白の血族

九条一

第一章(22)

 ホコリまみれになったので、着替えてからダイニングルームに行く。榊家は古い家なので、残念ながらお風呂にシャワーは設置されていない。
「……ハンバーグか。わざわざミンチからこねたのかな……」
 ハンバーグをレンジで温めてから千切りキャベツを乗せる。味噌汁、ご飯をよそってから座布団に腰を下ろした。
 
 オヤジは進路などの重要案件以外は全くかかわらなかったため、オレたち兄妹は小さい頃からほぼ二人で生活してきた。家事は共同作業であり、二人ともある程度のことは当たり前のようにできるようになっている。
 三年ほど前に麗子さんがこの町に引っ越してきてからというもの、オヤジは重要案件すら麗子さんに押し付け、より一層家に戻らなくなってしまった。
 ――佐々木麗子(ささき れいこ)。オヤジの年の離れた妹で、保健医として富士原学園に勤務している。ここから徒歩二十分ほどのマンションに一人暮らしをしており、何かあったときは最も頼れる存在と言っていい。
 ちなみにそのマンションは榊家の所有物であり、麗子さんは管理人の仕事も請け負ってたりする。

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