ご落胤王子は異世界を楽しむと決めた!WEB版
授業開始
武術科短剣術は結局、リュシアンもニーナもⅢクラスからのスタートになった。
護身用としてだが、リュシアンの場合はナイフを扱えたのが大きい。そしてニーナは、体術Ⅴを取ってるだけあって、魔力操作はうまいし、身のこなしも問題なしという判断だった。
あの後、リュシアンはニーナの案内で体術も受けたが、そちらもⅢクラスからという判定を貰った。
薬草学科はⅣからだ。かなりのスキップだが、筆記試験もだが、実際の薬作りによってかなり好評価されたのだ。
結果としては、一番習いたかった魔法科が辛うじてⅠクラス、そして魔法研究科もⅠクラスと、総じて魔法関係すべて悲惨な結果となった。おまけにダリルにはいちいち絡まれるというオマケつきだった。
近接が向いてなさそうだから魔法使いになろうと思ったのに、なんと武術、薬がスキップで、魔法関連が軒並み落ちこぼれという残念な結果である。
とりあえずクラスも決まって、各科ともようやく通常の授業へと移行されていった。魔法研究科の授業があるため、エドガーと別れて教室を出た。
彼は結局、魔法研究科は取らなかった。なにしろ、授業は軒並み座学の連続である。つくづく能力は魔法使い寄りなのに、性格はがっつり体育会系なのだ。
今も、さっそく剣術Ⅰクラスの授業だと張り切って出て行った。向いてなくても諦めきれないというのは、リュシアンも同じだったので気持ちはとてもよく分かった。
魔法研究科魔法陣、本日は初めの授業ということで上級生の授業の見学と、これからの自分が取り組みたい課題のアンケートをとるらしい。それによって、グループを組んだり、上級生の補助(兼教えを乞う)に付いたりすることになる。
「魔法陣も書けねぇヤツがこんなところに来てんじゃねぇよ、このカス」
振り向くと、そこには想像通りダリルの姿があった。彼は本当に魔法使いに特化しているのだろう。なにしろ、魔法と名のつく学科すべてで、もれなくいちゃもんを付けられたからだ。
その容姿はとても魔法使いとは思えない。人並み外れた体力に、大きく恵まれた体躯。リュシアンにとっては羨ましい限りである。
それにしても、何が不満なのか、とにかくリュシアンに絡んでくる。
「……おはよう、ダリル」
憎まれ口をあっさりスルーしたリュシアンは、にっこり笑って普通にあいさつした。
ダリルの横暴ぶりはここでも有名なのか、絡まれた新入生を心配そうに遠巻きで見ていた生徒たちは、普通に対応しているリュシアンに驚いたようにざわついていた。
ダリルの声を聞いた途端、頭上のチョビがギリギリと頭を締め付ける。
(あ、あいたたたっ!? やめてチョビ)
リュシアンは、落ち着かせるようにチョビの顎を人差し指で宥めるように撫でた。
「おい……、てめぇ、なんで召喚魔こないんだ?」
チョビに気を取られていたため、いきなりの質問に「うん?」と間抜けな顔で振り向いた。すると、何を慌てているのか、ちらちらとリュシアンの頭上を見ながら、いきなり言い訳を始めた。
「べ、別に…っ、気になってるとかじゃないぞ! てめぇみたいに…弱っちいのはなあ、ほらっ、あれだ目障りだからだなあ」
チョビと戯れているのをどこか羨ましそうに見ていたダリルは、それを悟られまいとしてか、背筋をピンと伸ばして興味なさそうにあらぬ方向を見ていた。どこかで聞いたフレーズだと記憶を探り、リュシアンは「ツンデレか」と呟いてしまった。
(いやいや、べつにデレてはいないか……、それにしても変な絡み方してくると思ったら、そうかチョビが気になってたんだね)
リュシアンはダリルの様子を改めて見て、大体の予測を付けた。先ほどの台詞からも、ダリルは魔法科召喚魔も取っていて、こうして見る限り従魔を持っていない。
この科は特殊で、どんなに筆記が出来ようと、どんなに魔力があろうと、とにかく従魔を手に入れることが出来ない限り、上へは上がっていけないのである。
もちろん学園側の援助も徹底しており、授業で召喚の儀式を手取り足取り懇切丁寧に指導する。従魔を持っていない者は、この特別授業で大体が従魔を手に入れることが出来るのだ。
それでも手に入れられなかった者は、次回にチャレンジするために留年するか、いっそ諦めて他の科に移動するしかないのだが。
「召喚魔に行くつもりは、今のところないよ」
「な、な……なんだと!?」
ダリルは心底驚いたように口をあんぐりと開けた。彼にとっては、従魔を持っていてるという有利さを無駄にする感覚がわからないのだろう。けれどリュシアンには、チョビを剣や魔法のような攻撃手段としては考えていなかったのである。
護身用としてだが、リュシアンの場合はナイフを扱えたのが大きい。そしてニーナは、体術Ⅴを取ってるだけあって、魔力操作はうまいし、身のこなしも問題なしという判断だった。
あの後、リュシアンはニーナの案内で体術も受けたが、そちらもⅢクラスからという判定を貰った。
薬草学科はⅣからだ。かなりのスキップだが、筆記試験もだが、実際の薬作りによってかなり好評価されたのだ。
結果としては、一番習いたかった魔法科が辛うじてⅠクラス、そして魔法研究科もⅠクラスと、総じて魔法関係すべて悲惨な結果となった。おまけにダリルにはいちいち絡まれるというオマケつきだった。
近接が向いてなさそうだから魔法使いになろうと思ったのに、なんと武術、薬がスキップで、魔法関連が軒並み落ちこぼれという残念な結果である。
とりあえずクラスも決まって、各科ともようやく通常の授業へと移行されていった。魔法研究科の授業があるため、エドガーと別れて教室を出た。
彼は結局、魔法研究科は取らなかった。なにしろ、授業は軒並み座学の連続である。つくづく能力は魔法使い寄りなのに、性格はがっつり体育会系なのだ。
今も、さっそく剣術Ⅰクラスの授業だと張り切って出て行った。向いてなくても諦めきれないというのは、リュシアンも同じだったので気持ちはとてもよく分かった。
魔法研究科魔法陣、本日は初めの授業ということで上級生の授業の見学と、これからの自分が取り組みたい課題のアンケートをとるらしい。それによって、グループを組んだり、上級生の補助(兼教えを乞う)に付いたりすることになる。
「魔法陣も書けねぇヤツがこんなところに来てんじゃねぇよ、このカス」
振り向くと、そこには想像通りダリルの姿があった。彼は本当に魔法使いに特化しているのだろう。なにしろ、魔法と名のつく学科すべてで、もれなくいちゃもんを付けられたからだ。
その容姿はとても魔法使いとは思えない。人並み外れた体力に、大きく恵まれた体躯。リュシアンにとっては羨ましい限りである。
それにしても、何が不満なのか、とにかくリュシアンに絡んでくる。
「……おはよう、ダリル」
憎まれ口をあっさりスルーしたリュシアンは、にっこり笑って普通にあいさつした。
ダリルの横暴ぶりはここでも有名なのか、絡まれた新入生を心配そうに遠巻きで見ていた生徒たちは、普通に対応しているリュシアンに驚いたようにざわついていた。
ダリルの声を聞いた途端、頭上のチョビがギリギリと頭を締め付ける。
(あ、あいたたたっ!? やめてチョビ)
リュシアンは、落ち着かせるようにチョビの顎を人差し指で宥めるように撫でた。
「おい……、てめぇ、なんで召喚魔こないんだ?」
チョビに気を取られていたため、いきなりの質問に「うん?」と間抜けな顔で振り向いた。すると、何を慌てているのか、ちらちらとリュシアンの頭上を見ながら、いきなり言い訳を始めた。
「べ、別に…っ、気になってるとかじゃないぞ! てめぇみたいに…弱っちいのはなあ、ほらっ、あれだ目障りだからだなあ」
チョビと戯れているのをどこか羨ましそうに見ていたダリルは、それを悟られまいとしてか、背筋をピンと伸ばして興味なさそうにあらぬ方向を見ていた。どこかで聞いたフレーズだと記憶を探り、リュシアンは「ツンデレか」と呟いてしまった。
(いやいや、べつにデレてはいないか……、それにしても変な絡み方してくると思ったら、そうかチョビが気になってたんだね)
リュシアンはダリルの様子を改めて見て、大体の予測を付けた。先ほどの台詞からも、ダリルは魔法科召喚魔も取っていて、こうして見る限り従魔を持っていない。
この科は特殊で、どんなに筆記が出来ようと、どんなに魔力があろうと、とにかく従魔を手に入れることが出来ない限り、上へは上がっていけないのである。
もちろん学園側の援助も徹底しており、授業で召喚の儀式を手取り足取り懇切丁寧に指導する。従魔を持っていない者は、この特別授業で大体が従魔を手に入れることが出来るのだ。
それでも手に入れられなかった者は、次回にチャレンジするために留年するか、いっそ諦めて他の科に移動するしかないのだが。
「召喚魔に行くつもりは、今のところないよ」
「な、な……なんだと!?」
ダリルは心底驚いたように口をあんぐりと開けた。彼にとっては、従魔を持っていてるという有利さを無駄にする感覚がわからないのだろう。けれどリュシアンには、チョビを剣や魔法のような攻撃手段としては考えていなかったのである。
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