太陽の王と月の女神

マナの村

2人は、森を駆け抜ける。
必死で走っていた、村の人達の事
何より、エレナの父ガラント、母マールの事が心配だ。

村に近づくたびに、鼻をつく血の匂い、焼けた木の匂いが2人を余計に不安にする。
早く早くと急ぐ気持ちとは裏腹に足が絡まり転びそうになるエレナ。

やっとの思いで、村に辿りつく2人
目の前には、予想以上の光景が広がっていた。

家は、ほぼ全壊。
肌が焦げ苦しみもがく人、瓦礫の下敷きになり脚が千切れ、亡くなっている人、
焼け焦げた死体にすがり泣く子供。
全身を炎に包まれ、水を求めもがく人
その中でも悲惨だったのがガラスの破片を
身体中に浴び刺さり切り刻まれている死体だった。

2人は、真っ先にエレナの家に向かう。
不安が込み上げる中、2人は走る。

エレナは、大声で叫びながら涙を流す。
そこには、マールの上に覆い被さり瓦礫の下敷きになっているガラントの姿があった。マールはガラントに守られているので傷はあるものの、命に別状はなかった。
ガラントは、守れた事を誇るような顔で事切れていた。

エレナは、叫びながら涙を流し父であるガラントを揺さぶる。

エレナ「どうしてなの、どうしてこんな事になってるの、ねぇおきてよ!ねぇ起きてよ!」悲痛な叫びは、ガラントには届かない。

マールは、気絶している為まだ目を覚まさない。

白夜は、なんとかエレナをなだめ
マールをガラントの下から引きづり出す。

そして2人はマールを抱え、まだ被害の少ない協会の中へ連れて行く。
そこには、生き残っていた村人たちも避難していた。3人を見つけるとすぐにマールを寝かせる場所を提供してくれた。

2人はマールをゆっくりと長椅子に寝かせた。

エレナ「ルメッド!!」
エレナが唱えるとマールの傷は塞がっていった。

マールは、ゆっくりと瞼を開けた。
悲しみ、そして怒り、驚きが入り混じり
何とも言えない表情で目覚めた。

エレナ「良かった」一言だけ呟いて気持ちが少し落ち着く。
只、助けれなかったガラントを想うとまた
涙が頬をつたう。

マールは、精一杯の笑顔で目に涙を溜めながら、エレナの手を握る。そして2人は
抱き合い涙が枯れるまで泣き続けた。

白夜は、そんな2人を見つめ思う
この幸せだった村に、何が起きたのか
そして、村の人達の幸せを奪った何かを
絶対に許さないと。

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