少しおかしな聖女さまのVRMMO日常記
7話 103人のプレイヤーVS金熊童子-1
7話
その戦いは、プレイヤー側からの奇襲で始まった。
アルフレッドが韋駄天の如き速さで、【金熊童子】に迫ったのだ。
キィィィィン!!という音を鳴らして、アルフレッドの剣と【金熊童子】の剣がぶつかり合う。
「死ね」
「おいおいおい…、いきなり物騒な嬢ちゃんじゃねえか…」
両者ともに互角か、それとも片側が上回っていたのか、両者ともに後ろに弾き飛ばされた。
「よくも…、あやは、あやは私の前で一度もあんな風に笑ってくれたことはないんだぞ……!」
「知るか!てか怒るなら『なぜアヤを殺した!』みたいな感じで怒れよ!お前の沸点どうなってんだよ!」
「あ"あ"?なんであやが望んで武器を捨てたのに怒る必要があるんだ?」
「あーテメェめんどくせえな!」
【金熊童子】は額に青筋を浮かべて、【デュアルインパクト】を発動させた。漆黒の剣より生じた衝撃波がアルフレッドを襲う。
しかしアルフレッドは涼しい顔をして、盾で衝撃波を受け流す。
今度はアルフレッドが攻撃に転じて、【シールドキャノン】を発動させる。
「っ!てめえ盾は投げるもんじゃねえだろ!」
【金熊童子】は漆黒の剣の腹で盾を受け止めて、正面をキッと睨む。
しかし睨んだ先にはアルフレッドは居らず、【金熊童子】が目を見開いて漆黒の剣を背中に回す。
「ッ!あっぶねえな!お前騎士じゃねえのかよ!」
「ああ、職業という名のステータス強化装置なら騎士になっているな。だからといって私は騎士道精神を重んじているわけではないぞ?」
「お前それ自国の騎士の前で言ってみろ!下手したら騎士王が出てくるレベルだぞ!」
「大丈夫だ。いう相手は弁えている。例えば言っても問題ない…、そうだな。そろそろこの世から消え去る奴、とかな」
「……上等だ。お前の方こそこの世から消し去ってやるよ!」
アルフレッドは嘲るような笑みを浮かべ、それに対して【金熊童子】は獰猛な笑みを浮かべた。
【金熊童子】は再び漆黒の剣を構えて、アルフレッドは白銀の剣と、いつのまにか手元に戻っていた盾を再び構えた。
「ははははは!!先手は譲ってやるぜ!」
「ほほう。それは有難く頂戴しておこう。では早速。【騎士道精神】」
「……あれだけ言っておいてそれを使うのかよ?」
「黙るがいい、【金熊童子】。スキルの効果だけはいいんだよ、これ」
【騎士道精神】…フレンドリーファイアを無効化する。
アルフレッドは悪魔のような笑みを浮かべて、白銀の剣を天に掲げた。
その笑みにブルリと悪寒の走った【金熊童子】は、漆黒の剣を守りの構えへと転じようとさせて––––
「な、動けないだと?!」
「ははははははは!!!悪いなぁ、今お前には【戦の誓い】というデバフがかかっている!効果はお前も知っているな?……【魔法部隊】!放てぇぇぇぇ!!」
アルフレッドは白銀の剣を振り下ろした。
「ちょ、お前ーー!!!」
「ははははは!!戦はな、勝つためならなんでもしていいんだ!例えば腰に敵兵の首を吊るして駆け回ったり同士討ちさせたりとかな」
「それ今関係ねえよ!」
そして、後方にいる【魔法部隊】の総名50人の火、水、風、土、光、闇魔法が、一斉に火を吹いた。
「クソがッ!動け…、動けるのかよ!【剣のよう––––」
キィィンと、剣と剣がぶつかり合う音が響いた。当然、その音の主はアルフレッドの白銀の剣と、【金熊童子】の漆黒の剣である。
「妨害するのは当たり前だろう?」
「……チッ。仕方ねえ、小細工なしで全部防ぎきってやらぁ!」
「やれるもんならな」
【金熊童子:105432/200000】
「【技術統合】【シェルブレイク】【兜割】」
「【流星斬り】」
【技術統合】それは名前の通りアーツを二つ同時に発動させるスキルである。アヤの持つ【魔法合成】の物理バージョンのようなものだ。
「…これでも互角か」
「素のステータスがちげぇんだよ。……それと同等のステータスじゃないお前が俺と打ち合えること自体おかしいんだよ」
「ふむ、そうなのか」
アルフレッドは剣戟を交わしながら、【シールドバーッシュ】を発動させる。【金熊童子】はソードパリィでそれを受け流し、二の手で迫った白銀の剣を弾いた。
「ゼロ」
「クソがーーッ!!」
音にならない音を立てて、全ての魔法が、【金熊童子】に着弾した。アルフレッドは【シールドキャノン】を使い、その反動で大きく後ろに下がった。
「システム的には…、なにやら【コンビネーションストライク】と言うらしいのだが、まあただのダメージとエフェクトを統合するだけのものらしいぞ」
アルフレッドは【金熊童子】がいるであろう場所を睨みつける。砂埃や水蒸気などのせいで姿は確認できないが、大ダメージを負っているのは確かだ。
「ぐっ、がはっ。耐えてやったぞ!おら!」
【金熊童子:74300/200000】
アルフレッドはHPバーを見て、大して効かなかったか、と見切りをつけてすぐさま駆け出す。
––––パーティチャットで、【物理部隊突撃】というコメントを打ちながら。
アルフレッドが見た目は満身創痍な【金熊童子】に肉薄する。それに【金熊童子】は驚いたような表情を見せた。
「はあーー?!今のは『わあ、すご〜い』とか褒めるところだろ?!」
「『わあ、すご〜い』」
「感情が篭ってねぇ!」
しかしながらも【金熊童子】の剣の重さは変わらず、アルフレッドは眉をひそめる。
(……ふむ、魔法に対する抵抗があるのか。もしくはHPは回復しないが肉体は再生するスキルを持っているのか…?)
そういえばと、アルフレッドは剣戟を交わしながら思い出した。あやに貫かれた頭は、とっくの通りに元に戻っていることに。
(つまり、肉体に作用する…毒などの状態異常は効かないということか。だが…さっきのを見る限り【盲目】とかは効くみたいだな)
「頃合いだな」
「……なにがだ」
アルフレッドはニヤリと顔を歪ませて言った。
「10分だ」
「………」
「あと10分でお前の片をつける」
「上等だ」
【金熊童子】は、先ほどまでのような雰囲気を引っ込めて、歴戦の戦士のような雰囲気を醸し出していた。そして…、笑った。
「【敗北を知らぬ愚者】」
「【鬼神の加護】」
10分間無敵になったアルフレッドと、10分間STRが二倍となった【金熊童子】がぶつかり合う。
「ははははは!!いいじゃねえか!」
「チッ。ダメージは打ち消せても衝撃は消えないか」
アルフレッドは視界の右上に表示されている自分のHPバーとSPバーとMPバーを確認する。MPバーは一ミリも減らずに残っていて、HPバーとSPバーはほんの少しだけ削れて残っている。
(そろそろか)
「いい、いい。だが……お前の剣は完成されていてつまらねえぞ!そんなんじゃ、俺を上回れないぞ!」
「……そうだな。だが私は別にお前を超えなくても問題はない」
「んだよ、つまんねえやつだな」
【金熊童子】は気づいていないようだ。
「【剛剣】」
「【金剛剣】」
自らに迫る、その影に。
「【暗闇よりあら…以下省略】!」
突然として【金熊童子】の背後に現れた何者かが、【金熊童子】の首を跳ね飛ばした。
「ぐッーー?!」
「正々堂々戦うと思ったか、アホ」
【金熊童子:52314/200000】
その戦いは、プレイヤー側からの奇襲で始まった。
アルフレッドが韋駄天の如き速さで、【金熊童子】に迫ったのだ。
キィィィィン!!という音を鳴らして、アルフレッドの剣と【金熊童子】の剣がぶつかり合う。
「死ね」
「おいおいおい…、いきなり物騒な嬢ちゃんじゃねえか…」
両者ともに互角か、それとも片側が上回っていたのか、両者ともに後ろに弾き飛ばされた。
「よくも…、あやは、あやは私の前で一度もあんな風に笑ってくれたことはないんだぞ……!」
「知るか!てか怒るなら『なぜアヤを殺した!』みたいな感じで怒れよ!お前の沸点どうなってんだよ!」
「あ"あ"?なんであやが望んで武器を捨てたのに怒る必要があるんだ?」
「あーテメェめんどくせえな!」
【金熊童子】は額に青筋を浮かべて、【デュアルインパクト】を発動させた。漆黒の剣より生じた衝撃波がアルフレッドを襲う。
しかしアルフレッドは涼しい顔をして、盾で衝撃波を受け流す。
今度はアルフレッドが攻撃に転じて、【シールドキャノン】を発動させる。
「っ!てめえ盾は投げるもんじゃねえだろ!」
【金熊童子】は漆黒の剣の腹で盾を受け止めて、正面をキッと睨む。
しかし睨んだ先にはアルフレッドは居らず、【金熊童子】が目を見開いて漆黒の剣を背中に回す。
「ッ!あっぶねえな!お前騎士じゃねえのかよ!」
「ああ、職業という名のステータス強化装置なら騎士になっているな。だからといって私は騎士道精神を重んじているわけではないぞ?」
「お前それ自国の騎士の前で言ってみろ!下手したら騎士王が出てくるレベルだぞ!」
「大丈夫だ。いう相手は弁えている。例えば言っても問題ない…、そうだな。そろそろこの世から消え去る奴、とかな」
「……上等だ。お前の方こそこの世から消し去ってやるよ!」
アルフレッドは嘲るような笑みを浮かべ、それに対して【金熊童子】は獰猛な笑みを浮かべた。
【金熊童子】は再び漆黒の剣を構えて、アルフレッドは白銀の剣と、いつのまにか手元に戻っていた盾を再び構えた。
「ははははは!!先手は譲ってやるぜ!」
「ほほう。それは有難く頂戴しておこう。では早速。【騎士道精神】」
「……あれだけ言っておいてそれを使うのかよ?」
「黙るがいい、【金熊童子】。スキルの効果だけはいいんだよ、これ」
【騎士道精神】…フレンドリーファイアを無効化する。
アルフレッドは悪魔のような笑みを浮かべて、白銀の剣を天に掲げた。
その笑みにブルリと悪寒の走った【金熊童子】は、漆黒の剣を守りの構えへと転じようとさせて––––
「な、動けないだと?!」
「ははははははは!!!悪いなぁ、今お前には【戦の誓い】というデバフがかかっている!効果はお前も知っているな?……【魔法部隊】!放てぇぇぇぇ!!」
アルフレッドは白銀の剣を振り下ろした。
「ちょ、お前ーー!!!」
「ははははは!!戦はな、勝つためならなんでもしていいんだ!例えば腰に敵兵の首を吊るして駆け回ったり同士討ちさせたりとかな」
「それ今関係ねえよ!」
そして、後方にいる【魔法部隊】の総名50人の火、水、風、土、光、闇魔法が、一斉に火を吹いた。
「クソがッ!動け…、動けるのかよ!【剣のよう––––」
キィィンと、剣と剣がぶつかり合う音が響いた。当然、その音の主はアルフレッドの白銀の剣と、【金熊童子】の漆黒の剣である。
「妨害するのは当たり前だろう?」
「……チッ。仕方ねえ、小細工なしで全部防ぎきってやらぁ!」
「やれるもんならな」
【金熊童子:105432/200000】
「【技術統合】【シェルブレイク】【兜割】」
「【流星斬り】」
【技術統合】それは名前の通りアーツを二つ同時に発動させるスキルである。アヤの持つ【魔法合成】の物理バージョンのようなものだ。
「…これでも互角か」
「素のステータスがちげぇんだよ。……それと同等のステータスじゃないお前が俺と打ち合えること自体おかしいんだよ」
「ふむ、そうなのか」
アルフレッドは剣戟を交わしながら、【シールドバーッシュ】を発動させる。【金熊童子】はソードパリィでそれを受け流し、二の手で迫った白銀の剣を弾いた。
「ゼロ」
「クソがーーッ!!」
音にならない音を立てて、全ての魔法が、【金熊童子】に着弾した。アルフレッドは【シールドキャノン】を使い、その反動で大きく後ろに下がった。
「システム的には…、なにやら【コンビネーションストライク】と言うらしいのだが、まあただのダメージとエフェクトを統合するだけのものらしいぞ」
アルフレッドは【金熊童子】がいるであろう場所を睨みつける。砂埃や水蒸気などのせいで姿は確認できないが、大ダメージを負っているのは確かだ。
「ぐっ、がはっ。耐えてやったぞ!おら!」
【金熊童子:74300/200000】
アルフレッドはHPバーを見て、大して効かなかったか、と見切りをつけてすぐさま駆け出す。
––––パーティチャットで、【物理部隊突撃】というコメントを打ちながら。
アルフレッドが見た目は満身創痍な【金熊童子】に肉薄する。それに【金熊童子】は驚いたような表情を見せた。
「はあーー?!今のは『わあ、すご〜い』とか褒めるところだろ?!」
「『わあ、すご〜い』」
「感情が篭ってねぇ!」
しかしながらも【金熊童子】の剣の重さは変わらず、アルフレッドは眉をひそめる。
(……ふむ、魔法に対する抵抗があるのか。もしくはHPは回復しないが肉体は再生するスキルを持っているのか…?)
そういえばと、アルフレッドは剣戟を交わしながら思い出した。あやに貫かれた頭は、とっくの通りに元に戻っていることに。
(つまり、肉体に作用する…毒などの状態異常は効かないということか。だが…さっきのを見る限り【盲目】とかは効くみたいだな)
「頃合いだな」
「……なにがだ」
アルフレッドはニヤリと顔を歪ませて言った。
「10分だ」
「………」
「あと10分でお前の片をつける」
「上等だ」
【金熊童子】は、先ほどまでのような雰囲気を引っ込めて、歴戦の戦士のような雰囲気を醸し出していた。そして…、笑った。
「【敗北を知らぬ愚者】」
「【鬼神の加護】」
10分間無敵になったアルフレッドと、10分間STRが二倍となった【金熊童子】がぶつかり合う。
「ははははは!!いいじゃねえか!」
「チッ。ダメージは打ち消せても衝撃は消えないか」
アルフレッドは視界の右上に表示されている自分のHPバーとSPバーとMPバーを確認する。MPバーは一ミリも減らずに残っていて、HPバーとSPバーはほんの少しだけ削れて残っている。
(そろそろか)
「いい、いい。だが……お前の剣は完成されていてつまらねえぞ!そんなんじゃ、俺を上回れないぞ!」
「……そうだな。だが私は別にお前を超えなくても問題はない」
「んだよ、つまんねえやつだな」
【金熊童子】は気づいていないようだ。
「【剛剣】」
「【金剛剣】」
自らに迫る、その影に。
「【暗闇よりあら…以下省略】!」
突然として【金熊童子】の背後に現れた何者かが、【金熊童子】の首を跳ね飛ばした。
「ぐッーー?!」
「正々堂々戦うと思ったか、アホ」
【金熊童子:52314/200000】
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