白の血族
第一章(19)
――母さん?! これは母さんの写真だ! な、なんで忘れてたんだ、母さんは白髪だった。三歳の頃に死んで以来写真すら見たことはなかったので、顔もおぼろげにしか覚えていない。でも、白髪だったことすら忘れていたとは……。
……もしかして、千梨に惹かれたのは、無意識に母さんの面影を追っていたからなのか? いや、オレは決して外見だけに惹かれたわけじゃないはずだ。
……やめよう。答えは出ないし、第一無意味だ。
ランタンで照らしてみると、ロウソク台と線香立てが設置されていた。ロウソクは最近使われた形跡があり、なおかつ長いままだ。火を点けて数分で消した、ということか。
……オヤジ、昨晩ここで線香をあげたんだな。
嬉しいのか悲しいのか、よくわからない感情に襲われてしまった。
榊家の墓は裏山に存在している。かなり立派な墓であり、墓石の裏には先祖の名前がずらりと刻まれている。もちろん母さんの名前もあった。
おそらくオヤジはその墓だけではイヤだったのだろう。
火を持ち合わせてないのでロウソクと線香は一旦諦める。ランタンを台の上に置き、そのまま手を合わせて目を閉じた。久しぶりに像が結ばれた母親の顔を想うと、自然と千梨の顔が目に浮かんでくる。その顔は……少し困った表情をしていた。
……もしかして、千梨に惹かれたのは、無意識に母さんの面影を追っていたからなのか? いや、オレは決して外見だけに惹かれたわけじゃないはずだ。
……やめよう。答えは出ないし、第一無意味だ。
ランタンで照らしてみると、ロウソク台と線香立てが設置されていた。ロウソクは最近使われた形跡があり、なおかつ長いままだ。火を点けて数分で消した、ということか。
……オヤジ、昨晩ここで線香をあげたんだな。
嬉しいのか悲しいのか、よくわからない感情に襲われてしまった。
榊家の墓は裏山に存在している。かなり立派な墓であり、墓石の裏には先祖の名前がずらりと刻まれている。もちろん母さんの名前もあった。
おそらくオヤジはその墓だけではイヤだったのだろう。
火を持ち合わせてないのでロウソクと線香は一旦諦める。ランタンを台の上に置き、そのまま手を合わせて目を閉じた。久しぶりに像が結ばれた母親の顔を想うと、自然と千梨の顔が目に浮かんでくる。その顔は……少し困った表情をしていた。
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