しおんの花

琴春

紫苑の片想い

春の暖かな風が心地よい日だった。

今日から高校生になる紫苑(しおん)は、
辺りの景色を見渡しながら学校へと向かっていた。
「友達はできるだろうか。」
そんな不安な気持ちを抱えて、少し小走りをした。


「僕のクラスはどこだろう。」
掲示板に貼られた紙を見た。
「1年2組…か。」
知っている人は勿論いない。
入学式の為、体育館へと向かう。
そこには、2年生と3年生が部活動の勧誘の為に
通路の端に並んでいた。

「サッカー部です!興味あったら来てね!」
「野球部いいよ!おいで!」
「吹奏楽部です。」

大勢の先輩がいる中、一際目立つ人がいた。
それが瀧澤悠斗(たきざわゆうと)だった。

「バスケ部に興味ある奴こーい!」

短髪に2つのピアス。
バスケ部だからか、身長が高くそれだけでも目立つ人だった。
その上顔が整っていて、入学式当初から
かなりの人気っぷりだった。
派手な見た目に反して、バスケ部キャプテンで
みんなの兄のような存在だった。

そんな彼に、僕は一目惚れをしてしまったんだ。

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