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幼馴染の妹の家庭教師をはじめたら疎遠だった幼馴染が怖い 〜学年のアイドルが俺のことを好きだなんて絶対に信じられない〜

すかい@小説家になろう

まなみの約束

 愛沙が部屋を出てすぐ、まなみと目を合わせる。


「なぁまなみ」
「ん〜? お姉ちゃんが機嫌がいい理由?」


 膝の上で仰向けになり、お見通しと言わんばかりの表情でこちらを見上げてくる。


「心当たりはあるんじゃないのー?」


 心当たりというか、変化のきっかけなど名前を呼んだあれしかない。


「ずっと寂しかったんだよ。お姉ちゃんも」
「そんなことは……」


 ないだろ? あの愛沙だぞ……?


「わかってるんでしょ? 康貴にぃも」


 じっと見上げてくるまなみの表情は、いつものあどけなさが抜けて、どこか儚いほど真剣だった。


「お姉ちゃんのことは、家族以外では康貴にぃが一番見てきたんだから」
「そうか……?」


 そう言われれば、そう……なのかもしれない。
 ただ……いや、今となってはもう遠い存在としか思っていなかったけど、もしかしたら愛沙もあまり変わっていないところがあったと、そういうことなのだろうか。


 考え込もうとしたところでまなみが膝から飛び起きてきた。


「さて! お姉ちゃんがいないうちにやりたいことがあるんだった!」


 さっきまでの神妙な表情はどこへいったのか。一瞬でいつもの明るい表情に戻ったまなみが声をかけてくる。


「なにするんだ?」
「ん。康貴にぃと約束!」
「約束?」


 何故か正座をして、目をキラキラさせながらこちらをまっすぐ見据えるまなみ。
 元の可愛さとさっきまでのギャップですこしドキッとさせられる。


「次のテストでね、私が頑張ったらご褒美がほしいんです」
「いいぞ」
「軽いっ! まだ内容も言ってないのに!」


 結果はともかく頑張りは一番近くで見ているわけだ。元々そのつもりだった。
 ケーキとか買ってきてやれば喜ぶだろうなと思っていた。


「じゃあ! 私が30番以内に入ったら康貴にぃは私の言うことを何でもきいてください!」
「30番かぁ……」


 もうちょっと現実的な数字の方が、ショックを受けないで済むような気はする。


「ちょっと! やる前からその顔はやめて!」
「ごめんごめん。でもいいのか? 30番で」
「むしろおにぃは、何でも言うこと聞くってところにツッコまないでいいの?」


 それはまぁ、どうせまなみはケーキとかでいいはずだから。


「なんか失礼なこと考えてる気がする」
「ま、約束はするよ」
「ほんとっ? よしっ、よしっ!」


 何故か俺に背を向けてから小さくガッツポーズをしている。隠れたんだとしたら丸見えすぎる。


「じゃあ、約束!」
「懐かしいな、これ」


 改めてこちらを向いて正座したまなみが小指をこちらへ向ける。
 差し出された小さな小指に、自分のふた周りほど大きい小指を絡める。


「ゆーびきーりげーんまーんうーそつーいたーら康貴にぃの恥ずかしい秘密を学校中にばらまく」
「待った」
「指切った!」


 リズム無視のめちゃくちゃな約束に抗議するが問答無用で指を切られてしまった。


「じゃ、結果を楽しみにしてて!」


 そう言ってまなみは定位置に戻っていく。
 タイミングを見透かしたかのように愛沙が部屋に来たので、勉強会は一旦休憩ということになった。


 満面の笑みのまなみと、柔らかく微笑む愛沙。改めて見ると、場違いな気がして緊張するほど、2人とも可愛く、綺麗に成長していた。


 暁人の言葉を思い出す。


『高西姉妹の家に合法的に通えるなんてお前、その辺の男連中からしたら宝くじが当たるより嬉しいぞ』


 その男たちの気持ちが少し、理解できた気がした。

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