今も思う君に

水無月 ひら

出逢い

また春が来た。



今日は始業式だ。
制服姿の男女がぞろぞろと正門を通り抜け、クラス発表がある掲示板へ行き自分のクラスを確認する。


「お、良太~今年も俺と同じクラスだな」
聞き覚えのある男の声が肩に手を掛け体重を乗せながら声をかけてきた。
「竹ちゃんか~びっくりしたじゃん」
こいつの名前は竹山 太郎(たけやま たろう)部活は野球部で4番だ、太郎という名前だが次男であり、こいつの兄貴は2年上で野球の名門校でレギュラーを張っている。そして僕の数少ない友達のなかの一人である。
「今年もよろしくな良太」
笑みを浮かべながら竹ちゃんは言った。
「うん、よろしく」
「竹山、良太おーーい」
正門から大声を上げて一人の生徒が近寄ってくる。
「おお、来たか~怜」
このいかにもバカそうなのが宝上 怜(ほうじょう れん)部活はサッカー部言いたくはないが成績も良く、女子にも評判は良い。
「お前らちゃんと課題やったか?」
「もちろん」
「え、何それ??」
「おい竹山、LINEで聞いてきた癖に忘れるのかよ」
というバカっぽい会話をして教室に向かった。



教室に入るとすでに何人かの生徒が登校しておりいくつかのグループに分かれて会話をしている。
僕は自分の席に着きチャイムがなるまで大好きな小説を読みながら待った。



始業式が何事もなく終わり教室に入り席に着く。
「はい。みなさーん今日から三年二組の担任を任された堀田 美里(ほった みさと)です。
今日から一年間よろしくお願いします。
よし、じゃあまず自己紹介から始めましょう。まず君から!」
といいなが顔を向けられ席をたつ。
「えーと、天坂 良太(あまさか りょうた)です。これから一年間よろしくお願いします。」
簡単な挨拶をして僕はまた席に着いた。
全員の自己紹介が終わった所で先生が言った。
「はい、じゃあみなさん明日は実力テストなので気を抜かないよーに!
解散!」
先生の一言で皆が一斉にえ~という声をあげ鞄を持ちそれぞれ帰ろうとする
「良太帰ろーぜ」
「うん」
こうして僕の最後の中学生活が始まる。





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