神速の騎士 ~駆け抜ける異世界浪漫譚~

休月庵

トラップ

大和 光は眼下の地面を見つめた。




「ところで先生、聞いてもいいかな?」


「なにかしら、弟子よ。」




とけた地面を見つめながら、二人は軽口を言い合う。




「ダイアウルフってダイヤを持ってるんだよな?」


「そうね。」


「ダイヤって、熱に弱いよな。」


「そうね。」


「これ、ダイヤ残ってるかな?」


「残ってないでしょうね。」


「……先生。」




光は何とも言えない顔でロゼリアを見つめる。
しばらくそうしていると、耐えきれなくなったロゼリアが言う。




「ダイヤなんてどうでもいいの!私は狼に報復したかったの!それだけよ!」




一時の感情に流されてやった。
後悔は、少しだけしていたロゼリアだった。




それでも一応、下の広場に降りて探してみることになった。
地面が冷めるのを待つのも面倒なので、光が衝撃波で風を送って冷ました。




そうして広場に降りた二人は狼がいた辺りを探してみるが、ダイヤは見つからなかった。


が、地面に埋まった魔石は見つかった。




「魔石って丈夫なんだな。」


「そうね。」




なにも見つからないよりはいいか。
光はそう自分に言い聞かせて辺りを見渡し、少し離れたところにある魔石らしきものを拾おうとした。




(……あれ?これで7つ目?)




そう思った瞬間に手が触れて、光の意識は暗転した。




パーティー【森の赤鷲】は、その日街に戻らなかった。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品