神速の騎士 ~駆け抜ける異世界浪漫譚~
初めての魔石
大和 光はダンジョンに潜った。
「ここがダンジョンか。」
建物からダンジョンに入る入り口には、大きな金属の扉が備え付けられており、その両脇には衛兵が立っていた。
そして、その扉を潜った先は洞窟となっていた。
壁づたいに灯りが灯してあり、遠く先まで見通せる。
「どう?ダンジョンに初めて潜ったご感想は?」
「なんか、雰囲気が違うな。ここから別世界なんだって感じがするというか……気を引き締めないとなって感じがする。」
「それはよかった。一応、15階までは攻略されてるし、私も行ったことがあるから危ないところは避けられるわ。でも、油断はしないでね。ここからは戦場よ。」
「わかりました、ロゼリア先生!」
フフン、とロゼリアは胸を張る。
ロゼリアの方こそ、浮かれて油断しないだろうな、と光は心配するが、口にすると怒られそうなので黙っておく。
しばらく進むと、前方に小さな動物のようなものが見えた。
「光、魔物よ。あれは灰色ネズミね。一匹だけみたいだし、危険はないから、光が相手してみて。」
「了解、先生。」
光は即座に灰色ネズミの目の前に移動し、勢いそのままに灰色ネズミを蹴り飛ばす。
サッカー経験者でもないのに、芯をとらえた見事な蹴りだった。
灰色ネズミはそのまま飛んでいき、行き止まりの壁に叩きつけられてべちゃりと潰れた。
「ねぇ、光。」
「なんだ、先生。」
「光の腰にあるのは、剣よね。」
「ああ、そうだが。」
「どうして、剣を使わないの?」
「どうしてって……剣なんて使ったことがないからな。」
当然のように話す光を、しばしロゼリアは見つめて言う。
「そう。まあ、なにも言わないわ。」
灰色ネズミは弱い魔物だ。
ネズミゆえ群れることもあり、群れとしてみたときは驚異となるが、ダンジョンの1階では発見次第駆除される。
それゆえ、ダンジョン初心者はまず灰色ネズミを倒して自信をつける、そういう流れが存在するくらいには弱い魔物だ。
だが、ロゼリアの長い冒険者生活の中でも、灰色ネズミをボールのように蹴飛ばして壁に叩きつけて潰すという倒し方は、物珍しいものだった。
「魔石をとりにいきましょう。」
飛んでいってしまった灰色ネズミの元へと向かう二人。
「じゃ、光、魔石を探して。」
「え、ここから?」
目の前にはぐちゃぐちゃにつぶれた灰色ネズミだったものがある。
「そうよ。早くして?」
ロゼリアに平然と促され、男として躊躇ってはいけないような強迫観念に襲われつつ、光は肉の中に手を突っ込んだ。
そうして、生暖かくて柔らかい感触に気持ち悪さを感じながら魔石を探して取り出した。
魔石は小指の爪ほどの大きさで、透明な薄紫色をした宝石のようだった。
「初めての魔石の取得おめでとう、光。」
「うん、ありがとう、ロゼリア……」
元気なく返す光に、ロゼリアは笑って言う。
「ほら、そんなんじゃこの先やっていけないわよ。それとその魔石、大事に持っておきなさい。最初に手に入れた魔石はお守りとして持っておくのが冒険者のならわしよ。」
気持ち悪さでいっぱいで魔石を手に入れた喜びなんて感じなかった光だが、そう言われると、なんだか嬉しいような気がしてきた。
光は、魔石を大事にしまった。
「ここがダンジョンか。」
建物からダンジョンに入る入り口には、大きな金属の扉が備え付けられており、その両脇には衛兵が立っていた。
そして、その扉を潜った先は洞窟となっていた。
壁づたいに灯りが灯してあり、遠く先まで見通せる。
「どう?ダンジョンに初めて潜ったご感想は?」
「なんか、雰囲気が違うな。ここから別世界なんだって感じがするというか……気を引き締めないとなって感じがする。」
「それはよかった。一応、15階までは攻略されてるし、私も行ったことがあるから危ないところは避けられるわ。でも、油断はしないでね。ここからは戦場よ。」
「わかりました、ロゼリア先生!」
フフン、とロゼリアは胸を張る。
ロゼリアの方こそ、浮かれて油断しないだろうな、と光は心配するが、口にすると怒られそうなので黙っておく。
しばらく進むと、前方に小さな動物のようなものが見えた。
「光、魔物よ。あれは灰色ネズミね。一匹だけみたいだし、危険はないから、光が相手してみて。」
「了解、先生。」
光は即座に灰色ネズミの目の前に移動し、勢いそのままに灰色ネズミを蹴り飛ばす。
サッカー経験者でもないのに、芯をとらえた見事な蹴りだった。
灰色ネズミはそのまま飛んでいき、行き止まりの壁に叩きつけられてべちゃりと潰れた。
「ねぇ、光。」
「なんだ、先生。」
「光の腰にあるのは、剣よね。」
「ああ、そうだが。」
「どうして、剣を使わないの?」
「どうしてって……剣なんて使ったことがないからな。」
当然のように話す光を、しばしロゼリアは見つめて言う。
「そう。まあ、なにも言わないわ。」
灰色ネズミは弱い魔物だ。
ネズミゆえ群れることもあり、群れとしてみたときは驚異となるが、ダンジョンの1階では発見次第駆除される。
それゆえ、ダンジョン初心者はまず灰色ネズミを倒して自信をつける、そういう流れが存在するくらいには弱い魔物だ。
だが、ロゼリアの長い冒険者生活の中でも、灰色ネズミをボールのように蹴飛ばして壁に叩きつけて潰すという倒し方は、物珍しいものだった。
「魔石をとりにいきましょう。」
飛んでいってしまった灰色ネズミの元へと向かう二人。
「じゃ、光、魔石を探して。」
「え、ここから?」
目の前にはぐちゃぐちゃにつぶれた灰色ネズミだったものがある。
「そうよ。早くして?」
ロゼリアに平然と促され、男として躊躇ってはいけないような強迫観念に襲われつつ、光は肉の中に手を突っ込んだ。
そうして、生暖かくて柔らかい感触に気持ち悪さを感じながら魔石を探して取り出した。
魔石は小指の爪ほどの大きさで、透明な薄紫色をした宝石のようだった。
「初めての魔石の取得おめでとう、光。」
「うん、ありがとう、ロゼリア……」
元気なく返す光に、ロゼリアは笑って言う。
「ほら、そんなんじゃこの先やっていけないわよ。それとその魔石、大事に持っておきなさい。最初に手に入れた魔石はお守りとして持っておくのが冒険者のならわしよ。」
気持ち悪さでいっぱいで魔石を手に入れた喜びなんて感じなかった光だが、そう言われると、なんだか嬉しいような気がしてきた。
光は、魔石を大事にしまった。
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