何もしてないのに異世界魔王になれて、勇者に討伐されたので日本に帰ってきました
1話 なぜか帰ってきましたね。とりあえず生活基盤を整えることが大事なのです。
『第13代目魔王こと緑丘望桜とその一味からここラグナロクを奪還することに成功しましたー!!』
異世界の通信用の水晶···イデアクリスタルから聞こえてくる実況師の歓喜溢れんばかりの声とともに映されたのは、人間で埋め尽くされたカステロクリームとその周囲。完全制圧された魔王城とラグナロク。もはや悪魔の糧である悪感情が欠片も感じられなくなったその土地で、どうやって悪魔が生きていけよう。 
そしてそのラグナロク中央の上空にて今、ポータルを使用し命からがら望桜は生き延びたのだ。下から見上げている勇者の蔑むような目線を直に浴びつつ、そして弓矢や弾丸を避けつつ、これからのことで一つだけ願いながら。
どこに行きつくかもわからないポータルの先が、どうか中性男子でいっぱいの、俺にとって過ごしやすい土地でありますように...と
何もしなくても異世界魔王になれて、勇者に討伐されたので日本に帰ってきました
───────────────Are you ready?
家でゆっっくりしていたら、目の前に翼を生やしたかーわいいショタが現れて、
「汝は今日から魔界第13代目魔王じゃ!」 
なんて言いだしたもんだから焦りに焦って思わず吹き出した。そして同時に、ショタコンである俺にとってはもうやる気出すモードに入らざるを得ない。だって、可愛いんだもん。仕方ない、うん仕方ない。
そして俺は異世界の悪魔や魔獣を統率する魔王となるべく家をたったのであった...
───────────────Now Loading────────────────
「くっそ可愛い男の子いないじゃん」
『勇者戦直後の第一声がそれかい』
(そう...俺はもう魔王経験(超イレギュラーでレアな経験)を通して、まともなやつになると決めたんだ!高校卒業してからもずっっっと親のスネかじりながら生きるニート生活じゃなく、しっかり就活して自立するやつになりたかったんだよ!なのに...)
「...めっっっっちゃ進んでんじゃねえか!!!」
かなり大きな声を出してしまったが無理もない...なぜなら2XXX年から約140年前の世界のまま、記憶の中でのこの世界の技術の進歩や町並みなどは止まってしまっているから。
そして今パニック状態の俺の横にいる奴が、俺の側近悪魔、世界7大悪魔であり、7罪の一角の"怠惰"のベルフェゴールだ。全世界の悪魔を統率する魔王である俺に対して、あれやこれや口うるさく言い続け、部下にしっかり指示を通し、精霊族や龍狼族との契約を結ぶ時も、巧みな話術で穏便に解決してくれる、優秀な部下だ。
『うわっ...急に大きな声を出さないでくれ給え!』
「うぉ、わりぃ...ってか、ここまで進んでると俺もう何がどことかわかんねえぞ...ってかここどこだよ」
驚き、大声を出したあと。ふと一番重要なことを思い出す 
『君ね...どこかも分からないのに奇声を発していたのかい?』
「いや...俺がもともといた現代日本であることはわかるんだ。ただ、ここは..」
『...確かに、この高さの建物は魔王都にも、ラグナロクにもなかったのだよ...あ、あれじゃないか?』
ベルフェゴールの第二の故郷の土地、そして人間界の首都であゆラグナロクを思い浮かべる。向こうの人間界の最も進んだ都市ではあるが、ここの手動で建てられた高いビル群よりも低い、魔法で建てられた建物がずらりと並んでいる。
...よく考えたら、魔法もないのにこっちの人間はすごい。道具と機械だけを使って、あの高い東京スカイツリーもあべのハルカスも、みんな数年で建ててしまった。このビル群も、その努力の賜物のひとつだ。
「...あー、神戸か!青森じゃねえのか!そりゃわからんわっ!」
『ぅえーと、その、こうべ?とあおもり?とやらは、こちらの土地名なのかい?』
「ああ、青森は俺が元々住んでた土地の名前で、神戸市は兵庫。」
『ひょ、うご..?』
ああ、此奴向こうのやつだったわ。日本の地名なんて分かるわけない。それに、日本語も伝わるはずがない。日本語で話してる俺の言葉が理解出来ているのは、魔王補正の1個の、言語自動翻訳(相手が何の言語で話してるかもわかる)のおかげだ。これがなかったら、今の俺とベルフェゴールの会話や向こうの軍部での会話も、全く成立しなかっただろう。
「こっちの地名。お前ここにとばしたからには日本語覚えろよな!」
『わざとでは無いのだよ!?ちゃんとポータルを描いたつもりが..』
「気の毒に...」
...向こうでは最後、聖弓の勇者ジャンヌに逃がしてもらった。今、異世界の人間である俺を殺すことで向こうの世界になにか問題でも起きて、世界の仕組みが崩れるようなことがあれば、勇者の信頼が地に落ちる。
だから、その仕組みを壊さないため、"13代目魔王は聖剣の勇者によって討伐された"事にして、魔界なり人間界なりにポータルスピアでとぶよう言い、逃がしたのだ。そしてポータルスピアが使えるベルフェゴールに魔方陣を書いてもらい、その中に入って飛んできた───────────────────────────
───────その結果、日本に逆戻りだ。約140年振り、ただいま。
『...ということなのだよ!...聞いてるかい?』
「え、ああ聞いてる聞いてる」
『とにかく、好きで不器用に生まれた訳では無いのだよ...ああ、せめて性格が大雑把なら...』
...もう一度言うが、今俺の隣にいるのは、優秀な元魔王側近だ。
その優秀な部下が、この世界でははっきり言って全く役に立たない。と、いうことは...
「ベルフェゴール」
『何だい?』
「俺の指示をしっかり聞いてくれるか?」
『...わ、分かったのだよ』
...普段は憎まれ口しかきかない此奴が、知らぬ世界なのだから望桜についてった方がいい、と指示を素直に聞いてくれる。なんだかいい気分になるのは気のせいだろうか。
 
「...まず、お前と俺の戸籍を作りに区役所に行く。その次に換金用の宝石をお金に変える。不動産屋で家を決める。飯を食う。最後に履歴書を書いて仕事を探す。...お前なら覚えられるよな?」
『当たり前なのだよ。でも、こせき?とかふどうさんや?とかゆうのは分からないのだよ』
「当たり前だろ...はじめて来たんだから」
昔、魔王城の執務室にいた時、だれかにこの順序を教えてもらったことがある。君が日本に帰る時、そのまま年齢で昔とおなじ"緑丘 望桜"として帰ったなら、向こうで大騒ぎされると。だから、戸籍を作り直して、換金用の宝石を持っていってお金を確保して(ryするといい。その教えてくれただれかも、異世界に移住すると言っていた知り合いに聞いたらしい。だれだったかな...
「この世界で生きていくのか...また」
『いいじゃないか、別に悪い土地ではないのだろう?』
「まあな」
空気中に魔力もないし、俺もベルフェゴールも魔力はもうこれっぽっちも残っていない。ポータルスピアなど、使えないから帰れないし。だからこちらで生活しよう。
「さて、それじゃ区役所だー!」
『お、おおー...?』
望桜のテンションはわからないというふうに、一応乗ってきたベルフェゴール。そしてこの世界には元々居たが、もはや昔すぎて死んだことになっている緑丘望桜。このちょっとズレた2人組で、日本生活。上手くいくのだろうか...
───────────────Now Loading────────────────
『に、西原的李...』
「お前の名前だ、こっちでの」
『...まあ、適当でいいのだよ』
「あ、いいんだ」
現在、1LDKのマンション(仮住まい)の一室、331号室にて、キッチン備え付けのテーブルで的李の履歴書を渡す。見慣れぬ字に興味を惹かれつつも、読めない事に困惑している的李。当たり前だ。
仮住まいと言えど、持ってきておいた換金用の宝石がかなり高値で売れたので、ふつうに良い場所に住むことが出来た。金が残っているので、職が安定するまでの繋ぎにもなる。
「とりあえずコンビニ行ってくるわ〜...あとこれ」
『な、何だいこの本は...あとこんじに?とは』
「日本語勉強の本。そっちの言語はドイツ語に似てるらしいから、ドイツ語のやつ。あとこんじにじゃなくコンビニな」
本を渡して、部下の間違いを正して。望桜は玄関から出ていった。
『...役に立たない上司だったのに、急に頼もしくなったのだよ...』
そして1人残された的李は、ひと言つぶやき、とりあえず本を読んでみることにした。
──────────────青年買い物中...───────────────
「ただいま~」
「おかえりなのだよ」
「言語習得はやっ!?ってか、ドイツ語に似てるどころじゃなくドイツ語そのものだったのね...」
「どい...」
「こっちの話」
部下はやはり優秀だったらしい...15分ちょいで、日本語完全習得。末恐ろしいわこの悪魔...
「ところで、その袋は?」
「あー、適当に弁当買ってきた」
「ふーん...あ、この肉のが食べたいのだよ」
見て即決した弁当は牛カルビ。やはりお腹がすいた時にはボリュームたっぷりの肉に限る。それは悪魔でも変わらないらしい。
「ところで、この弁当は安全か〜とか言わないんだな」
「君が選んだのだから、毒物なわけが無いのだよ」
「お、おお...」
かなり信頼されているらしい。140年という人間にとっては長く、悪魔にとっては短い期間でも信頼関係は築けるもの。なにせあの勇者軍を追い詰めた軍の最高司令官とその側近、濃い140年で築けないわけもないだろう。
そしてこれから、またさらに濃くなりそうな日常を過ごすことになるのだ。ここから一体どのくらい仲良くなるのか。
「ところで、仕事?はどういったことをすればいいんだい?」
「うーんそだなあ...職業柄にもよるしなあ...」
「そうなのか...職業柄によるなら、私は本が扱える仕事がいいのだよ」
「そうか?なら、この付近でちょうどバイトを募集してる古本屋があったろ?だからそこに行ったらどうだ?」
「ああ...合格するかはわからないけど、行ってみるのだよ」
口ではあまり面白くなさそうだが、満更でもなさそうだ。
(まあ、やりたいならやらせとけばいいか...金稼いでもらってて損はしねえし...)
...とまあ、この世界で生きていくために、これからどうしていくか...まだまだ考えなくてはならない。そのためにとりあえず、衣食住を整えることにした。
───────────────to be continued
異世界の通信用の水晶···イデアクリスタルから聞こえてくる実況師の歓喜溢れんばかりの声とともに映されたのは、人間で埋め尽くされたカステロクリームとその周囲。完全制圧された魔王城とラグナロク。もはや悪魔の糧である悪感情が欠片も感じられなくなったその土地で、どうやって悪魔が生きていけよう。 
そしてそのラグナロク中央の上空にて今、ポータルを使用し命からがら望桜は生き延びたのだ。下から見上げている勇者の蔑むような目線を直に浴びつつ、そして弓矢や弾丸を避けつつ、これからのことで一つだけ願いながら。
どこに行きつくかもわからないポータルの先が、どうか中性男子でいっぱいの、俺にとって過ごしやすい土地でありますように...と
何もしなくても異世界魔王になれて、勇者に討伐されたので日本に帰ってきました
───────────────Are you ready?
家でゆっっくりしていたら、目の前に翼を生やしたかーわいいショタが現れて、
「汝は今日から魔界第13代目魔王じゃ!」 
なんて言いだしたもんだから焦りに焦って思わず吹き出した。そして同時に、ショタコンである俺にとってはもうやる気出すモードに入らざるを得ない。だって、可愛いんだもん。仕方ない、うん仕方ない。
そして俺は異世界の悪魔や魔獣を統率する魔王となるべく家をたったのであった...
───────────────Now Loading────────────────
「くっそ可愛い男の子いないじゃん」
『勇者戦直後の第一声がそれかい』
(そう...俺はもう魔王経験(超イレギュラーでレアな経験)を通して、まともなやつになると決めたんだ!高校卒業してからもずっっっと親のスネかじりながら生きるニート生活じゃなく、しっかり就活して自立するやつになりたかったんだよ!なのに...)
「...めっっっっちゃ進んでんじゃねえか!!!」
かなり大きな声を出してしまったが無理もない...なぜなら2XXX年から約140年前の世界のまま、記憶の中でのこの世界の技術の進歩や町並みなどは止まってしまっているから。
そして今パニック状態の俺の横にいる奴が、俺の側近悪魔、世界7大悪魔であり、7罪の一角の"怠惰"のベルフェゴールだ。全世界の悪魔を統率する魔王である俺に対して、あれやこれや口うるさく言い続け、部下にしっかり指示を通し、精霊族や龍狼族との契約を結ぶ時も、巧みな話術で穏便に解決してくれる、優秀な部下だ。
『うわっ...急に大きな声を出さないでくれ給え!』
「うぉ、わりぃ...ってか、ここまで進んでると俺もう何がどことかわかんねえぞ...ってかここどこだよ」
驚き、大声を出したあと。ふと一番重要なことを思い出す 
『君ね...どこかも分からないのに奇声を発していたのかい?』
「いや...俺がもともといた現代日本であることはわかるんだ。ただ、ここは..」
『...確かに、この高さの建物は魔王都にも、ラグナロクにもなかったのだよ...あ、あれじゃないか?』
ベルフェゴールの第二の故郷の土地、そして人間界の首都であゆラグナロクを思い浮かべる。向こうの人間界の最も進んだ都市ではあるが、ここの手動で建てられた高いビル群よりも低い、魔法で建てられた建物がずらりと並んでいる。
...よく考えたら、魔法もないのにこっちの人間はすごい。道具と機械だけを使って、あの高い東京スカイツリーもあべのハルカスも、みんな数年で建ててしまった。このビル群も、その努力の賜物のひとつだ。
「...あー、神戸か!青森じゃねえのか!そりゃわからんわっ!」
『ぅえーと、その、こうべ?とあおもり?とやらは、こちらの土地名なのかい?』
「ああ、青森は俺が元々住んでた土地の名前で、神戸市は兵庫。」
『ひょ、うご..?』
ああ、此奴向こうのやつだったわ。日本の地名なんて分かるわけない。それに、日本語も伝わるはずがない。日本語で話してる俺の言葉が理解出来ているのは、魔王補正の1個の、言語自動翻訳(相手が何の言語で話してるかもわかる)のおかげだ。これがなかったら、今の俺とベルフェゴールの会話や向こうの軍部での会話も、全く成立しなかっただろう。
「こっちの地名。お前ここにとばしたからには日本語覚えろよな!」
『わざとでは無いのだよ!?ちゃんとポータルを描いたつもりが..』
「気の毒に...」
...向こうでは最後、聖弓の勇者ジャンヌに逃がしてもらった。今、異世界の人間である俺を殺すことで向こうの世界になにか問題でも起きて、世界の仕組みが崩れるようなことがあれば、勇者の信頼が地に落ちる。
だから、その仕組みを壊さないため、"13代目魔王は聖剣の勇者によって討伐された"事にして、魔界なり人間界なりにポータルスピアでとぶよう言い、逃がしたのだ。そしてポータルスピアが使えるベルフェゴールに魔方陣を書いてもらい、その中に入って飛んできた───────────────────────────
───────その結果、日本に逆戻りだ。約140年振り、ただいま。
『...ということなのだよ!...聞いてるかい?』
「え、ああ聞いてる聞いてる」
『とにかく、好きで不器用に生まれた訳では無いのだよ...ああ、せめて性格が大雑把なら...』
...もう一度言うが、今俺の隣にいるのは、優秀な元魔王側近だ。
その優秀な部下が、この世界でははっきり言って全く役に立たない。と、いうことは...
「ベルフェゴール」
『何だい?』
「俺の指示をしっかり聞いてくれるか?」
『...わ、分かったのだよ』
...普段は憎まれ口しかきかない此奴が、知らぬ世界なのだから望桜についてった方がいい、と指示を素直に聞いてくれる。なんだかいい気分になるのは気のせいだろうか。
 
「...まず、お前と俺の戸籍を作りに区役所に行く。その次に換金用の宝石をお金に変える。不動産屋で家を決める。飯を食う。最後に履歴書を書いて仕事を探す。...お前なら覚えられるよな?」
『当たり前なのだよ。でも、こせき?とかふどうさんや?とかゆうのは分からないのだよ』
「当たり前だろ...はじめて来たんだから」
昔、魔王城の執務室にいた時、だれかにこの順序を教えてもらったことがある。君が日本に帰る時、そのまま年齢で昔とおなじ"緑丘 望桜"として帰ったなら、向こうで大騒ぎされると。だから、戸籍を作り直して、換金用の宝石を持っていってお金を確保して(ryするといい。その教えてくれただれかも、異世界に移住すると言っていた知り合いに聞いたらしい。だれだったかな...
「この世界で生きていくのか...また」
『いいじゃないか、別に悪い土地ではないのだろう?』
「まあな」
空気中に魔力もないし、俺もベルフェゴールも魔力はもうこれっぽっちも残っていない。ポータルスピアなど、使えないから帰れないし。だからこちらで生活しよう。
「さて、それじゃ区役所だー!」
『お、おおー...?』
望桜のテンションはわからないというふうに、一応乗ってきたベルフェゴール。そしてこの世界には元々居たが、もはや昔すぎて死んだことになっている緑丘望桜。このちょっとズレた2人組で、日本生活。上手くいくのだろうか...
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『に、西原的李...』
「お前の名前だ、こっちでの」
『...まあ、適当でいいのだよ』
「あ、いいんだ」
現在、1LDKのマンション(仮住まい)の一室、331号室にて、キッチン備え付けのテーブルで的李の履歴書を渡す。見慣れぬ字に興味を惹かれつつも、読めない事に困惑している的李。当たり前だ。
仮住まいと言えど、持ってきておいた換金用の宝石がかなり高値で売れたので、ふつうに良い場所に住むことが出来た。金が残っているので、職が安定するまでの繋ぎにもなる。
「とりあえずコンビニ行ってくるわ〜...あとこれ」
『な、何だいこの本は...あとこんじに?とは』
「日本語勉強の本。そっちの言語はドイツ語に似てるらしいから、ドイツ語のやつ。あとこんじにじゃなくコンビニな」
本を渡して、部下の間違いを正して。望桜は玄関から出ていった。
『...役に立たない上司だったのに、急に頼もしくなったのだよ...』
そして1人残された的李は、ひと言つぶやき、とりあえず本を読んでみることにした。
──────────────青年買い物中...───────────────
「ただいま~」
「おかえりなのだよ」
「言語習得はやっ!?ってか、ドイツ語に似てるどころじゃなくドイツ語そのものだったのね...」
「どい...」
「こっちの話」
部下はやはり優秀だったらしい...15分ちょいで、日本語完全習得。末恐ろしいわこの悪魔...
「ところで、その袋は?」
「あー、適当に弁当買ってきた」
「ふーん...あ、この肉のが食べたいのだよ」
見て即決した弁当は牛カルビ。やはりお腹がすいた時にはボリュームたっぷりの肉に限る。それは悪魔でも変わらないらしい。
「ところで、この弁当は安全か〜とか言わないんだな」
「君が選んだのだから、毒物なわけが無いのだよ」
「お、おお...」
かなり信頼されているらしい。140年という人間にとっては長く、悪魔にとっては短い期間でも信頼関係は築けるもの。なにせあの勇者軍を追い詰めた軍の最高司令官とその側近、濃い140年で築けないわけもないだろう。
そしてこれから、またさらに濃くなりそうな日常を過ごすことになるのだ。ここから一体どのくらい仲良くなるのか。
「ところで、仕事?はどういったことをすればいいんだい?」
「うーんそだなあ...職業柄にもよるしなあ...」
「そうなのか...職業柄によるなら、私は本が扱える仕事がいいのだよ」
「そうか?なら、この付近でちょうどバイトを募集してる古本屋があったろ?だからそこに行ったらどうだ?」
「ああ...合格するかはわからないけど、行ってみるのだよ」
口ではあまり面白くなさそうだが、満更でもなさそうだ。
(まあ、やりたいならやらせとけばいいか...金稼いでもらってて損はしねえし...)
...とまあ、この世界で生きていくために、これからどうしていくか...まだまだ考えなくてはならない。そのためにとりあえず、衣食住を整えることにした。
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