幼馴染の妹の家庭教師をはじめたら疎遠だった幼馴染が怖い 〜学年のアイドルが俺のことを好きだなんて絶対に信じられない〜
ひと段落
学校に名を轟かせる高西姉妹に絡まれた件については、翌週以降拍子抜けするほど騒ぎにならなかった。
俺みたいなモブとあの2人がいざ並んだのをみたら、変な勘ぐりは起きないくらいに差があることにみんなが気づいたとかだろうか。
それともテスト前でそれどころじゃなかったとか……。
という話を暁人にしたら、呆れながらこう答えられた。
「いや、お前……。だいぶ高西さんが騒動緩和に奔走してくれてたぞ」
「え? そうなのか?」
「お前ほんと……そんなんだからあの態度なんじゃないのか?」
「う……」
否定できない。
そのあたり、愛沙は案外気を回す部分はある……。いや案外ではないな、現に俺以外には常にそれだから、あれだけ人が集まるんだろう。
あの帰り道のときも、まなみをたしなめたのは俺をかばうためだったしな……。
「ちゃんと家庭教師の話を広めてくれてる。ご丁寧に親同士が仲がいいだけって付け加えてな」
「そうだったんだな……」
「アイドルが言うことだし、アイドルや勝利の女神にも悪い虫がついてるわけじゃないって話なら、みんなそれに乗っかって今に至るってわけだ」
今度家庭教師で行くとき愛沙に手土産くらいは渡そうと思った。
「あんたのためにしたんじゃない」くらいのことは言われそうだが。いやむしろ俺のためでなく変な噂が立つのは愛沙にとっても良くないという理由が大きいとは思うが。
それでもまぁ、助かったことには変わりはないからお礼はしよう。
「にしても、実際のところどうなんだ?」
「なにが?」
「なにが? じゃねえだろ。高西姉妹との仲とか、どっちを狙うのかとかだよ」
「どっちもないから安心しろ」
「じゃあ俺が手を出しても良いんだな?」
そう言われて少し考えた。暁人はモテる。愛沙たちのようなクラスの中心とは少し外れた独自路線を生きてるが、それがマイナスになることもない。
釣り合いとしても悪くないのではないだろうか?
「お前なんか、アホなこと考えてるな?」
「いや、いたって真面目に考えてるぞ」
「ダメだな、こりゃ」
そう言って自分の席にいつも通り突っ伏していった。
まあ後半の話はともかく、もうすこし愛沙のことを考える時間は増やさないといけないと考えるようになった。
「おい暁人」
「あ?」
「次は起きといたほうがいいだろ」
「んー? あぁ、テストか」
正確にはテスト返し。
うちは名前順ではなく教師が好き勝手呼ぶ。暁人はどの教師でも早めに呼ばれていた。
ちなみにこいつはこんな態度でもそれなりの点数を取る。基本的になんでも卒なくこなすタイプだった。
「あーそういや」
「ん?」
暁人がなにか思い出したようにこちらを向く。
「今回のテスト、俺らも勝負しないか?」
「なんでまた……」
「ちょっと付き合ってほしいことがあってな。いいだろ? お前今回高西さんとの勝負でいつもより自信あるんじゃないのか?」
「それは……まぁそうか。条件は?」
「5教科総合点。負けたほうが一個お願いを聞く」
「無茶な要求じゃなければいいぞ」
「よしきた」
元々の成績で暁人と俺はそこまで大きく開きがなかった。今回の自信を考えればまぁ、悪い話ではない。
それに何より、付き合ってほしいところくらいはいくらでも付き合う間柄だ。勝ったらなんか奢らせればいいし、負けてもそこまで、損はない。
そんなことよりまなみの結果と愛沙との勝負が気がかりでしょうがなかった。
俺みたいなモブとあの2人がいざ並んだのをみたら、変な勘ぐりは起きないくらいに差があることにみんなが気づいたとかだろうか。
それともテスト前でそれどころじゃなかったとか……。
という話を暁人にしたら、呆れながらこう答えられた。
「いや、お前……。だいぶ高西さんが騒動緩和に奔走してくれてたぞ」
「え? そうなのか?」
「お前ほんと……そんなんだからあの態度なんじゃないのか?」
「う……」
否定できない。
そのあたり、愛沙は案外気を回す部分はある……。いや案外ではないな、現に俺以外には常にそれだから、あれだけ人が集まるんだろう。
あの帰り道のときも、まなみをたしなめたのは俺をかばうためだったしな……。
「ちゃんと家庭教師の話を広めてくれてる。ご丁寧に親同士が仲がいいだけって付け加えてな」
「そうだったんだな……」
「アイドルが言うことだし、アイドルや勝利の女神にも悪い虫がついてるわけじゃないって話なら、みんなそれに乗っかって今に至るってわけだ」
今度家庭教師で行くとき愛沙に手土産くらいは渡そうと思った。
「あんたのためにしたんじゃない」くらいのことは言われそうだが。いやむしろ俺のためでなく変な噂が立つのは愛沙にとっても良くないという理由が大きいとは思うが。
それでもまぁ、助かったことには変わりはないからお礼はしよう。
「にしても、実際のところどうなんだ?」
「なにが?」
「なにが? じゃねえだろ。高西姉妹との仲とか、どっちを狙うのかとかだよ」
「どっちもないから安心しろ」
「じゃあ俺が手を出しても良いんだな?」
そう言われて少し考えた。暁人はモテる。愛沙たちのようなクラスの中心とは少し外れた独自路線を生きてるが、それがマイナスになることもない。
釣り合いとしても悪くないのではないだろうか?
「お前なんか、アホなこと考えてるな?」
「いや、いたって真面目に考えてるぞ」
「ダメだな、こりゃ」
そう言って自分の席にいつも通り突っ伏していった。
まあ後半の話はともかく、もうすこし愛沙のことを考える時間は増やさないといけないと考えるようになった。
「おい暁人」
「あ?」
「次は起きといたほうがいいだろ」
「んー? あぁ、テストか」
正確にはテスト返し。
うちは名前順ではなく教師が好き勝手呼ぶ。暁人はどの教師でも早めに呼ばれていた。
ちなみにこいつはこんな態度でもそれなりの点数を取る。基本的になんでも卒なくこなすタイプだった。
「あーそういや」
「ん?」
暁人がなにか思い出したようにこちらを向く。
「今回のテスト、俺らも勝負しないか?」
「なんでまた……」
「ちょっと付き合ってほしいことがあってな。いいだろ? お前今回高西さんとの勝負でいつもより自信あるんじゃないのか?」
「それは……まぁそうか。条件は?」
「5教科総合点。負けたほうが一個お願いを聞く」
「無茶な要求じゃなければいいぞ」
「よしきた」
元々の成績で暁人と俺はそこまで大きく開きがなかった。今回の自信を考えればまぁ、悪い話ではない。
それに何より、付き合ってほしいところくらいはいくらでも付き合う間柄だ。勝ったらなんか奢らせればいいし、負けてもそこまで、損はない。
そんなことよりまなみの結果と愛沙との勝負が気がかりでしょうがなかった。
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