黄金の将《たった3人の軍団》

ごぼうチップス

プロローグ

俺の名前は、『レムリ・フォン・テグナント』
年齢は27歳のどこにでもいる青年だ。
いや、どこにでもいるは違うか。何が違うって?
俺は生まれつき、人とは違う髪の色だったからだ。
俺は白髪だった。そして、孤児だった。
そのせいかわからないが、俺が幼い頃、いじめの対象になっていた。人と違う他と違うだけで、子供はああまで残酷になれるなんてな。
「おじさん、おはよ」
「誰の事かな、ボウズ」
「ヒィ!」
子供が逃げていく。当たり前だ、俺の睨みは一級品だからな。
「何をしているんですか?子供相手に」
「よう、ネア。なに、ちょっと大人の威厳と言うやつをな」
「子供をいじめているようにしか見えませんでしたが」
「そうか?それより、何かあったのか?」
こいつはネア・ウィルハース。俺の一応、副官だ。因みに18歳の少女、まあ、美少女かどうかは想像にお任せする。
「将軍がお呼びです」
「将軍?誰だ?俺も一応、将軍だが」
「おほん!ダレル様です」
「ああ、ダレルの爺さんか。また、面倒事じゃないだろうな?」
「私が知るわけないでしょう。自分でご確認されたらどうです?」
「冷たい、ここ最近俺に当たりキツくないか」
「そうでしょうか?そう思うなら、心当たりがあるのでは」
「・・・」
無いな。うん、思い当たらない。だが、これを口にすると、俺はネアに殺されるだろう。
うん、黙っとこ。
「まあ、しゃあない。爺さんの所へ行くとするか」
俺は渋々ダレルの爺さんの所へと向かう事にした。ネアに後ろから睨まれながら。



「で、何でお前さんまでついてきている?」
「監視です。レムリ様は目を離すと、何をしでかすかわかりませんから。それにダレル様に失礼があってはいけません」
「ネアさん、俺をいったい何だっと」
「何を往来の場でイチャイチャと」
「してねぇ!」
「してません!」
二人の会話に割って入ってきた人物。
俺はこいつを知っている。むしろ嫌ってもいた。
「ノヴァ」
「シルティエ様、お久しぶりです」
「はーい、ネア」
こいつはノヴァ・シルティエ。俺の一つ下の26歳。巷では『王国三大美女』
の一人と言われているらしいが、俺から言わせれば、ただの、そう脳筋だ。
「・・・」
「何だよ?」
「何か、とてつもない失礼な事考えてない?」
「いや、別に」
この国の女共は、少々感がよすぎる気がする。
「あんたたちも、ダレル様に呼び出されたクチ?」
「まあな」
「では、シルティエ様ですか?」
「ええ、呼び出された理由はわからないけど」
「じゃあ、一緒に行きませんか?」
「そうね」
「おい、ノヴァはいいとして、お前さんは関係ないだろ」
「・・・」
「ちょっと、あんた」
「大丈夫です、シルティエ様。いつも事ですから」
ちょっと、ネアさん。何を言い出すのかな?ノヴァの姉御が、俺を猛烈な殺気で睨んでおいでなのですが。
俺が何をしったって言うのか。思い当たる節がありすぎて正直わからん。
「さ、先に行ってるぞ。遅くなって、ダレルの爺さんにキレられるのも敵わんからな」
「ま、待ちなさい!」
「我々も急ぎましょう。シルティエ様」
「え?・・ええ」



三人は目的の場所へとたどり着く。
王宮内の執務室。
ここにダレルの爺さんが居ると思うが。
「爺さん、入るぞ」
「ちょ!いきなり・・」
「失礼します。テグナント卿、シルティエ卿両名連れて参りました」
「入りなさ・・」
ガチャ。
「それで、何のようだ。爺さん」
「・・・」
「ちょっとあんた、失礼でしょうが!すみません!ダレル様!」
「いや、構わん。いつもの事だ。こいつには後でキツく言っておく」
「お、おい、爺さん」
「まあ、三人とも、そこに座りなさい」
無視かよ。
この爺さんは、ダレル・フォン・テグナント。俺の一応、まあ、養父になる。今年で71になるが、どこにそんな体力があるのかと思うほど、精力的に執務をこなしている。昔は常勝無敗と呼ばれた騎士だったが、今は王様の相談役兼補佐官を務めている。
「それで、俺たちをここまでわざわざ呼んだって事は、何かヤバい事でもあったんだろ?」
「ああ、その事なんだが」
「私、珈琲を入れてきますね」
ネアはそう言うと席を離れ、キッチンの所へと向かう。
「相変わらず、働き者じゃな。ネアちゃんは」
「そうか?呼ばれてない自分に、居たたまれなくなっただけだろ」
「あんた、いい加減に」
「レムリよ、あの子と何かあったか?」
「別に、いつも通りさ。爺さんが気にするような事は何もない」
「まあ、あの子を傷つけるような事はするなよ」
「わかっているさ。それより」
「ああ、話の続きじゃな。今から離す事は、他言無用じゃ。よいか?」
「ああ、わかった」
「は、はい」
「隣国であるアドート帝国が、我等が王国『フォルデギウス』に侵攻を開始したとの報告が入った」
「なに?」
「えっ?」







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