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幼馴染の妹の家庭教師をはじめたら疎遠だった幼馴染が怖い 〜学年のアイドルが俺のことを好きだなんて絶対に信じられない〜

すかい@小説家になろう

愛沙の想い

 高西愛沙たかにしあいさは戸惑っていた。


「なんであいつがうちに……」


 バクバクする心臓の音が、隠しきれない。


「今の今までぜんっぜん話もしなかったのに……!」


 突然来るなんて不意打ちが過ぎる! お母さんもまなみもこうなることをわかってて黙ってた……。絶対。
 なんかニヤニヤしてたし。


「うぅー! モヤモヤする!」


 いつものくまのぬいぐるみを八つ当たりするようにぎゅっと抱いてベッドに転がる。


 康貴のことを考えれば考えるほどムカムカしてくる。
 今だってきっと、隣の部屋でまなみとベタベタしているに違いない。私とは目があっても一声もかけてくれなかったくせに、まなみには抱きつくことまで許している。
 私には一声もかけてくれなかったくせに!


「いつからこうなったのかなぁ……」


 もともと康貴は私だけのものだったはずだ。
 それがいつの間にか、まなみも一緒に遊ぶようになって、気づけばまなみに全部持っていかれた。
 いや、それは多分私の思い込みで、実際はそんなことはなかったんだと思う。それでも、なんか取られちゃった気がしてもやもやして、それが未だに残ってるんだ。


「私のせい、なのかなぁ」


 康貴は優しいから私に声をかけてくれてたけれど、私が意地を張って突っぱねたことも多かったかもしれない。気がする。そうじゃないと思いたい。いや認めよう、そんな気がする……。


「はぁ……」


 いや、でも結局あいつは最近私のことを避け始めた! せっかくまなみと学年が違うから、ちょっと、1年だけでも、私だけのものになると思ったのに……。


 まぁ、私も悪かったことがあるとすれば、あいつが話しかけてきたときに緊張して表情が固くなるくらい。だと思う。あとはそんな、特に悪い態度は取ったつもりはない。
 ないよね? 多分ない。


「やっぱクラスも一緒なのに、あいつがそっけないのはだめだと思うんだよね」


 もう随分くたびれたくまのぬいぐるみに話しかける。


 もちろん自分でもわかっていた。自分のせいでこの状況になっていることは。
 でもそれを認めたら、何か全部がだめになる気がして、結局家にまできたあいつに声すらかけられずにいるというわけだ。


「もうちょっとなぁ……。まなみみたいに、素直になれればなぁ」


 自分の性格は自分が一番良くわかっている。それが叶いもしない願いだということは重々承知だ。
 でもその上で、もしそれができたら、あいつは私にちゃんと振り向いてくれるんだろうか……?


「あいつ以外に好かれたって、意味がないのに……」


 康貴をまなみに取られたと感じてから私は、ずっとあいつに振り向いてもらえるように努力をしてきたつもりだ。そのおかげかどうか、最近はほんとによく声もかけられるようになった。康貴以外の男に。


「もしかして、好みじゃない……?」


 そんなことはない。あいつのことは誰よりも見てきたんだ。
 一生懸命スタイルを良くしてきたし、髪型もあいつの好みのはず……! 顔はどうしようもないけど、あいつが嫌いな顔ではない……はずだ。
 なのに……。


「はぁ……」


 こうしてる間にも、まなみは楽しく康貴を独り占めしてるんだろう。
 そう思うとムカムカしてくる。あいつはきっとまなみにくっつかれて鼻の下を伸ばしてるに違いない。
 まなみもまなみで、見せつけるように抱きついてた。ちょっと多分、わざとおっぱいを当てて誘惑したりしてるかもしれない。


「おっぱいなら、私のほうがあるもん……」


 そんな届きもしない思いをクマにだけぶつけて、いつものように抱きしめてベッドに転がる。


「いいなぁ……まなみ」


 今となっては数少ない、“あいつ”からのプレゼントだった。



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