真性?ドM王子と悪役令嬢

トキノトキオ

真性?ドM王子と悪役令嬢



「じょ、女王様と呼ばせてください!」
「嫌よ!」
「ぐはっ そ、速攻ですか! 待ったナシですか! その冷たさ! 冷酷さ! ま、まさにボクが求める理想そのもの! 女王様と呼ばせてください!」
「ちっ」


 どーしてこうなった? 私は、このクソゲー世界に悪役令嬢として転生。クリアして抜け出すために、嫌々……嫌々よ? ヒロインのアンネたんをイジメているときにラルフ王子の性癖、真性ドMに気づいてしまっただけなのに。


 ラルフ王子のヤツ、ドMだとバレるやいなや物凄い勢いで迫ってくるようになった。そんなドMいる? 積極的ドMなんてさ。


 それはまーね。最初は面白くなって、『三回まわってワンダホー! って言いなさい』とか、『焼きそばパンを買って来なさい!』とか、『足を舐めなさい!』とかやりましたよ。それはそれで楽しかったです! すみませんでした! けどね、私はね、フツーのイケメンが好きなの! ノーマルの! 私のイケメン王子サマを返して!


「分かりました。それでは隣国のアレクセイ王子を連れてきなさい! 確か貴方のお友達でしたよね?」
「オオー、ほ、本当ですか! そ、そしたらボクの女王様になっていただけるのですか?」
「考えておきます」


 ふんっ、チョロいわね。あの正統派アレクセイ王子様を落としたらアンタなんて用無しよ!
 ん? て、私なんか悪役っぽくなってない? いやいや、と、とりあえず、どう考えてもドM王子とじゃあ真のエンディング無理そうだから、乗り換えるんだからね! それだけだからね!


「やあラルフ、キミから声をかけてくれるなんて光栄だな」


 キタ――ッ! これよこれ! これこそが王子様! 私のイケメン王子様! 数日後やってきたアレクセイ王子様の様子を盗み見してみれば、それはそれは正統派の王子様に見えました。しかし……


 ――ドンッ


 ん? 壁ドン? アレクセイさまが……ドMラルフに???


「や、やあアレック。ひ、久しぶりだね」
「ああ、そうさ。久しぶりだよ。キミは私が来なければ無視するからね」
「あははは、いや、まあさ、ひと目ってのがね、あるだろ? ボクら王子だし」
「ひと目だって? 私達の間にはどんな障害もありはしないさ」


 はい終了~BLでしたーアレクセイ王子はBLでしたー。ドM王子とBL王子、やっぱ無理ゲーなんですけどー! 作者出てこい!

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