ドリーム・オブ・フィクチャー

西ミア

第1話  コレクト

俺は自分で夢を創造することができる。
俺の大好きな俳優と話す夢。親友の夢。
今日は新型人型ロボットの夢を見たい。
-ガン!!親友が俺を壁に押しつけた。
「お前しか乗れないんだ。」続けて、親友は俺の胸ぐらを掴んで扉に投げつけた。
「意気地無し。頭冷やしてこい。」親友は俺を扉に押し入れて、部屋に閉じ込めた。夢の中で五感が研ぎ澄まされる気がした。その部屋には一体の大きな人型ロボットがスポットライトを浴びて展示されていた。
俺はそのロボットの方へと歩み寄った。-
「朝ごはん」
母さんがその一声を発する前に俺は夢から覚める。朝食の感想が「いい夢を見た」と言うほど毎日夢を見ていた。
「お前、今日夢見たか?」
数人の男子・女子生徒が俺を取り囲んだ。
「ああ見たよ。」
俺の夢は読書よりずっと面白いと言う理由で俺は夢の内容を彼らに話してやる。いつからか俺の日課は決まってしまっていた。
「今日も面白い話ありがとう。」
話を聞いていた女子生徒たちは毎回、俺に一言感想を言う。だが俺は退屈していた。
「いつもつまらなそう。」
カトレアは俺の唯一のガールフレンドだ。彼女は図星を指すので"嘘"は厳禁である。
「面白い事なんてないと思う。」
「夢は?」
「最近、見たい夢がないんだ。」
カトレアの赤色の瞳に退屈な自分がいた。俺は夢を愛している。だがそれは単に現実逃避なのではないかと薄々感じはている。
「アリッサム。面白いこと知らない?」
「唐突だね。僕はバイトだと思う。」
「ファーストフード店のバイトだね。」
「その通り。体重の増加だけ注意。」
「君は全然スリムだよ。ありがとう。」
俺は放課後学年で一番人気者のアリッサムに声をかけた。彼のバイト先のファーストフード店の売り上げは鰻上りだと聞いた。アリッサムは頭の回転が速くハンサムだ。多分彼は学年全員の趣味を的確に把握している。俺の学年の全生徒は彼の虜だった。
「そう言えば今日プラムの誕生日パーティーなんだ。ダリア。一緒に行かないか?」
俺は首を振るまでに数秒の時間を使った。アリッサムはプラムのプレゼントにソープフラワーを一箱買うつもりだと言った。
「ミックスのソープフラワー1箱とこの紙に書いてあるソープフラワー1つずつ。」
アリッサムは常連客のように振る舞った。
「みんなプラムにあげるの?」
俺は誤解を招く言い方をしてしまった。
「いいや。1箱のソープフラワーはプラム宛てだけど他の物は君達への贈り物さ。」
アリッサムはソープフラワーの入った紙袋を受け取った。その後、俺は花屋に寄ってプラムとアリッサムに似合う花を買った。
「ダリア。終わったのかい?」
俺は花束を受け取って慌てて花屋を出た。

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