神速の騎士 ~駆け抜ける異世界浪漫譚~

休月庵

晩餐会2

大和 光は豪華な食事を満喫していた。




見た目や色がおかしい異世界料理、ではなく、美味しそうな見た目、匂いの高級フルコースだ。


肉汁のしたたるこの柔らかい肉はなんの肉だろう?
野菜なんかは見覚えあるのが多いな。
これなんて、もろピーマンだよな。




「どうかな、光殿。我が屋敷の自慢のシェフの料理はお口に合うかな?」


「ええ!どれも美味しくて、つい食べ過ぎてしまいそうです!こんな美味しい料理、食べたことがありませんよ!!」


「はっはっはっ!それはよかった!シェフがきけば大喜びするだろう!!異世界から来た御仁にも好評だときけばな!!」




この快活な御仁がこの街の領主、レドルンド・ロアだ。
聞くところによると、現王の弟でたり、リリーナの叔父にあたるそうだ。


リリーナを可愛がっているらしく、今朝、リリーナが館に着いたときには門まで自ら赴き、リリーナと熱い包容を交わしていた。


リリーナもレドルンドのことを信頼しているようだ。




「ふふふ、おじさまったら、とても楽しそうですわね。」


「おう!楽しいとも!なんといっても、リリーナが男をつれてきたんだからな!」


「ぶほっ!」




光は咳き込んだ。




「嫌ですわ、おじさまったら。おほほほ……」




リリーナは返事が弱々しい。




「しかし本当にありがとう、光殿!光殿のおかげで可愛い姪の命が救われた。感謝してもしきれない。リリーナから聞いたが、光殿は今大変な状況にいるようだな。今後の身の振り形が決まるまで、この館にいてくれて構わないぞ。」


「ありがとうございます。とてもありがたいお言葉です。お言葉に甘えさせてください。」




光にとっては是非もない、ありがたい話だ。




「そうだリリーナ、はぐれた護衛だが、まだ見つかっていない。街の者に探させているから、数日中には進展があるだろう。しかし、1日たってもなんの音沙汰もない。あまり期待はするなよ。」




リリーナは悲しそうに顔を歪める。




「はい、おじさま。ありがとうございます。」


「兄上のところにも早馬を出した。事情を聞けば、代わりの護衛の一団を送って寄越すだろう。それまでの間、この館でゆっくりするといい。歓迎しよう。予定通り、視察もすませるといい。」


「ありがとうございます。おじさま。」




可愛い姪の命の恩人への謝意を示し、姪に今後の話もした。
レドルンドは満足そうに一息ついた。

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