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幼馴染の妹の家庭教師をはじめたら疎遠だった幼馴染が怖い 〜学年のアイドルが俺のことを好きだなんて絶対に信じられない〜

すかい@小説家になろう

アイドル強襲

「ちょっと!」
「え……?」


 高西愛沙はとにかく目立つ。
 一番の理由は人の目を引く容姿だ。別に髪色が派手とか、服装がおかしいとかそういうことじゃなく、なんというか、オーラが違う。


 で、その目立つ愛沙がこんな村人Aに話しかけると当然周りがざわめき立つわけだが、そんなこと御構い無しに続ける。


「まなみとの話を聞いたわ」
「あぁ……」


 どのことだろう?
 まあいい。なんか怖いし早く終わってほしいから、いちいち確認したくない。


「私とも何かするべきじゃない……?」
「高西とも……?」


 何の話だろうか。あ、まずい。なんかわからんけど機嫌を損ねた。目つきが3段階くらい険しくなった。怖すぎる。


「高西……?」
「えーと……」
「私の名前は?」


 怒ったのそこなのか?


「私の名前は???」


 机に手をかけてこちらに身を乗り出してくる愛沙。
 怖いです。言います。


「愛沙……」
「よろしい。で、まなみにはご褒美のようだけど、同じ条件だと可哀想よね」


 あぁ! まなみのってそのことだったのか!
 だとしたら同じ条件って……愛沙がめちゃくちゃ体調を崩したりしない限り俺は言うことを聞く羽目になる。理不尽だ。


「だからね、勝負にするわ」
「勝負……?」
「そう。私の1番低かった教科と、康貴の1番高かった教科で良いわ」
「それは……」


 いくらなんでも舐めすぎだと言いたいが、実際にはそんなこと言えない絶妙なラインだった。


「景品はまなみと同じで。わかった?」
「お、おう……」


 思わず頷いてしまったのは、またこちらに身を乗り出して目の前まで顔を寄せられたせいだ。免疫がないんだから勘弁してくれ。普通の女の子相手でもダメな距離に、愛沙みたいな美人が来たら誰だって何も言えなくなるだろう……。


「よろしい」


 有無も言わせない勢いそのまま、さっと身を翻して自分の席に戻っていった。
 あ、いい匂いがする。いやそんなこと言ってる場合じゃない。


「随分目立ったな、自称村人」


 ニヤニヤしながら暁人が話しかけてくる。


「うるせぇ」
「なんだかんだ言ってもやっぱ、かわいいもんなぁ、アイドル様は」


 自分でも顔が少し火照っているのを感じる。
 愛沙が可愛いことは否定はできない。ちょっとドキドキしたのも事実だった。


「で、何だったんだ? 今の」
「あー……何だったんだろうな?」


 予想できる展開としてはまなみが何か言って意地になった愛沙が絡んできたというパターン。これは昔からちょこちょこあるパターンだった。
 そうなった愛沙は普段の冷静さを忘れてムキになるところがある。今回みたいに。


「ま、これまではなぜかアイドルに目をつけられてただけのお前が、直接接点を持ったわけだ」


 周りの印象はそういうことになるだろう。


「俺としては別に、違和感のない組み合わせなんだけどな」
「バカ言うな。俺とあいつで釣り合うか」
「その言い方だとあれだな。お前は受け入れ体制ばっちりってわけか」


 失言の揚げ足を取られしまったと思うがもう遅い。
 顔が赤いことは、暁人にすでに見抜かれていたから。


「まぁいいじゃねえか。これを機にちょっとは話せよ」
「それはまぁ、良いんだけどな」


 ただなぁ。可愛いのは確かだし、昔からの付き合いもある。
 それでも、今の様子は正直、物理的に怖い。睨みを聞かせる愛沙の眼力は年々上がっているし、最近はより一層厳しくなっている。


 今回の件、条件は要するに、勝ったほうが負けた方に何でも言うことを聞かせるというものだ。勢いそのままに頷かされたが、あの相当のハンデがあってなお、勝算は50%もない。
 何かしら従わせたいことがあって挑んできたのだとすれば、警戒しておいたほうがいい。


「例えばだけど、まなみの家庭教師から引きずり下ろすってこともありうるな……」
「それはお前……ネガティブが過ぎるだろ……」


 自分でもそう思うがここ数年の付き合いだけを考えるとまぁ、ありえない話ではないなと思ってしまう。
 そして何より、ポジティブに考えるのはその予想が外れたときのショックが怖い。特に自分の気持ちが少しずつ意識されてきている今、それを考えるのは少し、色んな意味で怖かった。

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