神速の騎士 ~駆け抜ける異世界浪漫譚~
ロゼリアの恩返し
大和 光は冒険者ギルドにいた。
今日も今日とて、朝から冒険。
光は今日も冒険者ギルドでクエストを受けるつもりだった。
今日こそは魔物討伐のクエストを受ける、と意気込んでレドルンドの屋敷を出ようとすると、当然のようにトリスがついてきた。
「今日も案内しますよ。」
可愛らしく微笑んでトリスが言う。
「毎日オレに付き合っていて、お仕事は大丈夫なんですか?」
「大丈夫です。レドルンド様の許可はいただいています。」
レドルンド様の許可があるのなら、光に断る理由はない。
「じゃあ、お願いします。」
二人で連れ添って冒険者ギルドに向かう。 
他愛ない話をしながら歩いていると、次第にリリーナの話になった。
「そういえば、リリーナ様はどうなさっているんですかね。この前の夕食以来お会いしていませんが、レドルンド様のお屋敷にいらっしゃるんですよね?」
「そうですね。お忙しくしてらっしゃるようです。朝は早く、夜は遅く、屋敷にはあまりいらっしゃいません。」
「そうですか。やはり王女様となると大変なんですね。」
「そうですとも。特に、このロアの街はレギン王国の中でも重要な街なので、有力な方への挨拶だけでも数日はかかると思いますよ。」
光はリリーナのことをただ可愛い女の子としかと思っていなかったが、王女と言うのはやはり特別なものなのだな、と思った。
そうこうしているうちに、冒険者ギルドにたどり着いた。
ドアを開けて中に入り、さあクエストボードを確認しよう、と思ったそのとき、大きな声が響いた。
「お兄さん!」
声のした方を見ると、赤い髪をポニーテールにした活発そうな少女、ロゼリアが光に向かって走ってきた。
「お兄さん、昨日はありがとう!おかげて妹の容態も良くなってきたわ!」
「ロゼリアさん。妹さんも無事なようでよかった。妹さんもそうだけど、ロゼリアさんが帰って来てお母さんも喜んだろう。」
「そうね。喜んでくれたけど、そのあと怒られたわ。無茶するな、だって。大和 光さん、よね。今度直接、光さんにお礼がしたいって言っていたわ。あと、私のことはロゼリアってよんで。」
「わかった、ロゼリア。昨日も言ったけど、おれはクエストとしてロゼリアを助けにいっただけだ。お礼はギルド経由でしっかりもらってるから十分だよ。」
「でも、それじゃあ気がすまないわ!私と妹の二人分の命、報酬って言うならもうひとつ必要よ!絶対にお礼はするわ!」
ロゼリアは頑固だった。
どうしたものかな、と光が悩んでいると、静かに聞いていたトリスが口をはさんだ。
「ロゼリアさん、ですか。すみません、少しよろしいですか?」
ロゼリアは横にいるトリスに今気づいたかのように答える。
「あら、あなたは?」
「私はトリスと申します。現在、光様が滞在されている、レドルンド様の屋敷でメイドをしております。」
「!領主様の!光……様は、領主様の関係者なのね。」
「はい。光様は、大恩ある客人としてレドルンド様がもてなしております。」
「そう……じゃあなおさらね。そんな高貴な方に助けていただいたとあれば、なにもしないわけにはいかないわ!」
光は展開についていかず、弱々しく訂正する。
「いや、おれは別に高貴な訳じゃあ……」
しかし二人は光の言葉など意に介さない。
「ご立派なお心がけ、さすがは烈火の魔女です。貴方様のご活躍には、レドルンド様もお喜びになっております。」
「もったいないお言葉、感謝しますわ。」
「そこで、ロゼリアさんにご提案があります。光様が受けとることをためらわず、かつロゼリアさんにもご満足いただけるお話です。」
ロゼリアは喜んでくいつく。
いったいどんな話なのか、光も気になった。
「光様とロゼリアさん、お二人でパーティーを組むのはいかがでしょうか?」
トリスの言い分はこうだ。
光はゆくゆくはダンジョンに潜りたい。
しかし、能力はあるが経験が不足している。
対して、ロゼリアはダンジョン経験が豊富なベテランだ。
ロゼリアとパーティーを組んでダンジョンに潜れば、光はおおいに助かる。
そして、光とパーティーを組まなくてもロゼリアはダンジョンに潜るのだ。
光としてもなにも気兼ねすることはない。
そうトリスに理路整然と説得されて、光もロゼリアもその通りだと思った。
こうして、二人はパーティーを組んだ。
今日も今日とて、朝から冒険。
光は今日も冒険者ギルドでクエストを受けるつもりだった。
今日こそは魔物討伐のクエストを受ける、と意気込んでレドルンドの屋敷を出ようとすると、当然のようにトリスがついてきた。
「今日も案内しますよ。」
可愛らしく微笑んでトリスが言う。
「毎日オレに付き合っていて、お仕事は大丈夫なんですか?」
「大丈夫です。レドルンド様の許可はいただいています。」
レドルンド様の許可があるのなら、光に断る理由はない。
「じゃあ、お願いします。」
二人で連れ添って冒険者ギルドに向かう。 
他愛ない話をしながら歩いていると、次第にリリーナの話になった。
「そういえば、リリーナ様はどうなさっているんですかね。この前の夕食以来お会いしていませんが、レドルンド様のお屋敷にいらっしゃるんですよね?」
「そうですね。お忙しくしてらっしゃるようです。朝は早く、夜は遅く、屋敷にはあまりいらっしゃいません。」
「そうですか。やはり王女様となると大変なんですね。」
「そうですとも。特に、このロアの街はレギン王国の中でも重要な街なので、有力な方への挨拶だけでも数日はかかると思いますよ。」
光はリリーナのことをただ可愛い女の子としかと思っていなかったが、王女と言うのはやはり特別なものなのだな、と思った。
そうこうしているうちに、冒険者ギルドにたどり着いた。
ドアを開けて中に入り、さあクエストボードを確認しよう、と思ったそのとき、大きな声が響いた。
「お兄さん!」
声のした方を見ると、赤い髪をポニーテールにした活発そうな少女、ロゼリアが光に向かって走ってきた。
「お兄さん、昨日はありがとう!おかげて妹の容態も良くなってきたわ!」
「ロゼリアさん。妹さんも無事なようでよかった。妹さんもそうだけど、ロゼリアさんが帰って来てお母さんも喜んだろう。」
「そうね。喜んでくれたけど、そのあと怒られたわ。無茶するな、だって。大和 光さん、よね。今度直接、光さんにお礼がしたいって言っていたわ。あと、私のことはロゼリアってよんで。」
「わかった、ロゼリア。昨日も言ったけど、おれはクエストとしてロゼリアを助けにいっただけだ。お礼はギルド経由でしっかりもらってるから十分だよ。」
「でも、それじゃあ気がすまないわ!私と妹の二人分の命、報酬って言うならもうひとつ必要よ!絶対にお礼はするわ!」
ロゼリアは頑固だった。
どうしたものかな、と光が悩んでいると、静かに聞いていたトリスが口をはさんだ。
「ロゼリアさん、ですか。すみません、少しよろしいですか?」
ロゼリアは横にいるトリスに今気づいたかのように答える。
「あら、あなたは?」
「私はトリスと申します。現在、光様が滞在されている、レドルンド様の屋敷でメイドをしております。」
「!領主様の!光……様は、領主様の関係者なのね。」
「はい。光様は、大恩ある客人としてレドルンド様がもてなしております。」
「そう……じゃあなおさらね。そんな高貴な方に助けていただいたとあれば、なにもしないわけにはいかないわ!」
光は展開についていかず、弱々しく訂正する。
「いや、おれは別に高貴な訳じゃあ……」
しかし二人は光の言葉など意に介さない。
「ご立派なお心がけ、さすがは烈火の魔女です。貴方様のご活躍には、レドルンド様もお喜びになっております。」
「もったいないお言葉、感謝しますわ。」
「そこで、ロゼリアさんにご提案があります。光様が受けとることをためらわず、かつロゼリアさんにもご満足いただけるお話です。」
ロゼリアは喜んでくいつく。
いったいどんな話なのか、光も気になった。
「光様とロゼリアさん、お二人でパーティーを組むのはいかがでしょうか?」
トリスの言い分はこうだ。
光はゆくゆくはダンジョンに潜りたい。
しかし、能力はあるが経験が不足している。
対して、ロゼリアはダンジョン経験が豊富なベテランだ。
ロゼリアとパーティーを組んでダンジョンに潜れば、光はおおいに助かる。
そして、光とパーティーを組まなくてもロゼリアはダンジョンに潜るのだ。
光としてもなにも気兼ねすることはない。
そうトリスに理路整然と説得されて、光もロゼリアもその通りだと思った。
こうして、二人はパーティーを組んだ。
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