転移した先はみんなとは別の場所だった!?(仮)

ちぃびぃ

夢と転移

僕は夢を見ていた。自分が体験するのではなく、自分を自分が客観的に見るというような不思議な夢だ。

僕は草原に立っている。見渡す限りは平面の草原だ。空では太陽ではなく、三日月が輝いていて、周辺を照らしていた。

夢の中の僕はずっと突っ立ったままだ。瞬き一つせず、ずっと遠くを見つめている。それを僕が見ているという何度考えても不思議な感覚だった。

どこからか声が聞こえた。ずっと突っ立っていた僕が振り向こうとする。

「っ、またかぁ……」

この夢は何度か見たが、夢の中の僕が振り向こうとするといつも目が覚める。

「どうせ夢だから気にしない気にしない」

いつも通りの朝。朝ごはん食べて、着替えて、学校に行く。教室に着くと山野くんがちょっかいをかけてきた。

「よお、クズ」

「・・・・・」

僕はそれを無視して自分の席に向かう。

「待てって」

山野くんは回り込んで僕の道を塞ぐ。

「なに?」

「昨日話せなかったからな。今日こそはツラ貸せや」

今日は逃がさないみたいな雰囲気がでている。今日は亜弥は助けてくれない。何故なら一ノ瀬くんと話しているからだ。あっちはあっちで困ってそうだけど。

「席に着いてー」

先生が教室に入ってきた。時計を見るとHRが始まる時間だった。

「ちっ、運の良い奴」

山野くんは舌打ちをしながら自分の席に戻っていった。

(はぁ、助かった)

そう思い先生のほうを見ると目が合った。なぜか先生はすぐに目を逸らしてしまった。ちなみに先生の名前は宮本燐みやもとりんである。見た目はキリッとしていてスラリとしたモデル体型であるが恥ずかしがり屋で弄られると子供っぽくなるのでクラスではよく弄られている。愛称は燐ちゃん。
この時僕はいつもの静かな日々が始まると思っていたが一瞬で壊された。

突然目の前が眩しくなったのだ。僕は目を閉じ、数歩下がった。

●●●

ここはとある地下室。その床には全体が100mもある巨大な魔法陣が描かれていた。

「……これであとは、唱えるだけ」

ローブを被った少女がそう呟く。呪文を唱えようとすると後ろが騒がしくなった。

「おい、貴様何者だ!」

「その男を止めろ!あの方に近づけさせるな!」

どうやら侵入者が現れたみたいだ。だが、こちらの護衛は五人いるのですぐ捕まるだろう。案の定すぐに捕まった。捕まえられた男は不吉な笑みを浮かべるといきなり男の身体が白く光った。

「これは自爆魔法!?」

「まずいぞ!あの方を逃がせ!!」

呪文を唱えてた少女の腕が誰かに掴まれる。

「待って!もう少しなの!」

「だめです!あなたの命が優先です!!」

(もう少しなのに……)

あと少しで完成するというのに正体不明な男が自分の命と引き換えに壊そうとしてくる。

「!、この方法なら……っ」

少女は呪文を省略して唱えた。魔法陣が辺り一帯を埋め尽くすような光を放ったと同時に正体不明の男の自爆魔法が完成した。ドォンっと大きな爆発音が響いた。

●●●

「ここはどこ?」

あの眩しい光によって目を閉じた劉。

目を開けた瞬間、劉の目の前には果てしなく続く草原があった。



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