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夢と現実と狭間の案内人 [社会不適応者として生きるということ⋯⋯]

巴崎サキ

* 目が覚めて ②

 ヒュンッ!!





 突然、耳元を何かが通過したような風切り音がする。


 その瞬間⋯⋯

 ピシッッ!! ピシピシッッ!!



「キャッ!!」


 手に持っていた写真立てのガラスが割れ、私の回りに激しく破片が飛び散る。


「えっ?!
ビ⋯⋯ビー⋯⋯⋯玉??」


 写真立てには、一円玉程の大きさのビー玉がり込んでいた。

 ちょうど、写真の中の私の顔面を直撃し、もはや誰が写っていたのか見る陰もない。


「⋯⋯っ?!」


 反射的に後ろを振り向くが、そこには見慣れた自分の寝室が淡い光に照らされ薄暗く広がるばかり。


 当然、誰もいるわけはなかった。



「えっ⋯⋯ちょっと⋯⋯なに??
ど⋯⋯どういうこと??」


 瞳孔が一気に開いてくるのがわかる。

 自分の心音が耳に大きく響き始めた。

 困惑する私。

 割れた写真立てを持つ両手がカタカタと震える。


 もはや、眠気など吹き飛んでいた。


 
 寝ぼけて幻覚を見ているなどということは、目の前に散らばる破片、そしてなにより手中にある写真立てが否定する。



「⋯⋯だ⋯⋯誰か⋯⋯いるの??」


 私は、小さな声でそう言いながらベッドから音を立てないようにゆ~っくり、そ~っと起き上がる。



 いないのはわかっていた。



 だが、不安、恐怖を紛らわす為にも私は薄い闇に向かって声を小さく絞りだす。



「⋯⋯ねぇ。
おねがい。
イタズラならやめてよぉ」



 箪笥を背にピッタリと引っ付けながら、そっと立ちあがった。

 ⋯⋯その、とたん!!



 ドンッ!!



「キャッッ!!」




 突然、強烈に後ろから背中を押され前のめりに倒れ込む。


 ズシャッ! ザクッ! ザクッ!!  

(⋯⋯いっ⋯⋯いたッ!)


 倒れた拍子に、散らばっていた破片で両腕を何箇所も深く切ってしまった。



 ポタッ ポタッ




 生暖かい鮮血が腕から指へと滴り落ちる。




「⋯⋯い⋯⋯いや⋯⋯⋯⋯。
やめてよ」



 倒れ込んだまま押された方へと向き直る。


 だが、振り向いた先には当然箪笥があるだけで誰もいな⋯⋯



 ⋯⋯


 ⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯いた。


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