L a p i s ~ 世界樹の精霊《スピリット・オブ・マナ》 ~

神の味噌汁

山頂の狙撃手

 
 ラピスは、繊月山の頂上に来ていた。


 真面目な戦闘行動を取るときには、しっかり二股の魔術帽子も身に着けている。
 コルセット付きの黒いドレスに、膝上の長めのソックス、その上に、羽織るフードとケープが付いた黒外套。二つに結わえた銀髪も、十個の指輪も。
 装備は万全だ。 


 『メルクリエ』の位置を辿れば、おおよその場所は割り出せる。
 また、送られてくるざわついた感覚から、アリシャたちが戦闘状態にあるという予測も立つ。


「ルナエ、ソーリス、サートゥルニー、ヨーウィス」
 順に、闇、光、土、木のエレメントの魔石を呼び出す。


視力強化クレヤボヤンス・オブ・千里眼付与ザ・ライト」 


 さらに、ラピスは、光属性の強化魔法により、己が視力を強化する。
 およそ直線距離で40キロメートル。
 その先で起こっている出来事をその目に納め、


幻想クリエイト真化ファンタズム


瞬時にラピスは魔力を使って、長弓を創造する。
魔力で作ったというのに、所々豪奢な文様が刻まれ、水晶か硝子のように硬質な実態を持ったロングボウは、作り置きの武具を桁違いに凌駕する伝説級の武具――それと同等。
 その弦に、即座に魔力で生成した矢をつがえる。 


 ヨーウィスに風の影響による弾道の変位を補正させ、サートゥルニーに重力の影響を計算させる。さらに両エレメントを合わせて矢の速度を著しく上昇させる。
 ルナーエとソーリスには、光と闇二つを合わせて作り出す『時』と『空』の属性より、距離を1/3にごまかし、到達時間の補正も任せた。
 全ての準備が完了し、最適のタイミングで矢が放たれる。
 様々な補正により、矢は、とある砦の一点を狙っていた。
 その速度は、マッハ13。


 その効果を確認して、ラピスはつぶやく。
「思ったより効果は薄かったけれど、役割は果たしたわよ、メルクリエ。まったく、アリシャも無茶するわ。――しかしまさか、ね」
 アリシャがピンチだったこともそうだが。それ以上の予想をはるかに超える事態に、ラピスは驚くのだった。


「もしかして、あなたたちもなの?」
 その目は、他の宝石たちに向けられていた。



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