神速の騎士 ~駆け抜ける異世界浪漫譚~
ダンジョンデビュー
大和 光は目の前の像を見上げた
「でかい像だ……」
目の前の像は、見上げるほど高かった。
奈良の大仏くらいはあるだろうか。
剣を地面に突き刺し、柄に両手を当ててまっすぐ前を見ている、がっしりとした騎士の像だ。
像を見上げて呟く光にロゼリアが言う。
「すごいでしょう?このダンジョンを最初に攻略した人の像よ。」
「像にまでなるなんて、ダンジョンクリアは本当に偉業なんだな。」
「そうよ。私もいつかダンジョンをクリアして、街の英雄になるのが夢なの。私だけじゃないわ、この街の冒険者はみんなそうよ。」
光は像に向かって手を合わせ、目をつぶって拝んだ。
怪我をしませんように、ダンジョンクリアできますように、と念を込めながら拝んでいる光に、ロゼリアが怪訝な声で聞いた。
「……なにをしてるの?」
「いや、ダンジョンを無事にクリアできるように、初代様に拝んでたんだ。」
「ふーん。光ってじじ臭いところあるのね。」
じじ臭いとは失礼なやつだ、こういうのは験担ぎが大事なんだ、と内心思いつつ、光は無視して拝み続けた。
ダンジョンの入り口は、冒険者ギルドと似た造りの建物の中にある。
隣にはこの街の衛兵の練兵場が併設されており、ダンジョンから魔物が街に出てこないように見張っているらしい。
建物の中には受付があり、ダンジョンの入出者管理を行っている。
「ダンジョンに入ります。パーティー名は【森の赤鷲】。」
「はい、承りました。お気をつけて。」
ロゼリアがダンジョンに入るための手続きを済ませる。
パーティー名は、二人が出会った場所と、二人のイメージからとった。
赤がロゼリア、鷲が光だ。
鷲はこの世界にもいるらしい。
「それでは、お気をつけていってらっしゃいませ。」
見送りに来てくれたトリスが言う。
「ありがとうございます、トリスさん。今日は様子見ですし、頼りになる先生も一緒ですから、大丈夫ですよ。」
「そうですね。ロゼリアさん、どうか光様をよろしくお願い致しますね。」
「任されたわ。ちゃんと無事に返すから、心配しないで待っていてちょうだい。」
ロゼリアは胸を叩いて答え、ダンジョンの入り口に向かった。
光もトリスに目配せし、ロゼリアの後に続こうとしたそのとき、トリスが光の手をつかんだ。
そしてそのまま、胸元で光の手を抱き締めて言った。
「待ってますからね。」
暖かい手のひらと柔らかい胸元、そして健気な言葉は光にクリーンヒットした。
「は、はい。」
たじたじになりつつ答える光に、トリスは満足げに微笑みを返した。
そうして、光はダンジョンに足を踏み入れた。
「でかい像だ……」
目の前の像は、見上げるほど高かった。
奈良の大仏くらいはあるだろうか。
剣を地面に突き刺し、柄に両手を当ててまっすぐ前を見ている、がっしりとした騎士の像だ。
像を見上げて呟く光にロゼリアが言う。
「すごいでしょう?このダンジョンを最初に攻略した人の像よ。」
「像にまでなるなんて、ダンジョンクリアは本当に偉業なんだな。」
「そうよ。私もいつかダンジョンをクリアして、街の英雄になるのが夢なの。私だけじゃないわ、この街の冒険者はみんなそうよ。」
光は像に向かって手を合わせ、目をつぶって拝んだ。
怪我をしませんように、ダンジョンクリアできますように、と念を込めながら拝んでいる光に、ロゼリアが怪訝な声で聞いた。
「……なにをしてるの?」
「いや、ダンジョンを無事にクリアできるように、初代様に拝んでたんだ。」
「ふーん。光ってじじ臭いところあるのね。」
じじ臭いとは失礼なやつだ、こういうのは験担ぎが大事なんだ、と内心思いつつ、光は無視して拝み続けた。
ダンジョンの入り口は、冒険者ギルドと似た造りの建物の中にある。
隣にはこの街の衛兵の練兵場が併設されており、ダンジョンから魔物が街に出てこないように見張っているらしい。
建物の中には受付があり、ダンジョンの入出者管理を行っている。
「ダンジョンに入ります。パーティー名は【森の赤鷲】。」
「はい、承りました。お気をつけて。」
ロゼリアがダンジョンに入るための手続きを済ませる。
パーティー名は、二人が出会った場所と、二人のイメージからとった。
赤がロゼリア、鷲が光だ。
鷲はこの世界にもいるらしい。
「それでは、お気をつけていってらっしゃいませ。」
見送りに来てくれたトリスが言う。
「ありがとうございます、トリスさん。今日は様子見ですし、頼りになる先生も一緒ですから、大丈夫ですよ。」
「そうですね。ロゼリアさん、どうか光様をよろしくお願い致しますね。」
「任されたわ。ちゃんと無事に返すから、心配しないで待っていてちょうだい。」
ロゼリアは胸を叩いて答え、ダンジョンの入り口に向かった。
光もトリスに目配せし、ロゼリアの後に続こうとしたそのとき、トリスが光の手をつかんだ。
そしてそのまま、胸元で光の手を抱き締めて言った。
「待ってますからね。」
暖かい手のひらと柔らかい胸元、そして健気な言葉は光にクリーンヒットした。
「は、はい。」
たじたじになりつつ答える光に、トリスは満足げに微笑みを返した。
そうして、光はダンジョンに足を踏み入れた。
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