SiN・MAZINGERーZERO

SUBARU

第3話

レギーナと共に元の世界に帰ってきたスバルは、レギーナから降り、The・ONEと向き合った。
「スバル…君…生きてるって…信じてました……」
レムは吐血しながら、スバルの帰還を喜ぶ。スバルは僅かに振り向く事でそれに答えた。
「見せ場は……譲ります…ね」
そこでレムは完全に気を失った。
『スバル…勝てよ!絶対!!』
グリフォンがどこからともなく現れ、レムを掴みあげて飛び去る。レギーナもそれを追う。
「……ZERO…」
The・ONEは呟く。ゆっくりだが、確実にスバルに近付く。
スバルは右手を開く。するとそこに1振りの魔剣が現れる。柄頭に龍眼、黒い腹に真っ赤に染まった太い両刃の刀身。鍔に禍々しくも美しい装飾を持つ魔剣。
その名も《魔剣スバル》。自身の名を冠する、真なる究極の魔剣である。



スバルは音もなく地面を蹴った。その1歩は音を置き去りにした。
「無量……」
2歩目。そこでようやくThe・ONEはスバルが動き出した事に気付いた。驚きを隠せずにいたが、迎え撃つ構えを取る。
「無碍……」
3歩目。もうスバルはThe・ONEを斬る体制に入る。The・ONEは何かを感じ取ったのか回避態勢を取る。最早向かい撃てない。その前にやられる。そう悟ったのだ。
「無辺……」
その瞬間。無である筈のThe・ONEの肉体を激痛が走る。The・ONEには理解出来なかった。無とは攻撃が通じない、言わば絶対防御だ。それが何故……!?
「三光束ねて無穹と成す…!!」
凄まじい連続斬りの反動での吹っ飛びを利用して距離を置いたスバルは牙突の構えを取る。魔剣スバルの刀身が赤い稲妻を纏う。
「絶剣・無穹三段!!」
魔剣スバルの刀身から黒光が放たれる。その黒光はThe・ONEの肉体を焼き、更なる激痛を与える。
「ぐわああああああああああああああああああああああああああああ!?何故だ!俺は……俺は無の筈……!?」
「無量・無碍・無辺……『計り知れない』『何にも縛られない』『全てに行き渡っている』という意味を持つこの3つの力を1つの光と成し、限りない物…『無穹』として放った…お前は『無』としてそこに現界そんざいしている。俺はそれを突き、粉砕した……もうお前は無じゃない。The・ONEとして肉体を持っている!」
《絶剣・無穹三段》。光り輝く黒光を放つ必殺の魔剣。本来、存在しえないもの、してはいけないものすら強制的に世界から退去、消滅させることが可能。 
The・ONEを「無のまま」斬れる唯一無二の必殺技。
「ウオオオオアアーーーッッ!!」
The・ONEは猛獣のような咆哮を上げ、襲い掛かる。スバルは魔剣スバルを納刀し、拳で対抗した。
「無駄ァ!」
The・ONEの左頬にスバルの右ストレートがめり込む。The・ONEはスバルの右腕を弾き、両手に伸びる爪で切り裂こうと襲い掛かる。
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!」
スバルの両手でのラッシュがThe・ONEに襲い掛かる。
「無駄ァァァ!!」
右手の全力パンチがThe・ONEの胸に炸裂し、The・ONEは大きく吹っ飛ばされた。
スバルはThe・ONEに追撃を加える為、時間停止能力《永遠エターナル》を発動した。《永遠》の発動中は7秒間だけ全ての時が止まる、スバルが知らないある者の時間を支配する能力の劣化版である。



7秒後。The・ONEは驚愕した。目の前に金属の物体があるのだ。The・ONEはこれがスバルの新しい能力で出来た事だと理解した。それと同時に、今のままではスバルには勝てないと理解した。
「リニアモーターカーだ!!」
スバルは《永遠》で止めた7秒間でリニアモーターカーも持って来てThe・ONEに投げ付けた。
「…ガアアァァァ!!」
The・ONEは気合いの咆哮を上げ、爪でリニアモーターカーを斬り裂いた。
ドカァアアアアァアアアアァン!!!!
リニアモーターカーは大爆発した。The・ONEは爆発の煙を利用して逃げる。スバルはそれを追わなかった。彼はグリフォンに救助されたレムの元へ向かった。

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