神速の騎士 ~駆け抜ける異世界浪漫譚~
メインストリート
大和 光は街のメインストリートに訪れた。
トリスにロゼリア救出を報告したあと、予想外に時間が空いたので何をしようか悩んでいた光に、トリスが街を案内すると言ってくれた。
思えば冒険者ギルドに目を奪われて、この街のことをなにも知らないことに思い当たった光は、是非にとお願いしたのだ。
とは言え、ロアの街は広い。
すべてを見て回るには午後のちょっとした時間ではとても足りないので、今日は街のメインストリートを見せてもらった。
迷宮都市として有名なロアの街だが、なにもダンジョン関連のもの以外がないわけではない。
この街の住人が利用する、生活に必要な商店が集まった通り。
それがこのメインストリートだ。
と、トリスが説明してくれた。
通りに面している家屋はすべてなんらかの商店らしい。
ここにくれば、生活に必要なものはほぼ揃うそうだ。
野菜を扱う店、肉を扱う店、酒を扱う店、どこも大量の商品が並べられており、見ていて楽しかった。
「どうですか?光様。ロアの街の自慢のメインストリートは?」
「すごいですね。いろんなお店があって目が回りそうです。お祭りみたいですね。」
そう光が言うと、ほほえましいものを見る目でトリスが笑った。
「ふふふ。ロアの街のお祭りはこんなものではありませんよ。もっと人が多くて、もっと賑やかで、きっと目を回してしまいますよ。」
「それはすごいですね。是非見てみたいです。」
「絶対に気に入っていただけると思います。ちょうどもうじきお祭りなんですよ。そうだ!お祭りは私がご案内しますよ!お一人では危険ですからね。」
「そんなこと言って、お祭りで使うお金を経費で落とすつもりですか?」
「むむ。人聞きの悪いことを言わないでください。私は純粋に好意で言っているのです。それに、光様だって女の子と一緒にお祭りに行けるんですよ!一人よりよっぽど楽しいですよ!」
そう言われて、光はドキリとしてトリスを見た。
可愛い。可愛い女の子だ。
まだ出会って間もないが、茶目っ気があり話しやすい。
なにより今日の一件で自分のことを真剣に心配してくれる、心根の優しい子だとわかった。
光は、トリスに十年来の親友のような親しみを感じていた。
そんな信頼のおける可愛い女の子とお祭りに行く。
それはなんとも楽しそうだと光は思った。
お祭り。男女が二人。熱い夜。
楽しげな雰囲気に包まれた二人はその夜……
光の視線はトリスの顔から徐々に下がっていく。
そこには決して小さくない山があった。
「どこを見てらっしゃるんですか?」
と言われて視線をあげると、トリスがじとっとした目で見ていた。
「か、神の山です。」
と、視線にたじろぎ光が言うと、トリスは少しの間光を睨んで、やがてクスリと笑っていった。
「光様も男の子ですね。」
眩しい笑顔だった。
光はすっかり翻弄されていた。
光が黙っていると、トリスが光の手をとっていった。
「さあ、もう少しメインストリートを案内しますよ。光様はおのぼりさんですから、はぐれないように手を繋ぎます。行きましょう。」
光はされるがまま、トリスに引っ張られてメインストリートを歩いた。
手のひらのドクドクと脈打つ鼓動は、自分のものなのかどうかわからなかった。
トリスにロゼリア救出を報告したあと、予想外に時間が空いたので何をしようか悩んでいた光に、トリスが街を案内すると言ってくれた。
思えば冒険者ギルドに目を奪われて、この街のことをなにも知らないことに思い当たった光は、是非にとお願いしたのだ。
とは言え、ロアの街は広い。
すべてを見て回るには午後のちょっとした時間ではとても足りないので、今日は街のメインストリートを見せてもらった。
迷宮都市として有名なロアの街だが、なにもダンジョン関連のもの以外がないわけではない。
この街の住人が利用する、生活に必要な商店が集まった通り。
それがこのメインストリートだ。
と、トリスが説明してくれた。
通りに面している家屋はすべてなんらかの商店らしい。
ここにくれば、生活に必要なものはほぼ揃うそうだ。
野菜を扱う店、肉を扱う店、酒を扱う店、どこも大量の商品が並べられており、見ていて楽しかった。
「どうですか?光様。ロアの街の自慢のメインストリートは?」
「すごいですね。いろんなお店があって目が回りそうです。お祭りみたいですね。」
そう光が言うと、ほほえましいものを見る目でトリスが笑った。
「ふふふ。ロアの街のお祭りはこんなものではありませんよ。もっと人が多くて、もっと賑やかで、きっと目を回してしまいますよ。」
「それはすごいですね。是非見てみたいです。」
「絶対に気に入っていただけると思います。ちょうどもうじきお祭りなんですよ。そうだ!お祭りは私がご案内しますよ!お一人では危険ですからね。」
「そんなこと言って、お祭りで使うお金を経費で落とすつもりですか?」
「むむ。人聞きの悪いことを言わないでください。私は純粋に好意で言っているのです。それに、光様だって女の子と一緒にお祭りに行けるんですよ!一人よりよっぽど楽しいですよ!」
そう言われて、光はドキリとしてトリスを見た。
可愛い。可愛い女の子だ。
まだ出会って間もないが、茶目っ気があり話しやすい。
なにより今日の一件で自分のことを真剣に心配してくれる、心根の優しい子だとわかった。
光は、トリスに十年来の親友のような親しみを感じていた。
そんな信頼のおける可愛い女の子とお祭りに行く。
それはなんとも楽しそうだと光は思った。
お祭り。男女が二人。熱い夜。
楽しげな雰囲気に包まれた二人はその夜……
光の視線はトリスの顔から徐々に下がっていく。
そこには決して小さくない山があった。
「どこを見てらっしゃるんですか?」
と言われて視線をあげると、トリスがじとっとした目で見ていた。
「か、神の山です。」
と、視線にたじろぎ光が言うと、トリスは少しの間光を睨んで、やがてクスリと笑っていった。
「光様も男の子ですね。」
眩しい笑顔だった。
光はすっかり翻弄されていた。
光が黙っていると、トリスが光の手をとっていった。
「さあ、もう少しメインストリートを案内しますよ。光様はおのぼりさんですから、はぐれないように手を繋ぎます。行きましょう。」
光はされるがまま、トリスに引っ張られてメインストリートを歩いた。
手のひらのドクドクと脈打つ鼓動は、自分のものなのかどうかわからなかった。
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