白の血族

九条一

第一章(33)

 ――翌日。

「……お母さん、無垢人だったんだ……」
 母さんの遺影を見た綺華が、予想通りの反応を示した。やはり綺華も覚えていなかったようだ。
「――ママに似てるね」
 杏奈がそうつぶやいた。やはり実の娘から見ても似ているらしい。
「あっ、そういえばあの写真に似てるような」
「そっくりだよな。……オヤジは榊家と神代家は遠縁の親戚なんじゃないか、って推論を立ててたな。根拠もいくつか記されてた」
「じゃ、じゃあ、統詞くんと千梨さんはもともと親戚だったってこと?」
「そうかもな。まあでも、かなり遠いさ。なんせ千梨は四百歳以上って話だからな」
 そう話しながら、持ってきたライターで二本のロウソクに火を灯す。その後ロウソクから線香に火を点け真ん中に立てた。
「さあ、一応拝んでおこうぜ」
 そう言いながらしゃがんで手を合わせる。綺華、杏奈もそれぞれ手を合わせた。

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