ファンタジー異世界って・・・どういうことだっ!?
第3話 戦い
深く暗い闇の中、男…アレンが呟く
「まったく…いろいろと状況がごちゃごちゃしすぎだぞ…」
クローディアとリリアに宛てた手紙はアレンの能力をいかんなく発揮し、高速で作り上げたものである。
それをガイゼルに去り際に渡し、手紙に書いておいた転移魔術の行きつく先に、アレンはいた。
周りは木々に覆われ、獣や魔物の声が遠くから聞こえてきた。
場所は、【城壁都市フェレス】の近郊、前にヨーグと探索に来た場所だ。
彼は空中移動を使い、神速でここまで飛んできたのだ。
「…まだ、いるみたいだな…」
アレンの視線の先には前に発見したゴブリンの巣があった。
あれから結構日にちが経つというのに、まだ駆除されていないのは、アレンとアジ・ダハーカが闘った際の復興作業に追われているからだろう。
(やっぱり思った通りだ…さて…まだやることは山積みだ…)
アレンは思う。未だガイゼルの屋敷にいる二人のことを。
(クローディアとリリア…来るのかな………できれば、危なくないように都市にいてくれればいいけど…ガイゼルさんにも残るようだったらリリアとクローディアを頼むっていう手紙を残してきたし…エルにも届いたかな…道端の綺麗な小石に付呪したらあんなになるんだもんな…)
「ぐぎゃあああ!」
思考していたアレンは後ろからの急なゴブリンの声にビビってしまう。
とっさに後ろを振り返るアレン。
ゴブリンは片手を振り下ろしている途中だった。
スローモーションに動き始める世界。
(…こいつ…前に俺襲ってきた奴か…?)
思い出しながら、ゴブリンの攻撃を避けつつ、素手でわきっぱらを殴りつける。
ーパァン!
瞬間、ゴブリンの体がはじけ飛んだ。
ゴブリンの臓器やらが周りに飛び散る。
それすらもスローモーションに見えるアレンは飛び散ってきたものを全て避けられる範囲まで瞬間的に移動する。
それを見て、アレンは吐き気を催すが、何とか耐える。
異常な精神力のおかげか、瞬時に冷静になったアレンは、一声上げる。
「うぉわ!?汚ぇ!?」
危うく服や顔につきそうだったものを見てのたまうアレンは驚愕していた。
本来であれば魔物を倒したら体内にある魔石を取り出す作業をしなければならないのだが、アレンはそれすらも粉々に砕いてしまっていた。
(なんていう威力だよ…こりゃあ…まず、力を抑える訓練が必要だな……前に騎士とやったときは、うまく加減できたけど…殺すけど、はじけ飛ばないようにするって…難しいな…)
アレンは考えながらそこら辺の木をゴブリンに見立て、先ほどより弱く、だが、殺すつもりで殴りつけてみる。
ーバキャっ!!
木の表面がはじけ飛び、轟音を立てて倒れる。
(あー…まだか…もうちょい弱く…こう、か?)
立て続けに木を殴り続けるアレン。
静かな森に、轟音が響く。
(よし、こんな力加減か…)
やっと木が折れるだけにとどまる力加減を発見したアレンは満足げに笑う。
(…だいぶ森林破壊してしまった…まぁ、誰も来ないし、大丈夫だろう……さて、これで旅先でのトラブル回避能力は十分か…?軽い殴り合いとかなら十分手加減できそうだ。)
そう、この男、旅先でのトラブル回避のために、力を加減して出せるように特訓していたのだ。ゴブリンの巣の前に来た理由は、クローディアとリリアの訓練場所として、だ。
(…まぁ、来なかったら俺一人で殲滅してから旅に出るけど、一応一日だけ待つか。)
インベントリからテントを出し、野営の準備をするアレン。
ここでも無駄に能力を発揮し、数秒もしないうちにテントを張り終える。
(結界魔法は…使わなくていいだろ…俺一人なら襲撃されてもすぐ対応できるし…)
そう思いながら、テントに入り、眠りにつくアレンだった。
―――――――――――
クローディアとリリアは気が付くと、深い森の中にいた。
そこは、なぜか木々が複雑に倒されていたが、周りは静かだ。
「ここは…どこでしょうか?クローディア、わかりますか?」
リリアが周りを見渡す。深い森が広がっているだけだった。
クローディアも同じ様に見渡すと、遠目にみたことのある洞窟が目に入る。
「ここ…前にヨーグさんと来た場所ね…アレンはどこかしら…?」
クローディアが耳をそばだて、周りの気配を探っていたその時、猛々しい雄叫びが聞こえてきた。
「ガァアアアア!!」
「な、なんですかっ!?」
リリアが驚いたように声を上げた瞬間、クローディアも同時に叫ぶ。。
「危ないわよっ!!」
ぐっ、とリリアをこちらの方へ寄せたクローディアは今迄リリアがいた場所に丸太が振り下ろされているのを確認した。
「リリアっ!態勢を整えて!!オークよっ!!」
そう、その魔物は茶色い肌をして、顔の大きな二本の牙を生やした魔物…オークだった。
オークはぐぅぅ、とうなり、振り下ろした丸太から手を放してクローディアとリリアを握りつぶそうと両手を構えていた。
(…これはマズイわね……勝てるかしら…?いえ、勝つわ!!)
巨体を見てもまだ闘志をたぎらせるクローディア。
リリアも愛用の杖を構える。
「援護します!クローディア!!」
その声を引き金に、クローディアは先日アレンから見せてもらった短剣…なぜかベッドのわきのエンドテーブルの上に置いてあった…を構える。
すると、クローディアの体に力がみなぎる。
(な、なんなのこれ!?)
「クローディアっ!避けてっ!!」
とっさのことに驚いたクローディアは足が止まってしまっていたが、オークの動きは遅い。
クローディアは持ち前の素早さを生かし、オークの足を切りつけた。
すると…
ーズパン!!
という音と共に、オークの足がきれいに分断された。
「ゴォァ!!??」
急な一撃と、そうやすやすと切り裂かれないはずのオークの分厚い皮がその一撃により切り裂かれ、骨まで断たれたことに驚いた様子のオークは驚愕の表情を浮かべたままバランスを取り切れずに、倒れこむ。
(…あきらかに今、ダガーの刀身より長く斬れたわよね……まぁ、どうでもいいわ!!)
浮かんだ疑問を瞬時に振り払い、クローディアは倒れたオークの首を狙ってダガーを振り下ろす。
首が飛び、絶命するオーク。
血しぶきが飛び散り、クローディアの服を汚す。
「…リリア、洗浄魔法…使えない?」
その様子を唖然とした様子で見ていたリリアは最近覚えたばかりの【洗浄】を使用する。
【洗浄】は文字通り狙った部分をキレイにする魔法だ。
「あ、はい…、【洗浄】!」
言葉と共に魔力がクローディアの服を包み込む。
瞬時にキレイになる服。
「…魔法適正が私にあれば使えるんだけど…」
うらやましそうにつぶやくクローディア。
「いえ…私のできることと言えばこれくらいです…それより、クローディアの方がすごいですよ…!?あんな大きい魔物をあっという間に倒しちゃうなんて…。」
「あー…それなんだけど、たぶん、こいつが原因よ。」
そういいながら短剣を見せつけるクローディア。
それを見たリリアは驚愕する。
「へ…!?攻撃力十五万!?どういうことですか!?これはどこで!?」
「…アレンからもら」
そう言い切る前に、どこからともなく男が現れた。
「クロォオォオオディアアアァアア!!リリアァアアアア!!だいじょーぶかあぁああああ!!」
アレンだった。すさまじい勢いで二人を抱きかかえるアレン。
「ちょっ!?アレン!?落ち着きなさい!!」
「アレン君!?」
驚く二人を抱え、空中へ浮き上がる。
大分高くまで上がったところで、ようやく止まるアレン。
アレンは先ほどまでいた場所にいたオークの死体を遠くから見つめる。
「あれ?死んでる?」
抱えていた二人の少女からいきなりただならぬオーラが放たれていることに気付いたアレンは、恐る恐る二人の顔を見た。
「まず、おろしなさい?怒らないから。腰をなでるな!!」
「アレン君…胸、触ってます…」
「…は、はは…「はやくしなさい!」
「はい。」
気まずそうな顔をして、アレンは地上へと向かった。
「まったく…いろいろと状況がごちゃごちゃしすぎだぞ…」
クローディアとリリアに宛てた手紙はアレンの能力をいかんなく発揮し、高速で作り上げたものである。
それをガイゼルに去り際に渡し、手紙に書いておいた転移魔術の行きつく先に、アレンはいた。
周りは木々に覆われ、獣や魔物の声が遠くから聞こえてきた。
場所は、【城壁都市フェレス】の近郊、前にヨーグと探索に来た場所だ。
彼は空中移動を使い、神速でここまで飛んできたのだ。
「…まだ、いるみたいだな…」
アレンの視線の先には前に発見したゴブリンの巣があった。
あれから結構日にちが経つというのに、まだ駆除されていないのは、アレンとアジ・ダハーカが闘った際の復興作業に追われているからだろう。
(やっぱり思った通りだ…さて…まだやることは山積みだ…)
アレンは思う。未だガイゼルの屋敷にいる二人のことを。
(クローディアとリリア…来るのかな………できれば、危なくないように都市にいてくれればいいけど…ガイゼルさんにも残るようだったらリリアとクローディアを頼むっていう手紙を残してきたし…エルにも届いたかな…道端の綺麗な小石に付呪したらあんなになるんだもんな…)
「ぐぎゃあああ!」
思考していたアレンは後ろからの急なゴブリンの声にビビってしまう。
とっさに後ろを振り返るアレン。
ゴブリンは片手を振り下ろしている途中だった。
スローモーションに動き始める世界。
(…こいつ…前に俺襲ってきた奴か…?)
思い出しながら、ゴブリンの攻撃を避けつつ、素手でわきっぱらを殴りつける。
ーパァン!
瞬間、ゴブリンの体がはじけ飛んだ。
ゴブリンの臓器やらが周りに飛び散る。
それすらもスローモーションに見えるアレンは飛び散ってきたものを全て避けられる範囲まで瞬間的に移動する。
それを見て、アレンは吐き気を催すが、何とか耐える。
異常な精神力のおかげか、瞬時に冷静になったアレンは、一声上げる。
「うぉわ!?汚ぇ!?」
危うく服や顔につきそうだったものを見てのたまうアレンは驚愕していた。
本来であれば魔物を倒したら体内にある魔石を取り出す作業をしなければならないのだが、アレンはそれすらも粉々に砕いてしまっていた。
(なんていう威力だよ…こりゃあ…まず、力を抑える訓練が必要だな……前に騎士とやったときは、うまく加減できたけど…殺すけど、はじけ飛ばないようにするって…難しいな…)
アレンは考えながらそこら辺の木をゴブリンに見立て、先ほどより弱く、だが、殺すつもりで殴りつけてみる。
ーバキャっ!!
木の表面がはじけ飛び、轟音を立てて倒れる。
(あー…まだか…もうちょい弱く…こう、か?)
立て続けに木を殴り続けるアレン。
静かな森に、轟音が響く。
(よし、こんな力加減か…)
やっと木が折れるだけにとどまる力加減を発見したアレンは満足げに笑う。
(…だいぶ森林破壊してしまった…まぁ、誰も来ないし、大丈夫だろう……さて、これで旅先でのトラブル回避能力は十分か…?軽い殴り合いとかなら十分手加減できそうだ。)
そう、この男、旅先でのトラブル回避のために、力を加減して出せるように特訓していたのだ。ゴブリンの巣の前に来た理由は、クローディアとリリアの訓練場所として、だ。
(…まぁ、来なかったら俺一人で殲滅してから旅に出るけど、一応一日だけ待つか。)
インベントリからテントを出し、野営の準備をするアレン。
ここでも無駄に能力を発揮し、数秒もしないうちにテントを張り終える。
(結界魔法は…使わなくていいだろ…俺一人なら襲撃されてもすぐ対応できるし…)
そう思いながら、テントに入り、眠りにつくアレンだった。
―――――――――――
クローディアとリリアは気が付くと、深い森の中にいた。
そこは、なぜか木々が複雑に倒されていたが、周りは静かだ。
「ここは…どこでしょうか?クローディア、わかりますか?」
リリアが周りを見渡す。深い森が広がっているだけだった。
クローディアも同じ様に見渡すと、遠目にみたことのある洞窟が目に入る。
「ここ…前にヨーグさんと来た場所ね…アレンはどこかしら…?」
クローディアが耳をそばだて、周りの気配を探っていたその時、猛々しい雄叫びが聞こえてきた。
「ガァアアアア!!」
「な、なんですかっ!?」
リリアが驚いたように声を上げた瞬間、クローディアも同時に叫ぶ。。
「危ないわよっ!!」
ぐっ、とリリアをこちらの方へ寄せたクローディアは今迄リリアがいた場所に丸太が振り下ろされているのを確認した。
「リリアっ!態勢を整えて!!オークよっ!!」
そう、その魔物は茶色い肌をして、顔の大きな二本の牙を生やした魔物…オークだった。
オークはぐぅぅ、とうなり、振り下ろした丸太から手を放してクローディアとリリアを握りつぶそうと両手を構えていた。
(…これはマズイわね……勝てるかしら…?いえ、勝つわ!!)
巨体を見てもまだ闘志をたぎらせるクローディア。
リリアも愛用の杖を構える。
「援護します!クローディア!!」
その声を引き金に、クローディアは先日アレンから見せてもらった短剣…なぜかベッドのわきのエンドテーブルの上に置いてあった…を構える。
すると、クローディアの体に力がみなぎる。
(な、なんなのこれ!?)
「クローディアっ!避けてっ!!」
とっさのことに驚いたクローディアは足が止まってしまっていたが、オークの動きは遅い。
クローディアは持ち前の素早さを生かし、オークの足を切りつけた。
すると…
ーズパン!!
という音と共に、オークの足がきれいに分断された。
「ゴォァ!!??」
急な一撃と、そうやすやすと切り裂かれないはずのオークの分厚い皮がその一撃により切り裂かれ、骨まで断たれたことに驚いた様子のオークは驚愕の表情を浮かべたままバランスを取り切れずに、倒れこむ。
(…あきらかに今、ダガーの刀身より長く斬れたわよね……まぁ、どうでもいいわ!!)
浮かんだ疑問を瞬時に振り払い、クローディアは倒れたオークの首を狙ってダガーを振り下ろす。
首が飛び、絶命するオーク。
血しぶきが飛び散り、クローディアの服を汚す。
「…リリア、洗浄魔法…使えない?」
その様子を唖然とした様子で見ていたリリアは最近覚えたばかりの【洗浄】を使用する。
【洗浄】は文字通り狙った部分をキレイにする魔法だ。
「あ、はい…、【洗浄】!」
言葉と共に魔力がクローディアの服を包み込む。
瞬時にキレイになる服。
「…魔法適正が私にあれば使えるんだけど…」
うらやましそうにつぶやくクローディア。
「いえ…私のできることと言えばこれくらいです…それより、クローディアの方がすごいですよ…!?あんな大きい魔物をあっという間に倒しちゃうなんて…。」
「あー…それなんだけど、たぶん、こいつが原因よ。」
そういいながら短剣を見せつけるクローディア。
それを見たリリアは驚愕する。
「へ…!?攻撃力十五万!?どういうことですか!?これはどこで!?」
「…アレンからもら」
そう言い切る前に、どこからともなく男が現れた。
「クロォオォオオディアアアァアア!!リリアァアアアア!!だいじょーぶかあぁああああ!!」
アレンだった。すさまじい勢いで二人を抱きかかえるアレン。
「ちょっ!?アレン!?落ち着きなさい!!」
「アレン君!?」
驚く二人を抱え、空中へ浮き上がる。
大分高くまで上がったところで、ようやく止まるアレン。
アレンは先ほどまでいた場所にいたオークの死体を遠くから見つめる。
「あれ?死んでる?」
抱えていた二人の少女からいきなりただならぬオーラが放たれていることに気付いたアレンは、恐る恐る二人の顔を見た。
「まず、おろしなさい?怒らないから。腰をなでるな!!」
「アレン君…胸、触ってます…」
「…は、はは…「はやくしなさい!」
「はい。」
気まずそうな顔をして、アレンは地上へと向かった。
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