生まれながらにして凶運の持ち主の俺はファンタジー異世界への転生ボーナスがガチャだった時の絶望感を忘れない。

蒼凍 柊一

ゴブリンとの戦闘(挿絵あり)

「グギャアアアア!!」
「ッ!」


カイリは一番手近にいたゴブリンの首を断ち切りつつ、群れていたゴブリンと距離をとった。
ごとり、と落ちたゴブリンの首。
それに反応してリーダー格であろう、ローブを着た魔術師っぽいゴブリンが咆哮した。


「あれは…呪術ゴブリン!?気を付けるのじゃ!主様!!」
「ゲギャギャギャ!!」


ゴブリンの肌は緑色で、イボイボとした表面だ。
それに、頭には二本の角っぽいのも生えている。
腰には申し訳程度の布が一枚巻いてあり、常にこちらを睨み付けてきていた。
一際大きな声で呪術ゴブリンが叫ぶと、一気に魔力がゴブリン達の体にまとわりつくのをカイリは感じていた。


「こいつら…まさか、強化されたのかっ?」
「呪術ゴブリンの特徴は、仲間を強くする魔法を使う事じゃ!」
「強化か…なに、当たらなければどうということはないっ!」


ログ
―【アレン流短双剣術】LV2がLV3にレベルアップ―
―アクティブスキル【双影剣】LV1を習得―
ー所持スキル【シュヴァルツ・ヴァイス】LV−により【双影剣】がスキル変化。これによるスキル追加発生ー
―アクティブスキル【煌天極夜】LV1【白夜一閃】LV1を習得―


カイリはログをちらりとみて、新しいスキルを習得していたことを確認した。
【煌天極夜】に、【白夜一閃】…どちらにせよ名前からはどのようなスキルか想像できないので、この場で使うのはご法度だろうとカイリは思う。


「はっ!」


―ズパン!


もう一体のゴブリンの首を落すことにカイリは成功した。
内心自分がここまで戦えているという事実に驚いていたが、そんなことで集中力を乱すわけにはいかない。


「…主様!いったん離れるのじゃ!」
「わかったっ!!シオン…!頼む!」


後方のシオンから指示が来たので、カイリは前に出てきていた二匹のゴブリンを蹴り上げながら後方に宙返り気味に飛び退った。


「わっちの魔法をくらえええ!」




<a href="//16746.mitemin.net/i177078/" target="_blank"><img src="//16746.mitemin.net/userpageimage/viewimagebig/icode/i177078/" alt="挿絵(By みてみん)" border="0"></a>




二匹のゴブリンが盛大な音を立ててはじけ飛んだ。


「うぇぇ…」


それはビジュアル的にはかなりショッキングな光景だった。
始まりは、二匹のゴブリンのちょうど間ぐらいに風の爆発が起き、その強烈な風は鎌鼬かまいたちのように斬撃の連続のような形になってゴブリン達の体を微塵に切り裂いたのだ。


「主様!気持ち悪がっている場合ではありんせん!あと一体!呪術ゴブリンが残っておるぞっ!」
「わかってるっ!」


カイリが持ち前の瞬発力で呪術ゴブリンに向かっていく。
だが…カイリは嫌な予感がした。
なにかくる、と思ったその時、


「グギャアアアアアアアアアアアア!!」


ゴブリンの、咆哮だ。
咆哮によって反響した声は、とてもではないが耳をふさがなければ耐えられないものだった。


「くっ…!なんだっ!?」
「これは…もしや魔物化…!?」


耳をふさいでいるカイリとシオンは目の前のゴブリンの変貌を見る事しかできなかった。
薄汚れた緑色の肌は、浅黒く変化し、角が生え…筋骨隆々といった様相の魔物へと姿を変えた。
ゴブリンだったそいつは、両手で構えていた杖のような棍棒を片手で持ち、威圧を放ってきている。


「なんだこいつは…!?」
「主様!気をつけよっ!そやつは魔物へと昇華しおったのじゃ!並のゴブリンとは強さが…」


シオンの警告を最後まで聞かず、カイリは走り出す。
この後皇帝と皇后…シオンの父親と母親を助けに行かなければならないのだ。
こんなところで躓いている場合ではないと思い、カイリは焦っていた。


「とりあえずぶっ殺せばいいんだろ…!」
「待つのじゃっ!?主様!!」


カイリは変貌を遂げたゴブリンと相対し、突進した。
こともあろうに、真正面からだ。
瞬間、カイリの体を衝撃が襲う。


「がはぁっ!?」
「グォォオオォオオオ!!」


カイリは何が起こったのか理解できなかった。
自分が斬りかかり、足を斬りつけたはずだったのだが、気付いたら腹に棍棒をくらっていたのだ。


「主様ぁあああああ!」
「ぐっ…!」


真横へと吹っ飛ばされたカイリ。
後ろに控えていたシオンは先ほど放った魔法の反動が大きく、動けないでいた。


「いや、いやぁああ!」


魔物と化したゴブリンは、威圧を放ちながら一歩一歩ゆっくりとシオンへと近づいてゆく。


「やめ、ろ…!」


カイリはもうろうとした意識の中思う。
あそこで突進したとき、シオンの言うことを聞いて聞いていれば。
しかしもう後の祭りだ。
言う事の効かない体を必死でよじりながら、カイリは必死で頭を働かせる。
そして、先ほど習得したスキルのことを思い出した。


「ヘルプ…!【煌天極夜】、【白夜一閃】!!」


すると、カイリの目の前に画面が出て説明が表示された。


アクティブスキル
【煌天極夜】LV1…自己強化技 消費魔力0~10000 対象能力 運以外の全能力 
    倍率 基礎能力値×300%(消費魔力0時)効果時間 一回の強化で1時間 重ねかけ不可
【白夜一閃】LV1… 目にもとまらぬ速さ(SPD、TEC依存)で切り裂く技。
 早く助けてやれ。間に合わなくなるぞ。 byアレン


「わかってるよっ!!」
画面をみやり、【煌天極夜】を発動させたカイリ。
身体がありえないほど強化されているのを感じた。


「っ……わっちは…わっちは…死にたく…ない」
「グォオッォオオ!!」


呟くシオンの眼は、最後までゴブリンの持っていた棍棒から離れなかった。
そして、直撃するその瞬間、


「させるかあああああああああああああ!!」


骨は折れ、重い体を気力だけで立ち上がらせたカイリの渾身の一撃…【白夜一閃】が魔物化したゴブリンの体を真っ二つに切裂いた。


光の粒子へと変わるゴブリンの体。
からからと転がる棍棒の音だけが、地下下水道の中に響いていた。


そして、カイリとシオン。両者の目の前にそれぞれレベルアップを告げる画面が表示された。


ログ
―個人名:カイリ LV2へレベルアップしました―
―各能力がアップ。SPを5獲得しました―
個人名:カイリ
種族:人族
レベル:2
体力:21
魔力:10
STR:17
DEF:16
TEC:28
SPD:27
INT:6
RES:6
LUK:-


所持SP:5


エクストラスキル
【メニュー】LV-
【最高神の加護】LV-
【天運虚無】LV-


パッシブスキル
【異世界言語理解】LV-
【アレン流短双剣術】LV3 TEC+5 SPD+5
【アレン流魔術】LV1 INT+1 RES+1 魔力+1
【直感強化】LV2
【軽業】LV1 SPD+2
【体術】LV2 体力+3 STR+2


アクティブスキル
【アッパー】LV1
【シュヴァルツ・ヴァイス】LV-
【煌天極夜】LV1
【白夜一閃】LV1
【神装宝庫】LV-
【無限収納】LV-
【英霊召喚】LV-
 召喚可能英霊
  ・ランク:- 【最高神】アレン




ログ
―個人名:レティシオン・アーレングラディ・セントラル・クォレツィア LV2にレベルアップしました―
―各能力がアップ―
レベル:2
体力:11
魔力:40
STR:10
DEF:11
TEC:16
SPD:9
INT:20
RES:26
LUK:964


エクストラスキル
【メニュー】LV-
【天運予言】LV35
【最高神の加護】LV-
【天運喪失】LV-


パッシブスキル
【風魔術】LV4 INT+4 魔力+4
【治癒魔術】LV5 RES+5 魔力+5
【皇族剣術】LV1 STR+1 TEC+1


アクティブスキル
【空気操作】LV3
【エアボム】LV2
【ヒール】LV5



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