SiN・MAZINGERーZERO

SUBARU

第5話

2人は新たなる力《処刑人シャルフリヒター》と名付けたバイクを駆り、グリフォンがレムを連れ去った場所ースバルの便利屋の事務所へ辿り着いた。
そこに傷が完治したレムが出迎えた。
「スバル君!」
「よォ、レム」
2人目の魔神であるレムは、スバルの変化を瞬時に察知し、目を丸くした。
「凄い……スバル君の力が凄まじく上昇してます…これじゃ、私なんか10秒も持ちませんよ」
「ビビり過ぎだ。これでもまだThe・ONEをぶちのめせなかったんだ」
レムはThe・ONEには全く太刀打ち出来ず、傷を付けたのがやっとだった。そんな強敵を退けたスバルを賞賛したかったのだが、レムの目からふと涙が溢れ出る。レムはスバルの変化が肉体的の強さだけでは無いと察した。戦士としての強さと引き換えに……
「スバル君……もしかして、感情が……」
「…あぁ。笑う事、泣く事が出来なくなっちまった」
「…そんな……スバル君……あああぁぁぁ」
レムは涙が流せなくなったスバルの代わりに泣いた。彼だけにこれだけの重みを背負わせる世界を呪いながら泣いた。レムの頭に手が乗った。それがスバルの物だと察し、また涙が溢れ出る。


「…それで?これからどうするの?」
シノンがスバルに聞いた。
「とりあえず、お前はダメだ。シノン」
「なっ!?なんでよ!私じゃ貴方の役に立てないって言いたいの!?」
シノンはスバルに食ってかかる。今まで当たり前の様にバディとして支え合った仲なのだ。食ってかかるのは当然だ。だが、スバルはこう言った。
「そうじゃない。お前、今の今までコスプレして徘徊してたんだ。その疲れを取れ。それから、お前の銃は?移動手段は?まさか丸腰で戦えると思ってんのか?」
シノンは口籠もる。シノンの真骨頂は超遠距離からの高精度の狙撃だ。だが、シノンの手には自慢の対物ライフルが無い。これでは戦えない。シノンはそれを誰よりも理解していたのだ。
「お前にも色々準備がいる。それが終わったら追ってこい。」
スバルはシノンの肩を叩いて言った。
「…分かった。かっこいい登場してあげるわよ」
シノンは微かに笑い、レムに向き直る。
「しばらくジャックをお願い」
「はい!」
スバルは処刑人シャルフリヒターに乗る。レムもその後ろに座る。シノンはスバルの肩を叩く。
「いってらっしゃい」
「…行ってくる」
スバルは処刑人シャルフリヒターのアクセルを踏み、走り出す。

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