うちよそ村

とある学園の教師

アリシアと

「クローヴェルさんは、造られた事がありますか?」
「あるよ」
アリシアの質問に、優しく答える。
「高次的な存在が俺を意図して作った」
「そうですか」
「そうだ」
「私は、人に作られました。………私は彼女が好きで、慕っていました」
「知ってるよ。会ったことある」
「嘘でしょう?貴方如きが………」
「俺は何千億年か一度に、世界を渡る。だから、お前の世界に来た時も同じく永い時を過ごした」
「不老不死も厄介ですね」
「そうだな。俺だって死にたいさ。家族に会いたい」
「私も、彼女に会いたいです。でも、見るべき世界があるんです」
「あぁ、生きる者としての運命だな」
「私はまだ若いから、この目が濁らない内に全てを知りたい」
「ああ、だから俺が手伝おう」
「良いです。変態さんの助けはいりません」
「俺はロリコンじゃねぇ」
「私はまだ学生です。犯罪では?」
「俺は法が通用しない。社会的に殺すのなら俺の醜声を流すんだな」
「それをやるのも面倒ですね………」
「だろうな、やめとけ」
「ところで、貴方も憎悪を司るんですね」
「少し違うけどな、憎悪を司る悪魔が俺に宿っている」
「私達みたいな?」
「お前みたいに人の姿になれる訳ではないがな。それでも、似ているかもしれない」
「そうですか」
「家族ってどんなものですか?」
「唐突だな、覚えてない」
「貴方の憎悪は、家族を喪ったことによるものだと感じています」
「…………当たりだよ」
「ですが、私にはそれが何故かわからないのです」
「そうか………温かいものだよ。お前にとっての、ノアみたいなもんさ」
「…………貴方はこの世界で何をしていたのですか?」
「…………戦争をしていた。長い間、多くの死を見てきた。そんな中、アレイシアと出会って、そいつが死んで。俺は暫く1人で戦っていた。その敵が、神族だった」
「そんな…………」
「今も戦ってはいるが、財団とも繋がっているからあっちは手を出せないだろう」
「それは良かったです」
「そうなのかねぇ………」
笑う。
「でもさ、お前達みたいな奴に会えるのは楽しいんだよ」
「そうですか、良かったですね」
「ああ、良かった。俺は幸せだと思ってる。家族も幼馴染も守れなかったが、お前達を守れるんだからな」
「私は守られるほど弱くありません」
「いや、まだ弱いよ。人造兵器であるお前は、な。そして、お前が強かろうと俺は問答無用で守る」
「何故ですか?」
「友人と約束したのさ、守るって」
「私に関係があるのですか?」
「あるよ。お前はアレイシアの意思を継いだ存在だ。まだ、破綻していない」
「そうですか、好きにしてください」
「おう、そうさせてもらうよ」
彼は笑って、彼女の頭を撫でた。

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