ファンタジー異世界って・・・どういうことだっ!?

蒼凍 柊一

第14話 暴露

場所は天界。
幼女神…アテネとラズエルはアレンとファフニールが闘っているのを見ていた。


「なかなかしぶといねぇ…アレン君も…」


「そうですね…でも、なんでファフニールは人型なんです?」


ラズエルは疑問に思ったことを聞いてみることにした。


彼女が知ってるファフニールはドラゴンの姿をしていたはず。
人間を忌み嫌い、自分が人間に変化するなど考えもしないドラゴンだったはずなのだ。


「ふふふ…そこはね、ラズエルちゃん。考えてもみてよ、最高神に内緒でこの作戦してんだよ?わざわざ大事にしなくても、人型になって、隠密に殺せば万事解決…でしょ?」


「…クソ神…すこしはまともな思考ができたんですね?驚きです。見直しました。」


「見直したらそのクソ神っていうのやめない?地味に傷つくんだけど。」


ジト目でラズエルを見るアテネ。


「いえ、一万分の一くらい見直しただけです。」


「どれくらい私失望されてたの!?」


ひどいラズエルの発言に涙目になりながらツッこむアテネ。


「……ハッ!」


「鼻で笑われた!?私一応神なのに!?」


「…まぁ、冗談はこれくらいにして…」


「冗談だったの…ふぅ、よか「いや、冗談じゃありませんよ?「どっちだよ!?」


「うるさいですよ?いい加減黙れ。そして私の次の質問に答えやがれ。」


「もういろいろと扱いがひどいけど…で?なに?」


ラズエルは聞く、一番疑問な点を。


「どうやって、あのファフニールを、人間嫌いを人族化させたんです?」


それを聞いて、不敵な笑みを浮かべるアテネ。


「ふふふ…聞きた「さっさとしゃべれや!!うぜぇな!!」


ゴツンと殴られるアテネ。
嘘泣きをし始めたのでもう一発殴るラズエル。


「痛いじゃないか!?」


「あんたが悪いだろう?さっさと喋れ!」


一呼吸置き、


「えーとねぇ、「さっさと「今喋るんでしょうが!!」






アテネ…幼女は胸をどんとたたき語りだす。








「いい?アイツに、私はこういったの。えっと…まずこう…半裸になりながらうるんだ瞳で……『アレンっていうやつを倒してくれたら、永遠に私を好きにしていいよ…?』ってしなだれかかって、頬にキスした。」




「…………は?……え?アイツ、ロリコン?」


「うん。アイツ、筋金入りのロリコンだよ?」




盛大にため息をつくラズエルはそろそろ決着がついただろうかと思い、意識をアレンとファフニールの方へ向ける。


「へ…?」


ラズエルが呆けた声をだして、止まる。






様子のおかしいラズエルに気付いたアテネはラズエルの見ている方向を見る。


時が、止まったようだった。


最初に声を上げたのはアテネだった。


「ななんなの!?ねぇラズエル!?あれなんなの!?最初見たときは数千万の能力値の能力値だったのに…まさか…解析間違ってた!?」


ラズエルがその言葉に我を取り戻す。
そして、アテネに食って掛かる。


「そんな訳あるかっ!お前、仮にも神だろうがっ!!ちっ…!おいクソ神…あいつの能力値…私の見間違いじゃなけりゃ…STRが400億オーバーなんだが…どういうことだ!?」




「私だってわかんないよ!!」


そう叫び、アレンの能力値を再解析するアテネ。だが、何度やっても結果は同じだった。


アレンの持っている剣を解析しようとしたとたん、すさまじい悪寒がアテネを襲う。


これ以上は踏み入ってはいけない、踏み入れば…まさしく死を予感させるなにかがあの剣にはあったのだ。


手を止めたアテネは呟く。




「なんで…?ただの人間がそんな数値になるわけがないのに…アイツは正真正銘の化け物…いや、化け物っていう言葉ですら生ぬるい…絶対的な唯一無二の『最高神』…それと等しい力がなぜ…アイツに?…それにあの剣は…まさか…『神殺』?」






その呟きは画面から聞こえてくる轟音にかき消されてしまった。






――――――――――




アレンは今、自分の身に何が起こっているか理解できなかった。


手の中に現れた剣を握りしめたらすさまじいパワーが自分の内側から『解放』されたのを感じたのだ。


「な…なんだその力は!?」


始めてまともに口を開いた男…ファフニールは目の前の男から放たれる力が桁違いなことを感じ、本能的な恐怖を感じてしまっていた。


「なんだ!?一体何が起こっているんだ!?」


アレンの視界は自分が放っていると思われる尋常ではない力を持った蒼く光り輝く闘気を前に、困惑していた。


「クッ……あの女め…我を誑かしおって…この力…最高神にも匹敵するではないか!?」


ファフニールは自分にいじらしく微笑んできた女…アテネを恨み、歯を食いしばる。


彼は当初アテネから最高神を殺すように頼まれるかと思っていたが、予想に反してアテネの頼みは至極簡単なもの…男を一人殺す…ただそれだけの内容だった。
人の姿になってという条件は気に食わなかったが、自分の力であれば人族一人ごとき、絶対に滅ぼせると自信が彼にはあった。
だが、その自信を彼は失いそうになっていた。


(ただの人族と侮っていたか…契約の内容からするとこの騒動は最高神には伝わっていない…ここで、この小僧を仕留めきれなければ…すべてのものが滅ぼされてしまう…!)




ファフニールは目の前の強大な力を前にしても臆することはなかった。
アテネに嵌められたことは悔しい、だが彼も天界反乱軍の一員だった男。
この程度の逆境に逃げ出すことは。彼のプライドが許さなかった。


「うおおおおおおおおおおお!!行くぞ!人間ッッ!!死ねぇえぇぇぇぇぇぇ!!」


彼は人の身に変化していたが、能力は本質的には変わらない。
彼の本来の戦い方はまず、魔力による結界を作成。外界から敵を完全に隔離し、敵の自由を奪う。そして、彼の風と氷の魔力により、敵を凍らせ、切り裂き絶命させるというものだった。


瞬時に結界が張られ、アレンがその中に閉じ込められてしまいそうになる。




「何がなんだかわからんが…死んでやるもんか!!おりゃあ!!」




ゴォっという音と共に振り下ろされるロングソード。それはまるで夜空に浮かぶ太陽のように光輝いていた。


瞬間、ファフニールの攻撃すべてが打ち砕かれる。


覆いかけていた結界は瞬時に霧散してしまう。


緑と銀色の魔力はアレンを傷つける事さえかなわなかった。






絶対的な力の差が、そこにはあった。




―――――――――――


地上のクローディア達も、アレンの尋常ではない力の波動を感じていた。


「あの光は!?アレンさんに何があったんですの!?」


「私にもわかりません!…クローディアさんはアレン君の秘密、知っているんでしょう!?


クローディアは唖然とした表情で動かない。
しかし、数秒するとアレンの異常な能力値を思い出した。


(アレンが私に見せくれたステータスの数値は確かに数千万だったはず…だけど、彼が私に話してくれたのは数百億っていう意味の分からない能力値だったわね…?どっちにしろすっごく強いっていう事だけ先行して突き詰めなかったけど…)


クローディアは知っている事を全て話そうと決意した。
アレンが不在だが、彼が戻ってきたときに不快な思いをさせたくはない。


「みんな聞いて…アレンが戻ってくるまでに話がしたいの…ガイゼルさん、エル、リリア。いい、一回しか言わないわよ……実は…」






クローディアが端的に説明する。
自分たちが城壁都市で黒い龍に襲われ、アレンが最終的には倒したという事。それをきっかけにアレンは詳しくは話してくれなかったがなんだかすごい能力値になったという事…


ガイゼルは信じられないという顔をして、エルは口に手を当て「本物の、英雄ですの」などと口走っていた。リリアも「あの時…やっぱり…そうだったんですね…」など呟いていた。

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