スピリッツウィッチ~ダンジョン攻略がんばります~ 

夢見叶

第十七話 準備

 冒険者ギルドを出たミカとグレイさんは街の中を散策していた。

 まだ朝二の鐘が鳴ったばかりで商業区の当たりはかなりの人で賑わっている。

 この商業区は野菜やパンなどの食品類からアクセサリーなどの装飾品と幅広い物が売っている。

 昼食を買いに来る冒険者や食材を買いに来る主婦にお店の食材調達に来ている人など多くの人達が毎日ここを利用している。

 そして私達もここで今日の昼飯を買いに来ているのである。

 昨日に関しては前もって用意していたパンと水で簡単に昼食を済ませいていた。

「お嬢ちゃん、何か食べたい物はあるか?」

 グレイさんはミレイを気遣って聞いてくる。

「グレイさんお嬢ちゃんはやめて下さい。私にはミレイって名前があるんですから」

 さすがに今日一日この呼び方だとなんだか堅苦しくてやりにくい。

「それはすまなかったな、ミレイ」

 呼び方を変えてくれてよかった。

「私は何でもいいですよ」

「そうか、それじゃ俺のおすすめでいいな」

「はい、お願いします」

 正直ミレイは昼食どころでは無かった。

 何故なら、昨日一昨日とこれなかったこの街に最大の商業区に今来ている。ミレイがおとなしくしていられるわけがない。

「グレイさん、グレイさん」

「どうしたミレイ」

「他の店を見てきてもいいですか?」

「ミレイこれも試験の一環なのだ。探索はまた今度にしてはどうだ」

 グレイさんの言葉に対して、

「はい」

 頬を膨らませながら返事をするミレイ。

「また今度ゆっくりと案内してやるから機嫌を直してくれ」

 今までいい出会いに恵まれずま独身のグレイさんは、当然子供の相手にもなれていない。こういうときにどうしたらいいのか話分からずに手をこまねいている。

「それなら明日案内してね」

 グレイさんの言葉で元気を取り戻すミレイ。

 女の子の気持ちはよく分からないと思うグレイさん。

 しばらく商業区を歩き行きつけの店に着く。

「ミレイ、ここが俺行きつけの店だ」

「グレイ、いつからそんな可愛い娘が出来たんだ?」

 お店の亭主が聞いてくる。

「何勘違いしてるんだ。この嬢ちゃんは冒険者で今からCランク昇格試験んい向かう途中なんだよ」

 すぐにミレイの事を説明する。

「初めましてミレイと言います。一昨日この街に来て冒険者登録したばかりです。これからよろしくお願いいたします」

 頭をさげて自己紹介すると、

「可愛い嬢ちゃんじゃね~か」

 亭主の言葉で顔を赤くするミレイ。

「それよりもだいつもの二つ頼むぜ」

「はいよ。お嬢ちゃん分は少しサービスしとくぜ」

「ありがとうございます」

 まだ少し照れているミレイ。

 亭主から袋を二つ受け取り一つをミレイに渡してくる。

「ミレイの分だ。落とすんなよ」

「ではこれで」

 グレイさんにお金を渡すミレイ。

「別にいいよ。俺のおごりだからそれはしまっておきな」

「珍しいじゃね~か。お前がおごるなんて」

「余計な事言うじゃね~よ」

「へいへい」

 亭主にからかわれているグレイさん。

 だがなんだかとても楽しそうに見えた。

「それじゃ行こうかミレイ」

「はい!」

 店から離れてダンジョンへと向かう。

 私は昼食をアイテムポーチへとしまう振りをして異空間収納へとしまう。

 中級ダンジョンへと向かう道中。

「グレイさんはいつもソロで仕事をしているのですか?」

 ダンジョンに着くまでまだもう少し時間がかかるので少し質問してみる。

「いつもはパーティーメンバーと一緒に上級ダンジョンの中でモンスターを狩ったりしてるぜ」

「他の皆さんもAランクの冒険者なのですか?」

「いや俺のパーティーは全員で五人だが俺と副リーダー以外はBランクだ」

 Aランクパーティーって言っても全員がAランクでは無いのか。

「ミレイはこの試験をクリアしてCランクになったらどうするんだ?」

 何も考えていなかった。

 ただやりたいことをしたらこのような事になってしまっていたから。

「今はまだ考えてません。でも私もいつかグレイさんみたいに信頼できる仲間とパーティーを組めたらと思ってます」

「それは楽しみだな。そのときは俺達がいろいろ教えてやろう」

「ありがとうございます。そのときは頼らせていただきます」

 何故か少し照れているグレイさん。

 私達がそんな話しをしている間にダンジョンの前に着いていた。

 グレイさんが門番の二人に許可書を見せて中に入っていくのだった。

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