ファンタジー異世界って・・・どういうことだっ!?
第11話 アレンの一番長い2日間~前編Ⅰ~
鳥の鳴き声ひとつ聞こえない夜を越えた3人は、最後の研修【ゴブリン】の討伐を目指すことにした。
通常の研修であればここまで来るのに最低でも5日間はかかるのだが、アレンとクローディアの成長がめざましかったため、ヨーグは独断でゴブリン討伐の任務を二人に与えたのだ。
しかし、探索を開始して2時間ほどたつが、今のところ動物一匹見当たらない。
「……おい、ヨーグのおっさん。本当にゴブリンなんているのか?鳥一匹も見当たらないぞ?」
「おかしいぞ…この時期はゴブリンの繁殖期のはずだ…こんなに探してもいないとなると……」
ヨーグが思案しているとクローディアが小さく声を上げる。
「ねぇ、アレン、ヨーグさん。なんだかあっちのほうに魔物の気配がするわよ……?」
そう言うと、森の奥のほうを指さすクローディア。
「そうか…お嬢ちゃんの察知能力には人間はかなわないからな…よし、そっちを目指すぞ」
クローディアに誘導されて森の奥まで言ったアレンたち。
そこでやっと見つけたのだ、黒く薄汚れたような緑色の肌をした【ゴブリン】を。
そいつはアレンたちのいるところから100mほど離れた洞窟の前に3匹いた。
「よし…見つけた…ん?なにか様子が変じゃないか?おっさん?」
「おい、それ以上近づくな。気付かれるぞ……うむ…?なにか変だな?」
そう、明らかにそのゴブリンたちは様子がおかしかった。
ひっきりなしにあたりを見渡し、今すぐにでも逃げ出したいような雰囲気を出している。
「なんだか…怯えているみたいね…?」
クローディアがそれを見て、気持ち悪そうに言う。
「だが…なにから?やはりここは退くべきか?」
「えぇ?せっかくここまで来たんだ。3匹くらい倒していけばいいじゃないか?」
考えなしに言うアレンをヨーグが叱る。
「バカ野郎。よく見てみろ。あの3匹の後ろにある洞窟はゴブリンの巣だ。巣の中にはあいつらとは比較にならないほどの強さの【キングゴブリン】がいるはずだ。明らかに俺たち3人では討伐できるレベルではない。」
むぅ…と悔しそうな顔をするアレン。
「なぁに、クソガキ。ゴブリンの巣を見つけたってだけで結構な手柄だ。討伐隊を組んで掃討できるんだからな。ここはいったん退いて、ギルドに発見の報告をすればいい。3Gは固いかもな…」
それを聞いて嬉しそうな顔をするクローディア。
「そんなにもらえるのね…ねぇ、アレンここはヨーグさんの言うとおり、退きましょう。でも、私たちの研修…試験はどうなるの?」
「そういえばそうだな。この場合はどうなるんだ?おっさん」
「…この俺に一撃入れたって事実だけでお前らは合格だよ。俺はランクBの冒険者だからな。ゴブリン討伐は実際に依頼を受けて、達成する流れを教えるためのいわば訓練だ。」
それを聞いて喜ぶアレンとクローディア。
「ホントか!?やったな、クローディア!これで俺たちは立派な冒険者だ!」
「そうね…!アレン。ホントにありがとう!私だけじゃここまで来られなかったわ…!」
「ふん…せいぜい死なないことだな。今回得た経験を糧にしっかりやれよ。だが、まだ研修は終わってないぞ?二人とも。帰るまでが、冒険だからな。」
その言葉に気を引き締めなおす二人。だが、緩んだ口元を隠しきれずに微笑みながら、都市へと戻るのだった。
———————冒険者ギルドにて
「いらっしゃいま…あぁ!?あの変態と黒猫美少女だよ!?ヨーグさん、早すぎませんか!?いったいどうしてこんなに早く帰ってきたんです!?」
(受付のお姉さん…やたら俺のこと嫌ってんな…」
受付嬢の何気ない一言で傷つくアレン。お前はそれだけのことをしているぞ。
「…こいつら成長が早くてなぁ。俺に一撃入れやがったんだよ。だから、合格だ。手続きを頼む。あとゴブリンの巣をアレン・クローディアのパーティーが発見したんだ。その報告手続きも同時に頼む。」
さらっと言うヨーグ。どこか得意げな顔をしている…
アレンがヨーグの耳元で巣の発見の手柄にヨーグが含まれていないことを尋ねる。
「おい、ヨーグのおっさん。巣を見つけたのは俺とクローディアだけじゃ「うるせぇ。だまって手柄を譲られとけ。あとあとの信用にも響いてくるからな。受け取っとけ。ちょっとした俺からの祝いだ…」
「ありがとう…おっさん。」
「ありがとうヨーグさん!この恩は必ず返すわね!!」
受付嬢がにっこりとほほ笑み手続きを開始する。
MAP情報を提供し、報酬を受け取る。受け取った3Gはクローディアと話して、1Gはパーティーの共有財産にし、ほかの2Gはアレンとクローディアで山分けした。
「じゃあ…俺がお前らを担当するのもここまでだ。この後はギルドの職員に一通り説明を受けることになる…短い間だったが、楽しかったぜ。」
「あぁ…!おっさん!俺も楽しかった!」
「もう…アレンったら…ヨーグさん。いままで本当にお世話になりました。今度、おうちの奥さんと子供たちに会いにいってもいいですか?」
「あぁ!お嬢ちゃんならいつでも歓迎だぞ!ただし…クソガキは連れてくるなよ?俺の子供たちがしんぱいだからな…」
「あぁ、ひっでぇ!おっさん!俺はロリコンじゃな「うるせぇ!クソガキ!!」
ーガツン!
ヨーグの鉄拳はやっぱり、痛かった。
そのあと、ひとしきり笑った後、アレンは思う。
(異世界来て本当に良かった…前の世界より生きてるって感じがする…!クローディアも、リリアさんもヨーグのおっさんもみんなとってもいい人ばっかりだな!!このまま楽しく、過ごせたら最高だなぁ…)
アレンはギルドの説明を聞き終え、冒険者カードを手にする。
クローディアとおそろいの【Fランク】の文字。
2人はリリアの家に着くまで、どちらからともなく手をつないだまま、終始笑顔だった。
————————
クローディアと話し合った結果。まずいったんリリアの家でアレンの荷物をまとめ、宿をとろうという話になった。
「リリアさん!!ただいま!俺、冒険者になれたよっ!!」
リリアの家の門を開け、たまらずといった様子で叫ぶアレン。
奥からドタドタという音とともに玄関に出てくるリリア。
「アレンさん!!冒険者になれたんですね!?おめでとうございます!そして、おかえりなさい!」
リリアも笑顔でアレンを迎える…が、隣にいる黒猫美少女…クローディアを見て、血相を変える。
「アレンさん!?この子はいったいどこから拾ってきたんですか!?誘拐ですよ!?何やってるんですか!?」
ぐらんぐらんとアレンの胸元をつかみ前後にゆするリリア。
「誤解だって!!こっちはクローディア「初めましてリリアさん…でしたか。私はクローディアと申します。アレンには冒険者ギルドで知り合いまして、一緒に研修を受けたんです。」
騒ぐアレンに言葉を被せ、自己紹介ぐらいできるといわんばかりに前に出るクローディア。
「は、初めまして…私は衛兵の兵舎で治癒術師をしております。リリアと申します…」
そして、優雅に一礼するクローディアにあっけにとられるリリア。
しかし、続いての一言にリリアは驚愕することになる。
「アレンとは『2人っきり』でパーティーを組んで、一緒に旅をすることになりましたので、ご報告までに。」にこっ
挑発的な態度のクローディア。彼女はリリアのうちに秘める想いを感じとったのか、先手を打っておくことにしたようだ。
「…?え?アレンさん?どういうことです?この女の子とどういう関係なんです?」
「まずっ、この手を、放してっ!!リリアさんっ…くるしっ…げぼあっ!!」
あっ、といい手を放すリリア。玄関に座り込むアレン。
一緒に冒険者になり、パーティーを組んだアレンとクローディア。
考えたアレンはこう、言った。
「はぁ、はぁ…えっと、有体に言えば…パートナー…ですかね…?」
「……え?」
リリアは、頭が真っ白になった。
通常の研修であればここまで来るのに最低でも5日間はかかるのだが、アレンとクローディアの成長がめざましかったため、ヨーグは独断でゴブリン討伐の任務を二人に与えたのだ。
しかし、探索を開始して2時間ほどたつが、今のところ動物一匹見当たらない。
「……おい、ヨーグのおっさん。本当にゴブリンなんているのか?鳥一匹も見当たらないぞ?」
「おかしいぞ…この時期はゴブリンの繁殖期のはずだ…こんなに探してもいないとなると……」
ヨーグが思案しているとクローディアが小さく声を上げる。
「ねぇ、アレン、ヨーグさん。なんだかあっちのほうに魔物の気配がするわよ……?」
そう言うと、森の奥のほうを指さすクローディア。
「そうか…お嬢ちゃんの察知能力には人間はかなわないからな…よし、そっちを目指すぞ」
クローディアに誘導されて森の奥まで言ったアレンたち。
そこでやっと見つけたのだ、黒く薄汚れたような緑色の肌をした【ゴブリン】を。
そいつはアレンたちのいるところから100mほど離れた洞窟の前に3匹いた。
「よし…見つけた…ん?なにか様子が変じゃないか?おっさん?」
「おい、それ以上近づくな。気付かれるぞ……うむ…?なにか変だな?」
そう、明らかにそのゴブリンたちは様子がおかしかった。
ひっきりなしにあたりを見渡し、今すぐにでも逃げ出したいような雰囲気を出している。
「なんだか…怯えているみたいね…?」
クローディアがそれを見て、気持ち悪そうに言う。
「だが…なにから?やはりここは退くべきか?」
「えぇ?せっかくここまで来たんだ。3匹くらい倒していけばいいじゃないか?」
考えなしに言うアレンをヨーグが叱る。
「バカ野郎。よく見てみろ。あの3匹の後ろにある洞窟はゴブリンの巣だ。巣の中にはあいつらとは比較にならないほどの強さの【キングゴブリン】がいるはずだ。明らかに俺たち3人では討伐できるレベルではない。」
むぅ…と悔しそうな顔をするアレン。
「なぁに、クソガキ。ゴブリンの巣を見つけたってだけで結構な手柄だ。討伐隊を組んで掃討できるんだからな。ここはいったん退いて、ギルドに発見の報告をすればいい。3Gは固いかもな…」
それを聞いて嬉しそうな顔をするクローディア。
「そんなにもらえるのね…ねぇ、アレンここはヨーグさんの言うとおり、退きましょう。でも、私たちの研修…試験はどうなるの?」
「そういえばそうだな。この場合はどうなるんだ?おっさん」
「…この俺に一撃入れたって事実だけでお前らは合格だよ。俺はランクBの冒険者だからな。ゴブリン討伐は実際に依頼を受けて、達成する流れを教えるためのいわば訓練だ。」
それを聞いて喜ぶアレンとクローディア。
「ホントか!?やったな、クローディア!これで俺たちは立派な冒険者だ!」
「そうね…!アレン。ホントにありがとう!私だけじゃここまで来られなかったわ…!」
「ふん…せいぜい死なないことだな。今回得た経験を糧にしっかりやれよ。だが、まだ研修は終わってないぞ?二人とも。帰るまでが、冒険だからな。」
その言葉に気を引き締めなおす二人。だが、緩んだ口元を隠しきれずに微笑みながら、都市へと戻るのだった。
———————冒険者ギルドにて
「いらっしゃいま…あぁ!?あの変態と黒猫美少女だよ!?ヨーグさん、早すぎませんか!?いったいどうしてこんなに早く帰ってきたんです!?」
(受付のお姉さん…やたら俺のこと嫌ってんな…」
受付嬢の何気ない一言で傷つくアレン。お前はそれだけのことをしているぞ。
「…こいつら成長が早くてなぁ。俺に一撃入れやがったんだよ。だから、合格だ。手続きを頼む。あとゴブリンの巣をアレン・クローディアのパーティーが発見したんだ。その報告手続きも同時に頼む。」
さらっと言うヨーグ。どこか得意げな顔をしている…
アレンがヨーグの耳元で巣の発見の手柄にヨーグが含まれていないことを尋ねる。
「おい、ヨーグのおっさん。巣を見つけたのは俺とクローディアだけじゃ「うるせぇ。だまって手柄を譲られとけ。あとあとの信用にも響いてくるからな。受け取っとけ。ちょっとした俺からの祝いだ…」
「ありがとう…おっさん。」
「ありがとうヨーグさん!この恩は必ず返すわね!!」
受付嬢がにっこりとほほ笑み手続きを開始する。
MAP情報を提供し、報酬を受け取る。受け取った3Gはクローディアと話して、1Gはパーティーの共有財産にし、ほかの2Gはアレンとクローディアで山分けした。
「じゃあ…俺がお前らを担当するのもここまでだ。この後はギルドの職員に一通り説明を受けることになる…短い間だったが、楽しかったぜ。」
「あぁ…!おっさん!俺も楽しかった!」
「もう…アレンったら…ヨーグさん。いままで本当にお世話になりました。今度、おうちの奥さんと子供たちに会いにいってもいいですか?」
「あぁ!お嬢ちゃんならいつでも歓迎だぞ!ただし…クソガキは連れてくるなよ?俺の子供たちがしんぱいだからな…」
「あぁ、ひっでぇ!おっさん!俺はロリコンじゃな「うるせぇ!クソガキ!!」
ーガツン!
ヨーグの鉄拳はやっぱり、痛かった。
そのあと、ひとしきり笑った後、アレンは思う。
(異世界来て本当に良かった…前の世界より生きてるって感じがする…!クローディアも、リリアさんもヨーグのおっさんもみんなとってもいい人ばっかりだな!!このまま楽しく、過ごせたら最高だなぁ…)
アレンはギルドの説明を聞き終え、冒険者カードを手にする。
クローディアとおそろいの【Fランク】の文字。
2人はリリアの家に着くまで、どちらからともなく手をつないだまま、終始笑顔だった。
————————
クローディアと話し合った結果。まずいったんリリアの家でアレンの荷物をまとめ、宿をとろうという話になった。
「リリアさん!!ただいま!俺、冒険者になれたよっ!!」
リリアの家の門を開け、たまらずといった様子で叫ぶアレン。
奥からドタドタという音とともに玄関に出てくるリリア。
「アレンさん!!冒険者になれたんですね!?おめでとうございます!そして、おかえりなさい!」
リリアも笑顔でアレンを迎える…が、隣にいる黒猫美少女…クローディアを見て、血相を変える。
「アレンさん!?この子はいったいどこから拾ってきたんですか!?誘拐ですよ!?何やってるんですか!?」
ぐらんぐらんとアレンの胸元をつかみ前後にゆするリリア。
「誤解だって!!こっちはクローディア「初めましてリリアさん…でしたか。私はクローディアと申します。アレンには冒険者ギルドで知り合いまして、一緒に研修を受けたんです。」
騒ぐアレンに言葉を被せ、自己紹介ぐらいできるといわんばかりに前に出るクローディア。
「は、初めまして…私は衛兵の兵舎で治癒術師をしております。リリアと申します…」
そして、優雅に一礼するクローディアにあっけにとられるリリア。
しかし、続いての一言にリリアは驚愕することになる。
「アレンとは『2人っきり』でパーティーを組んで、一緒に旅をすることになりましたので、ご報告までに。」にこっ
挑発的な態度のクローディア。彼女はリリアのうちに秘める想いを感じとったのか、先手を打っておくことにしたようだ。
「…?え?アレンさん?どういうことです?この女の子とどういう関係なんです?」
「まずっ、この手を、放してっ!!リリアさんっ…くるしっ…げぼあっ!!」
あっ、といい手を放すリリア。玄関に座り込むアレン。
一緒に冒険者になり、パーティーを組んだアレンとクローディア。
考えたアレンはこう、言った。
「はぁ、はぁ…えっと、有体に言えば…パートナー…ですかね…?」
「……え?」
リリアは、頭が真っ白になった。
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