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転生したら妖狐な幼女神になりました~前世の記憶と時空創造者~

じゃくまる

魔導機械技術を広めたい! でもボクしか知らない技術なんだ

 朝から入るお風呂はとても贅沢だと思う。
 二十四時間お風呂に入れる屋敷は世界中を探してもここだけだと胸を張って言えるだろう。

 なにせ、最新式の循環型魔力生成機構を試験的に設置しているのだ。

 技術自体は三百年前に完成させ、屋敷に設置するべく徐々に製作、設置していった。
 そしてこの度、コア装置となる最後の装置を完成させることが出来た。
 まぁ、最後の装置を作り終える手前でボクは死んだので、結局完成は今世になってしまったけど……。

 この屋敷の地下には、魔力生成装置と浄水のための再処理装置、老廃物や汚物を処理して魔力の元に変換する廃棄物再処理装置、魔石生成装置とそれに魔力を充填して稼働させる魔力充填装置の合計五個の装置が設置されている。
 魔道具作成技術と古代遺跡から見つけだした機械技術を組み合わせた『魔導機械技術』がこの装置群の基本技術だ。
 なので、実質ボクにしか作ることはできないシステムでもある。

「勉強も研究も、そして探索も大好きだったからな~。でもまぁそのおかげで、こうやっていつでも入れるお風呂が作れたんだから報われたよね~」

 朝の浴場にはすでに十人以上のメイドたちがやってきている。
 かなり広い大浴場なので、もっと入ってきても問題ないけどね。
 そんな浴場の片隅で、ボクは湯に浸かりながら独り言つ。

「それにしても、お湯が気持ち~」

 前世の老体では感じることの出来ない新鮮な感覚をボクは今感じている。
 幼い体ではあるけど、肌の感覚は敏感で鋭く、そして滑らかだ。
 そんな体で感じるお湯は、また格別であった。
 一言でいうなら「最高すぎる」なのだ。

「アリス様、おはようございます。このような時間からお起きになられているとは」

「んあ? アクアか。おはよ」

 声を掛けられて顔を上げると、そこにはアクアとルビ、エメにトパーズ、そしてダイアとオニキスの六人が勢ぞろいしていた。
 ボクはアクアに「おはよ」と挨拶する。
 アクアはにっこりと微笑むとボクの隣に立ち、ゆっくりを腰を下ろし湯に浸かった。
 
「よっす。おはよ、アリス様!」

「おはようございます、アリス様」

「ん、おはよ。朝から元気だね」

「おうよ、オレはいつでも元気だぜ?」

「アリス様、お身体は大丈夫ですか? 何か変わったことは?」

「ん~? ない……かなぁ?」

「ん~、でもオレが見る限り得体の知れない力をアリス様から感じるぜ? 明らかに何かあった後だぜ?」

「あ~。今は内緒かな。そのうち教えてあげるよ」

 怪訝な顔をするルビにボクはそう言うと、浴槽の縁に腰をかけ、足でお湯をぱちゃぱちゃと音を出しながらかき混ぜる。
 不思議そうに覗きこむアクアと心配そうなエメ。

「おはようございます、アリス様。お加減はいかがですか?」

「アリス様、おはよう。後で美味しいもの用意します」

「おはよーございま~す。アリス様! 朝から浮かない顔してどうしたんですか? あたしで良ければ話聞きますよ~?」

「ん~。おはよ。ダイア、オニキス、トパーズ」

 みんなは心配そうな表情をしながら、ボクの様子を気にかけてくれる。
 ボク自身、言いたいことはあるけど上手くは言えない。
 そんな状態でルビーの疑問に答えても、納得してもらえるかはわからないから。

「んでもまぁ、アリス様から感じる気配はこの世界に漂う気配と同じものに感じるんだ。ということは悪いことじゃないってことだよな? なら、アリス様が話せる時に話してくれれば、オレたちは問題ないぜ? 寝てる間に何があったかは分からないけど、わかったところでどうにもできないと思うしな」

「ありがと、ルビ」

「おうよ」

「アリス様は運命神の神格もお持ちになられているのですから、きっと大事なことがあったんだと思います。クレハ様の渡されたあの石のような玉。あれがキーなのでしょう」

「あれは完全にその力を隠蔽していましたね。まるで定められた者にしか手に出来ないようになっているとしか思えませんでした。これでも私たちは精霊王。神に選ばれた勇者よりも強い上位の存在です。その私たちが見破ることが出来ない。それはつまり神以上の何かということです」

 アクアとエメはとても思慮深く頭が良い。
 だからあれが何なのか、ある程度の見当は付けているようだ。
 その証拠に、アクアは原因を特定し、その力の根源は神以上とエメは断言した。

「『時渡りの神狐』というお話が出ていましたね。それが何かは分かりませんが、アリス様、ひいては妖狐族に関係のあるものかと」

「姉様に同じ。おそらく神よりも上の存在なのは確定してます。精霊にも時を操れる存在はいるけど、時は渡れない。神にも時は渡れない」

 お湯に浸かりながら、ダイアとオニキスは自分の考えを口にした。
 彼女たちは本当に頭が良いと思う。
 そして柔軟だ。

「そうだね。ねぇ。この世界が、いくつかの世界のうちの一つだということは知ってるでしょ? この世界群も同じ。でもさ。この世界はすでに何回も同じものが生まれているとしたら驚く?」

 ボクの言葉に驚きを隠せないアクアたち。
 それも当然か。
 この世界が生まれて、彼女たちが見守り始めて、そして今に至って。
 その間、世界はずっと一つだった。
 神界も天界も、魔界すらも一つ。
 もちろん、このエリュシオンもだ。

「そうなのですね。アリス様は『それを』知っているのですね」

 アクアが言う。

「『知ってる』訳じゃないけど、『知った』」
 
 正確には『時空書庫』で知った。
 でも言わない。

「そうですか。でも私たちがいて、アリス様がいるということは、まだまだこの世界にやるべきことがあるということですよね」

「うん」

 エメの言葉に簡潔に答える。
 ボクのやるべきことは宝玉探しだ。
 それと別件だけど、まだまだ調べきれていない古代遺跡の探索やダンジョンの解明と研究。
 それが今のボクがやるべきことであり、やりたいことだ。
 それが趣味の魔道具作りや新しい魔術理論の完成に繋がるから。

 そしてその知識はすべて『時空書庫』に格納される。

「人界、いかなきゃなぁ……」

 人界へ留学することは決定している。
 エリュシオンにも学校はあるけど、ボクが通うとしたら高校になってからになるだろう。
 もしかしたら中学かもしれないけどね。
 今は今の人界の基礎を学ぶために、ボクは人界へと降りる。
 そして学業が終われば、いよいよ世界を冒険する。
 エリュシオンにいる人間たちはエリュシオンから出て行かない。
 だからここで幼少教育を受け、成人するまで一定の教育を受けることになる。

「人界で友達が出来るといいですね。アリス様」

「そだね。良い人ならエリュシオンに迎えるのもありなのかもだけど……」

 微笑むアクアにボクはそう返した。

 エリュシオンは日々発展している。
 その成長の基礎には『科学』というものがあり、そして同時に『魔法』というものがある。
 いずれは『魔導機械技術』の技術者が誕生するかもしれないと、ボクは密かに期待している。

 人界では『科学』は『錬金術』の一部であり変質変化させるものである『化学』と同じ様に扱われている。
 でも、ここエリュシオンでは二つは分けて考えられている。

 これが人界とエリュシオンの大きな違いだろうか。

「でも、古代遺跡で『科学』と『化学』の痕跡を見つけたんだよなぁ……」

 そう物思いに更けながら、ボクは独り言つ。

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