「私みたいな容姿が人間の皆さんには珍しいからってだけですよね」
「いや、それだけ魅力があるってことだ。その辺の意識は亜人ならみんな共通してるんじゃなかったか?」
「それは……まあ私も可愛いとかもてはやされることはありましたけど、でも……」
いつもはからかわれるだけのリリアさんが照れていてかわいい。
ただ、これ以上やると周りの目が怖い。
「まあ、そういうわけで、ほのかのことは頼む」
「あの、アツシさん?」
「ん?」
まだ顔の赤いリリアさんの表情に少し来るものがある。
「良かったら今度……」
「今度?」
「いえ、お店に行かせてもらいますね」
「ああ、大歓迎だ……けど、獣人族からみてうちの店ってどうなんだ?」
「それは……相手によるんじゃないですかね?」
「まあそうか。受け取り方次第か」
「私はアツシさんになら飼われてもいいんですよ?」
「はいはい」
少し調子を取り戻したのか、いつもの表情でいつも通りにリリアさんにからかわれながら、ほのかの登録作業を終えた。
ーーー
「美味しいですね!」
ギルドの飯は美味い。
何を食っているのかいまいちわからないものもあるが、米もあるし肉は美味い。野菜は見たことない色や形のものもあったが、そこまで抵抗があるものはなかった。
「俺も料理覚えるか?」
「あら、随分献身的ね」
俺が一人で暮らしていく分には、腹が減ったらギルドに来るなり、近くの飯屋を利用すれば良かったが、ほのかを毎日食わしていくなら自分のところで採れた野菜を利用することも考えるべきだろう。
「私、向こうでは結構料理していましたが、こちらでも生かせますか?」
「ほんとか?」
この世界の料理は特に元の世界と変わらない。
日本のように機械や大量生産によってコストを抑えることができない世界において、自炊と外食の出費の差は大きくなる。
「なら、ひとまず、そういった日常で生かせそうな魔法を教えていきましょうかね」
「すぐに冒険者として活動することもないだろうしな、ほのかもそれでいいか?」
「はい!もちろんです!」
今後の方針を決め、食事を楽しんだ。
そうなるとこういったレシピも聞いておいた方がいいか。
「エリスは料理は?」
「たまにするわよ」
「意外だな……」
見た目が整い過ぎていて、どうにもこういった部分に欠点があるのではと疑うが、エリスにこれといった問題点は見当たらない。
「その辺も含めて、彼女には色々教えていけばいいかしら?」
「よろしく頼む」
魔法の習得より料理スキルの習得の方が、個人的な事情を踏まえればありがたい。
「私もそのほうがありがたいです」
ほのかも乗り気だし、お言葉に甘えるとしよう。
しばらくの稼ぎは午前中、ほのかが魔法を教わっている間に依頼を達成して間に合わせる。
さっきの登録の時についでにいくつか依頼も確認してきたし、エリスの報酬も含めてしばらくは冒険者としての活動していくとしよう。
「良いんですか?」
「こんな可愛らしくて教えがいもある生徒が持てるなら、私としても光栄だわ」
ほのかがこの先どうするにしたって、使えるものは身につけておいて損はないだろう。
この世界で魔法使いを名乗れる冒険者は少ない。ほとんどの人間は魔法石の力を使って魔法を扱うが、自分の力だけで、制限を受けずに魔法を扱える物となると貴重だ。
魔法の扱いは人とエルフというだけで大きな差が生まれる。
自分の体内に流れる魔力の量がまず、エルフと人では大きな差がある。エルフは亜人だが、龍や精霊、悪魔など、物語で語られる生物たちに準ずる魔力を持っている。生まれながら魔法とともに育ったエルフは、その扱いも人間とは比べ物にならないほど優れている。
人族も魔法に支えられた生活を送っているものの、道具の補助なしで魔法を使えるのは全体の三割程度。道具よりも強力な、いわゆる“使い物になる”魔法の使い手はさらに少ない。この世界において魔法使いと呼ばれる人間は、冒険者をやっていてもなかなか見られない存在だ。
「ほのかを魔法使いとして登録してくる」
「いいの?まだ使えるかわからないわよ?」
「エリスが教えるんだ。もう使えてるようなもんだろう」
なんせ全く魔法適性のなかった上、扱いどころか魔法の概念すらおぼつかなかった俺を魔法を使えるようにしてくれたのがエリスだ。
エリス以上に優れた魔法使いも、師匠も、俺は知らない。
「ご期待に添えるように頑張らせてもらうわね」
「よろしくお願いします!」
エリスが鑑定して実力の保証もされている。これでうまくいかないなんてことは、あり得ないだろう。
「あと、もう面倒だしSランクにしてもらっておこうと思う」
「そうね。そのほうが何かと都合はいいかしら」
「えっと、そんな簡単に……?」
まあ、ほのかの視点でいえばそうか。
もちろんSランクの条件は本来そんな簡単なものではない。
「エルフに異常な魔力と魔法適性の高さを認められてるっていうのが、それだけのものだってことだ」
「どちらかと言えば、アツシが推薦するから通るという部分が大きいと思うのだけど……」
「アツシさんって、そんなにすごいんですか?」
「話してなかったの?」
「今日でこの子と会って2日目だし、わざわざ言う機会もなかったからな」
「何のことですか?」
エリスの意味ありげな言葉にほのかが不思議そうに首をかしげる。
「アツシはね。Sランクの冒険者の中でも、特別なの」
「特別?」
「そんな大層なもんじゃない。日本人とかテイマーとか、変わった要素が多いからギルドに目をつけられてるだけだ」
「やっぱりアツシさんはすごい人だったんですね!」
無垢なまなざしで見つめられると謎の罪悪感に苛まれる。本当にそんなに大したことはない。
「照れてるのかしら?」
「うるさい。それで、ギルドのランク付けはFからアルファベットをAまでさかのぼり、その上にSがある」
ほのかが小さく、「ここでも英語が?」とつぶやく。
魔物の名前にしてもギルドのシステムにしても、英語のような言語がつかわれている。ここに来た時から誰と話しても言葉は理解できるが、その仕組みはよくわかっていなかった。文字はアルファベットを利用したものになっている。さすがに読み書きは覚えたが、文法と話している言葉が一致している気はしない。
俺は個人的な考えで、この世界の言葉を見知ったものに変換するスキルがあるのではと考えていた。ほのかの登場でこの辺のことも突き詰めて考えていけるようになるだろう。
「私もSランクの冒険者だけど、今ここにいる中では私たちだけね」
「そんなにすごいところにいきなり……?」
ほのかが恐縮するのも無理はないが、今のこの様子を見て反発するものはいないだろう。
ほのかに大人しく撫でられ、甘える様子のハクは、それこそAランクの冒険者が束になっても勝てない。ハクをこれだけ手懐けているのだから、実力的にも問題はないと判断されるはずだ。
一人で戦えばBランクがいいところの俺が、Sランクになっているのだからそういう形でも認められるだろう。
「Sランクの冒険者にはギルドの信頼もあるから、ある程度の無茶は通っちゃうの」
「それ、なおさら私が突然なって良いんでしょうか……」
「もちろん信頼も何も、突然の話だから、全くアツシと同じというわけではないわ」
「そうですよね」
「依頼を受けるのにランク制限があるんだ。なんかあった時に一緒に動けないのは不便だからな」
それ以上の権限は勝手についてくるものであって、自動的に認められるものではない。
「そういうことでしたら……」
「俺が登録に行く間に、店を案内してやってくれないか?」
「構わないわ」
「その後飯にしよう。先に終わったほうが席を取っておく方向で」
「何から何まですみません」
ハクから離れ頭を下げるほのか。
「気にするな。この世界でのことは俺もエリスから教わったし、色々教えてもらうと良い」
「そうね。どうせならアツシの昔話もたくさんしましょうか」
「この依頼、報酬を出してるのは俺だというのを忘れるなよ?」
「まあその当たりのことは食事をしながらゆっくりと話していきましょう」
逃げるようにほのかを引き連れてエリスが離れた。
一抹の不安を覚えながらも、ほのかのことはエリスに任せ、リリアさんの下へ向かった。
「あ、どうでしたか?ホノカさんは」
「Sランクの魔法使いとして登録を」
「えっ。そんなにすごかったんですか?」
「エリスが魔力を測り切れなかった……。正直、特Sランクへの申請を出してもいいレベルだと思う」
「それは……」
特Sランク。
Sランクの中でもその力の有用性や実績が認められた者にのみ与えられる、ギルドの裏設定のようなものだ。
ランクは公表する義務はないが、必然的にSランク向けの依頼を受けていれば知れ渡ることになる。だが、この特ランクはその限りではない。
エリスの鑑定能力がギルド公認であることや、俺がこうしてリリアさんに無茶を言えるのもこのランクのおかげと言える部分が少なくはない。
「まあ、すぐにとは言わないけど、近いうちにそうなると思う」
「本当に、アツシさんの故郷ってどんなところなんですか……」
「鬼族が近い文化を持っているって聞いたことがあるけど」
「鬼ですか……伝説上の生き物ですね……。まあとにかく、ホノカさんのランクはS。これで登録させてもらいます。魔法使いで登録していいんですね?」
「ああ、パーティー勧誘とかは全部なしで」
「独占欲が強いんですね?」
「そういうのじゃない……」
「でも、あんな可愛い子なら少しくらいそういう気持ちも?」
この世界に来て5年、いろんなタイプの美人を見てきたが、やはりどこかで遠い存在だという認識を持っていた。エリスなどその典型例だ。
その点ほのかの可愛さは“現実味がある”。その一方で、学生服のイメージが強すぎる。この世界で罪に問われるようなことではないことは分かっていても、どうしても胸に芽生える罪悪感のようなものに攻め立てられる。可愛いなと眺めることはあっても、それ以上はない。
「ほのかより、リリアさんのほうが魅力的に見えるよ」
「えっ、急にどうしたんですか!今までそんなこと言ってくれたことなかったのに!」
誤魔化すために言った一言が思いのほかリリアさんをパニックに陥れていた。
まあ、手を出す気のないほのかに比べれば、リリアさんの方が魅力的に見えるのは確かだ。ファンクラブまであるしな、リリアさん。
「獣人族のアイドルとまで言われているんだから、よく言われるだろう」
「私みたいな容姿が人間の皆さんには珍しいからってだけですよね」
「いや、それだけ魅力があるってことだ。その辺の意識は亜人ならみんな共通してるんじゃなかったか?」
「それは……まあ私も可愛いとかもてはやされることはありましたけど、でも……」
いつもはからかわれるだけのリリアさんが照れていてかわいい。
ただ、これ以上やると周りの目が怖い。
「まあ、そういうわけで、ほのかのことは頼む」
「あの、アツシさん?」
「ん?」
まだ顔の赤いリリアさんの表情に少し来るものがある。
「良かったら今度……」
「今度?」
「いえ、お店に行かせてもらいますね」
「ああ、大歓迎だ……けど、獣人族からみてうちの店ってどうなんだ?」
「それは……相手によるんじゃないですかね?」
「まあそうか。受け取り方次第か」
「私はアツシさんになら飼われてもいいんですよ?」
「はいはい」
少し調子を取り戻したのか、いつもの表情でいつも通りにリリアさんにからかわれながら、ほのかの登録作業を終えた。
ーーー
「美味しいですね!」
ギルドの飯は美味い。
何を食っているのかいまいちわからないものもあるが、米もあるし肉は美味い。野菜は見たことない色や形のものもあったが、そこまで抵抗があるものはなかった。
「俺も料理覚えるか?」
「あら、随分献身的ね」
俺が一人で暮らしていく分には、腹が減ったらギルドに来るなり、近くの飯屋を利用すれば良かったが、ほのかを毎日食わしていくなら自分のところで採れた野菜を利用することも考えるべきだろう。
「私、向こうでは結構料理していましたが、こちらでも生かせますか?」
「ほんとか?」
この世界の料理は特に元の世界と変わらない。
日本のように機械や大量生産によってコストを抑えることができない世界において、自炊と外食の出費の差は大きくなる。
「なら、ひとまず、そういった日常で生かせそうな魔法を教えていきましょうかね」
「すぐに冒険者として活動することもないだろうしな、ほのかもそれでいいか?」
「はい!もちろんです!」
今後の方針を決め、食事を楽しんだ。
そうなるとこういったレシピも聞いておいた方がいいか。
「エリスは料理は?」
「たまにするわよ」
「意外だな……」
見た目が整い過ぎていて、どうにもこういった部分に欠点があるのではと疑うが、エリスにこれといった問題点は見当たらない。
「その辺も含めて、彼女には色々教えていけばいいかしら?」
「よろしく頼む」
魔法の習得より料理スキルの習得の方が、個人的な事情を踏まえればありがたい。
「私もそのほうがありがたいです」
ほのかも乗り気だし、お言葉に甘えるとしよう。
しばらくの稼ぎは午前中、ほのかが魔法を教わっている間に依頼を達成して間に合わせる。
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