少しおかしな聖女さまのVRMMO日常記
9話
9話
「だーれだ」
プレイヤーの少ない【第二都市】の大通りを歩いている私の目を、誰かが塞いできました。…【魔力感知】は発動させているはずなのですが…。目を塞いできた人は【気配遮断】でも持ってるんですかね?
「知りません」
こういうのには冷たく反応しておいた方が後が楽なんですよね。構ってこなくなりますし。
「……冷たい。わたしはシズクだよ」
「……見た目も声も変わりすぎでしょう」
「今回のはリアルに寄せたからねー」
シズクさんは、はっはっはと笑ったあと、すぐさま無表情になりました。
お分かりだと思いますがこの人は【シズク】さんです。アルさん経由でずっと前に知り合った人です。どのゲームでも【鍛治】【錬金】【裁縫】などの生産系のものは必ず全て極めている廃人さんです。
容姿は白髪のショートカットに青眼で、肌は白い。目は眠そうにとろんとしています。
現在の格好は、頭に赤色のゴーグル、胴体には白色のシャツに金属で作られたエプロンのようなものを着ていて、手には黒色のグローブ、そして茶色の長ズボンを履いている。
見た目からしてシズクさんはいま【鍛治師】をやっているということがわかります。
「一人でこちらにいらしたんですか?」
「だよ。フィールドボスも弱かったし」
…あの狼、おそらく【生産職】であろうシズクさんに負けたんですね。どんだけ弱いんですか。
「…一応言う。わたし【鍛治師】だけど、他にもいるふつうの【鍛治師】とは少し違うから」
「……ふむ、シズクさんですしありえますが…、なにが違うんですか?」
「わたしは【精霊鍛治師】っていうなんか凄そうな鍛治師。おそらく種族が【精霊族:ドワーフ】じゃないとつけないやつ。つまり特別!」
「…なるほど」
シズクさんは眠そうにとろんとしていた瞳をカッと開き、私の手を掴んでブンブンと上下させてきます。
「……あ、ごめんなさい。…リアルでは外になかなか出られないから。ついはしゃいじゃって…」
「気にしないでください。…あ、フレンド申請いいですか?」
シズクさんはアルビノ…先天性白皮症を患っているらしく、擬似的なものでもいいから外で遊びたいという理由でVRMMOを始めたそうです。そしたらいつのまにかどハマりしてしまったそうです。ちなみに彼女は私と同じ高校生で、アルフレッドさんの親戚だそうです。高校は通信制高等学校に通っているそうです。
「もちろん。よろしくおねがいします。あ、お姉ちゃんたちもいまこっちに向かってるって」
「ありがとうございます。行く手間が省けましたね」
私はシズクさんにフレンド申請を送ります。するとすぐに《フレンド申請が承認されました》というログが表示されました。
……そういえば【金熊童子】は倒されたはずなのになぜシズクさんはこの街に来たのでしょうか。イベントはやらないんですかね?
「シズクさんはイベント行かなくていいんですか?」
疑問に思ったので問うと、シズクさんはふいっと目を逸らして、
「……デスペナくらった」
と言ってきました。……シズクさんがデスペナを食らうとは考えにくいのですが…。それにフィールドボスは倒したと聞きましたし。
「まさか【金熊童子】を倒した後に生じた地割れに巻き込まれるとは思ってなかった」
「…なるほど。そっちでしたか」
イベントに参加していたようです。それなら納得…、って地割れが起こるって相当な威力じゃないですか。いったいなにをしたのやら。
ウィングさんはこの時間帯はログインしていないでしょうし、数の暴力の威力がきっと凄かったのでしょう。
…あ、装備元に戻しておきませんとね。【反転】の効果時間はとっくの通りに切れてますし。
私はぽちぽちっとメニューを操作して装備を元に戻しました。
「……じゃあ私はこれで。装備の注文があれば是非ともわたしにお任せを」
「わかりました。そのときはよろしくお願いしますね」
そう言ってシズクさんは、大通りの奥の方へと消えていきました。
……あ、シズクさんにアルさんたちがどこに来るのか聞くの忘れていましたね。
この都市の入り口で待っていればそのうち来ますかね。そう思った私は早速この都市の入り口である門に向かうことにしました。
とりあえず門に着きましたが当然ながらアルさんたちは居ませんでした。それどころか門番さんは船をこいでいます。この都市の警備大丈夫なんですかね?
……ステータスの確認でもしてますかね。確か種族レベル上がっているはずですし。
〈名前:Aya 性別:女 種族:天魔:羊人LV23→24/40
職業:回復術師Lv14
HP:1460/1460
MP:6100/6100(2220)
SP:960/960
STR:5(1)
INT:78(178)(26)
VIT:1
DEX:24(27)(4)
AGI:1(4)
LUC:1
残りステータスポイント:2→0
《装備》
頭:【純白のベール】(【INT+3】【浄化】〈100/100〉)
胴:【純白のローブ】(【HP+500】【浄化】〈100/100〉)
手:【純白のグローブ】(【DEX+3】【浄化】〈100/100〉)
脚:【純白のローブ】
靴:【純白のシューズ】(【AGI+3】【浄化】〈100/100〉)
武器:世界樹の杖:白桜(【INT+1】【MP+500】【不壊】)
武器2:【紅桜】(【INT+3】【回帰】)
アクセサリー1:【左翼の全知のイヤリング】(【全回復】3/3)
アクセサリー2:【聖職者の指輪】(【MP+1000】)
アクセサリー3:【魔力上昇の指輪】(【MP+200】)
《スキル》
〈全種族共通語Lv-〉〈奇襲攻撃Lv-〉〈剣装備時STR+1〉〈剣装備時STR+2〉
〈慈悲者Lv5〉〈回復魔法Lv40〉〈詠唱破棄Lv55〉〈魔陣術Lv31〉〈鑑定Lv30→32〉〈魔力操作Lv50→52〉〈短剣術Lv6〉〈空間魔法Lv41〉〈氷魔法Lv42→44〉
《控え》
〈反転Lv2〉〈杖術Lv1〉〈剣術Lv33〉
残りスキルポイント:14
《加護》
【大賢者の庇護】【龍の祝福】
《称号》
【春の精霊】【魔の探求者】【大賢者の弟子】(INT+5)【格上殺し】【鬼キラー】〉
ステータスポイントを獲得していたので全てINTに振ります。…やはりステータスなんか見てても別に面白くないですね。
私はステータスを閉じて、インベントリからイカスミパンのサンドイッチを取り出しました。これも先ほどの喫茶店売っていました。これも意外と美味しくて、お持ち帰りのスペースにも売っていたのでつい買ってしまったやつです。
私はそれを味わうように、ゆっくりと咀嚼します。
そうやって十分ほど過ごしていると、門を通り抜けてアルさんたちが現れました。私には気づいていないようですが。いつのまにかあの居眠りをしていた門番さんは目を覚ましていて、鋭い眼光をアルさんたちに向けていました。……またすぐに船をこぎ始めましたが。
「おお、ここが【第二都市】か。…プレイヤーがあまりいないのは当然か。さて、あやは––––」
「わっ!」
「ふはっ?!」
私がこっそり近づいて驚かすと、アルさんは目を見開いて拳をこちらに構えてきました。……うわお。驚かしただけでこんなに警戒するんですか。
「な、なんだ…、あやか」
「はい。私ですが」
驚いたのはアルさんだけのようで、シルヴィアさんにくふさんにサナさんは苦笑を浮かべています。
「あやちゃんやっほー」
「やほです」
「あやさんこんにちは」
「みなさんこんにちは。とりあえずフレンド申請送りますね」
私は挨拶を交わした後、アルさん、シルヴィアさん、くふさん、サナさんにフレンド申請を送りました。先ほどと同様、すぐに《フレンド申請が承認されました》というログが表示されました。
「おおー、あやちゃんレベル20……、あれ?種族ってレベル上限20じゃなかった?」
シルヴィアさんが私に問いかけてきました。どうやらフレンドになると相手のレベルがわかってしまうようです。
「……ちょっと特別な種族になりまして、そのせいですね」
種族は言わない方がいいでしょう。ソニアさんが私の種族を聞いて驚いたようですし。
「なるほどねー。あやちゃん、それ隠蔽しておいた方がいいよ。フレリからレベルの隠蔽が可能だから」
シルヴィアさんは真面目な顔をして私に言ってきました。サナさんもくふさんもアルさんもウンウンと首を縦に振っています。
私はフレンドリストを開いて、いわれたとおりにレベルの表示をOFFにしました。ほほう、シルヴィアさんは18レベルでアルさんは20レベル、サナさんは17レベルなんですね。くふさんは隠蔽しているようでわかりませんでした。おそらく20は超えているでしょう。
「さて、あやとフレンドになれたし、私は落ちるぞ」
「私も落ちますねー」
「ほいほいー。また明日ー」
「お疲れ様です」
「おつかれさまです」
……あ、もう21時回ってるじゃないですか。…ご飯食べなければ。私もログアウトしましょうか。
「私も落ちますね」
「むおっ、あやちゃんも落ちるのか。お疲れ様〜」
「お疲れ様です。あやさん」
私はメニューにあるログアウトボタンを押しました。
「だーれだ」
プレイヤーの少ない【第二都市】の大通りを歩いている私の目を、誰かが塞いできました。…【魔力感知】は発動させているはずなのですが…。目を塞いできた人は【気配遮断】でも持ってるんですかね?
「知りません」
こういうのには冷たく反応しておいた方が後が楽なんですよね。構ってこなくなりますし。
「……冷たい。わたしはシズクだよ」
「……見た目も声も変わりすぎでしょう」
「今回のはリアルに寄せたからねー」
シズクさんは、はっはっはと笑ったあと、すぐさま無表情になりました。
お分かりだと思いますがこの人は【シズク】さんです。アルさん経由でずっと前に知り合った人です。どのゲームでも【鍛治】【錬金】【裁縫】などの生産系のものは必ず全て極めている廃人さんです。
容姿は白髪のショートカットに青眼で、肌は白い。目は眠そうにとろんとしています。
現在の格好は、頭に赤色のゴーグル、胴体には白色のシャツに金属で作られたエプロンのようなものを着ていて、手には黒色のグローブ、そして茶色の長ズボンを履いている。
見た目からしてシズクさんはいま【鍛治師】をやっているということがわかります。
「一人でこちらにいらしたんですか?」
「だよ。フィールドボスも弱かったし」
…あの狼、おそらく【生産職】であろうシズクさんに負けたんですね。どんだけ弱いんですか。
「…一応言う。わたし【鍛治師】だけど、他にもいるふつうの【鍛治師】とは少し違うから」
「……ふむ、シズクさんですしありえますが…、なにが違うんですか?」
「わたしは【精霊鍛治師】っていうなんか凄そうな鍛治師。おそらく種族が【精霊族:ドワーフ】じゃないとつけないやつ。つまり特別!」
「…なるほど」
シズクさんは眠そうにとろんとしていた瞳をカッと開き、私の手を掴んでブンブンと上下させてきます。
「……あ、ごめんなさい。…リアルでは外になかなか出られないから。ついはしゃいじゃって…」
「気にしないでください。…あ、フレンド申請いいですか?」
シズクさんはアルビノ…先天性白皮症を患っているらしく、擬似的なものでもいいから外で遊びたいという理由でVRMMOを始めたそうです。そしたらいつのまにかどハマりしてしまったそうです。ちなみに彼女は私と同じ高校生で、アルフレッドさんの親戚だそうです。高校は通信制高等学校に通っているそうです。
「もちろん。よろしくおねがいします。あ、お姉ちゃんたちもいまこっちに向かってるって」
「ありがとうございます。行く手間が省けましたね」
私はシズクさんにフレンド申請を送ります。するとすぐに《フレンド申請が承認されました》というログが表示されました。
……そういえば【金熊童子】は倒されたはずなのになぜシズクさんはこの街に来たのでしょうか。イベントはやらないんですかね?
「シズクさんはイベント行かなくていいんですか?」
疑問に思ったので問うと、シズクさんはふいっと目を逸らして、
「……デスペナくらった」
と言ってきました。……シズクさんがデスペナを食らうとは考えにくいのですが…。それにフィールドボスは倒したと聞きましたし。
「まさか【金熊童子】を倒した後に生じた地割れに巻き込まれるとは思ってなかった」
「…なるほど。そっちでしたか」
イベントに参加していたようです。それなら納得…、って地割れが起こるって相当な威力じゃないですか。いったいなにをしたのやら。
ウィングさんはこの時間帯はログインしていないでしょうし、数の暴力の威力がきっと凄かったのでしょう。
…あ、装備元に戻しておきませんとね。【反転】の効果時間はとっくの通りに切れてますし。
私はぽちぽちっとメニューを操作して装備を元に戻しました。
「……じゃあ私はこれで。装備の注文があれば是非ともわたしにお任せを」
「わかりました。そのときはよろしくお願いしますね」
そう言ってシズクさんは、大通りの奥の方へと消えていきました。
……あ、シズクさんにアルさんたちがどこに来るのか聞くの忘れていましたね。
この都市の入り口で待っていればそのうち来ますかね。そう思った私は早速この都市の入り口である門に向かうことにしました。
とりあえず門に着きましたが当然ながらアルさんたちは居ませんでした。それどころか門番さんは船をこいでいます。この都市の警備大丈夫なんですかね?
……ステータスの確認でもしてますかね。確か種族レベル上がっているはずですし。
〈名前:Aya 性別:女 種族:天魔:羊人LV23→24/40
職業:回復術師Lv14
HP:1460/1460
MP:6100/6100(2220)
SP:960/960
STR:5(1)
INT:78(178)(26)
VIT:1
DEX:24(27)(4)
AGI:1(4)
LUC:1
残りステータスポイント:2→0
《装備》
頭:【純白のベール】(【INT+3】【浄化】〈100/100〉)
胴:【純白のローブ】(【HP+500】【浄化】〈100/100〉)
手:【純白のグローブ】(【DEX+3】【浄化】〈100/100〉)
脚:【純白のローブ】
靴:【純白のシューズ】(【AGI+3】【浄化】〈100/100〉)
武器:世界樹の杖:白桜(【INT+1】【MP+500】【不壊】)
武器2:【紅桜】(【INT+3】【回帰】)
アクセサリー1:【左翼の全知のイヤリング】(【全回復】3/3)
アクセサリー2:【聖職者の指輪】(【MP+1000】)
アクセサリー3:【魔力上昇の指輪】(【MP+200】)
《スキル》
〈全種族共通語Lv-〉〈奇襲攻撃Lv-〉〈剣装備時STR+1〉〈剣装備時STR+2〉
〈慈悲者Lv5〉〈回復魔法Lv40〉〈詠唱破棄Lv55〉〈魔陣術Lv31〉〈鑑定Lv30→32〉〈魔力操作Lv50→52〉〈短剣術Lv6〉〈空間魔法Lv41〉〈氷魔法Lv42→44〉
《控え》
〈反転Lv2〉〈杖術Lv1〉〈剣術Lv33〉
残りスキルポイント:14
《加護》
【大賢者の庇護】【龍の祝福】
《称号》
【春の精霊】【魔の探求者】【大賢者の弟子】(INT+5)【格上殺し】【鬼キラー】〉
ステータスポイントを獲得していたので全てINTに振ります。…やはりステータスなんか見てても別に面白くないですね。
私はステータスを閉じて、インベントリからイカスミパンのサンドイッチを取り出しました。これも先ほどの喫茶店売っていました。これも意外と美味しくて、お持ち帰りのスペースにも売っていたのでつい買ってしまったやつです。
私はそれを味わうように、ゆっくりと咀嚼します。
そうやって十分ほど過ごしていると、門を通り抜けてアルさんたちが現れました。私には気づいていないようですが。いつのまにかあの居眠りをしていた門番さんは目を覚ましていて、鋭い眼光をアルさんたちに向けていました。……またすぐに船をこぎ始めましたが。
「おお、ここが【第二都市】か。…プレイヤーがあまりいないのは当然か。さて、あやは––––」
「わっ!」
「ふはっ?!」
私がこっそり近づいて驚かすと、アルさんは目を見開いて拳をこちらに構えてきました。……うわお。驚かしただけでこんなに警戒するんですか。
「な、なんだ…、あやか」
「はい。私ですが」
驚いたのはアルさんだけのようで、シルヴィアさんにくふさんにサナさんは苦笑を浮かべています。
「あやちゃんやっほー」
「やほです」
「あやさんこんにちは」
「みなさんこんにちは。とりあえずフレンド申請送りますね」
私は挨拶を交わした後、アルさん、シルヴィアさん、くふさん、サナさんにフレンド申請を送りました。先ほどと同様、すぐに《フレンド申請が承認されました》というログが表示されました。
「おおー、あやちゃんレベル20……、あれ?種族ってレベル上限20じゃなかった?」
シルヴィアさんが私に問いかけてきました。どうやらフレンドになると相手のレベルがわかってしまうようです。
「……ちょっと特別な種族になりまして、そのせいですね」
種族は言わない方がいいでしょう。ソニアさんが私の種族を聞いて驚いたようですし。
「なるほどねー。あやちゃん、それ隠蔽しておいた方がいいよ。フレリからレベルの隠蔽が可能だから」
シルヴィアさんは真面目な顔をして私に言ってきました。サナさんもくふさんもアルさんもウンウンと首を縦に振っています。
私はフレンドリストを開いて、いわれたとおりにレベルの表示をOFFにしました。ほほう、シルヴィアさんは18レベルでアルさんは20レベル、サナさんは17レベルなんですね。くふさんは隠蔽しているようでわかりませんでした。おそらく20は超えているでしょう。
「さて、あやとフレンドになれたし、私は落ちるぞ」
「私も落ちますねー」
「ほいほいー。また明日ー」
「お疲れ様です」
「おつかれさまです」
……あ、もう21時回ってるじゃないですか。…ご飯食べなければ。私もログアウトしましょうか。
「私も落ちますね」
「むおっ、あやちゃんも落ちるのか。お疲れ様〜」
「お疲れ様です。あやさん」
私はメニューにあるログアウトボタンを押しました。
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