少しおかしな聖女さまのVRMMO日常記

ガブガブ

1話

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〈【お知らせ】new イベントについて


 第一回運営主催イベント【春の桜まつり】が開催されることになりました。
 ゲーム開発チームの審議の結果、【アイテム収集イベント】となりました。
 参加方法ですが、各都市の広場に置かれている【桜まつりイベント会場入り口】から参加できます。そのイベント会場に出現するモンスターを倒すことで収集対象のアイテムを獲得することができます。
 難易度は全部で【初級】【中級】【上級】【超級】【極級】に分かれています。
 モンスターの討伐によるアイテム獲得数は、難易度が上がるごとに上昇します。


 本日の現実時間午後十二時より行われるアップデートを楽しみにお待ちください。




 new 本日の大型アップデートについて


 本日午後十二時から本日午後十九時までアップデートを行います。
 追加要項
 ・『課金ガチャ』『チケットガチャ』『特殊ガチャ』の追加
 ・フレンド機能の追加、フレンド同士のメール、チャットの追加
 ・第一回運営主催イベント【春の桜まつり】の開催


 こちらの都合によりアップデート等が長引く可能性があります。ご了承ください〉


 ふむ、現在の時刻は午前九時…。あと三時間ですか。イベントは楽しみなのですが…、アップデートの間の時間、何をしましょうか。


 春休みの課題やレポートはすでに終わってますし、部活も入ってないですし、遊んでくれるような友人もいませんし…。ついでに仕事も休みですしね…。
 私は【第二都市】にある喫茶店で、ウンウンと唸っていた。
 あ、見たらわかると思いますが、今さっき私は【第二都市】に入りました。そのとき私の通行証を見た門番さんが顔を青くしたり、頬を赤く染めたりしていたんですが、何かあったんでしょうか?
 まあそんなことはどうでもいいですね。


 あ、ちなみにですがあの【草狼】を倒しても、スキルレベルはほんの少しだけ上がりましたが、新しい魔法の獲得にはなりませんでした。残念です、はい。【狼の天敵】という称号は獲得しましたが。


「店員さん会計をお願いします」


 私が声をかけると、店員さんが駆け寄ってきて、私に代金が書かれた紙を渡してきました。そこにはフレンチトースト×8枚、そして2400エンと書かれていました。
 意外とここのフレンチトーストが美味しくて…、ついですね…。
 私はメニューを操作して、その書かれた金額分、店員さんにエンを渡します。使い道のなかったエンの使い道がようやくできましたよ。
HPは【自己修復】でなんとかなりますし、MPは【HP変換】でなんとかできるんですよね。装備はこの【純白】シリーズでなんとかできてますし…ん?なぜか100/100のところが点滅してますね。
 私はそれをポチッと押してみました。


《【純白のベール】【純白のローブ】【純白のグローブ】【純白のシューズ】が進化可能です。進化先を見ますか?YES/NO》


 …ふむ、進化ですか?たしか説明欄に「穢れを知らない純白の〜〜。何色にでも染まることができる、いわば初期状態」と書かれていましたよね。
 つまり【純白】シリーズが何色に染まったかによって進化先が違う…、面白そうですね。見てみましょうか。
 私はYESをタップします。


《【進化先一覧】
・【鮮血】シリーズ
・【白桜】シリーズ
・【氷結】シリーズ
*今後の行動次第で進化先が増える可能性はあります》


 ……なんですか【鮮血】シリーズって。まるで私が危ない人みたいじゃないですか。私別にくふさんの腕を斬り飛ばしたりはしましたが、くふさんみたいに人の血を啜ったりなんかしてませんよ?
 それにしても、【白桜】シリーズに【氷結】シリーズですか…。とても心惹かれますが、今はやめておきましょうか。また進化先が増えると書かれていますし。


 ……正直なことを言えばこの三つとも露出の度が過ぎているんですよね。着たがる人なんていませんよ。きっと。




 ––––さて、確認も済ませましたしこの都市を探検しましょう!ついでに住人たちに挨拶も済ませましょうか。
 私の推測では【聖女】になるためには住人たちからの信用度なども関係していると思うんですよね。あくまでも推測の域を出ませんが。


「また来ますね」


 私は笑顔で店員さんにそう告げて、喫茶店を後にしました。






「ふむ…、【第二都市】は商人の都市、ですか」


 私はベンチに座りながら、住人さんたちから教えてもらった情報を整理しています。
 この都市、意外と広くて二時間半くらい探索しても四分の一も調べることができませんでした。
 とはいっても重要そうな施設はマークしておいたのですが。
 ここの都市には【第一都市】にはなかった【商業ギルド】や【銀行】、【スキル屋】などがあるそうです。
 【スキル屋】は見つけられたのですが、買うことのできるスキルはどれもスキルポイントで交換できるもので、しかも値段は法外なものでした。…いえ、スキルポイントを使わずにスキルを獲得できるのならば、安いほうなんでしょうね。きっと。




 そろそろ十二時になりますし、ログアウトしますか。私はメニューにあるログアウトボタンを押しました。








「やあ、リリア、アリス。久しぶりだね」


 こんにちは、それともこんばんはかな?それともそれともおはようございますかな?
 ワタシの名前はソフィー。【三大賢者】の一人で【大賢者】と呼ばれているものだ。よろしく頼むよ。ん?ああ、ソフィアでも構わないよ。


「ん、久しぶり。ソフィー」


 この必要以上に喋らさそうな奴が、リリアだ。【三大賢者】の【森の覇者】と呼ばれていて、ワタシが信頼している四人のうちの一人である。
 容姿はまあ、【森の神ハイ・エルフ】さまさまだなぁというところだ。要するに美しい顔立ちをしている。簡潔に言えば金髪碧眼である。…身体が小柄なこともあって、美しいというより可愛いという言葉の方が似合うのだが。


 ちなみに本人にそのことを告げると半殺しにされる。1匹のエルフが前に彼女にそう告げてしまったその瞬間、そのエルフは上半身しか存在していないのに生きているという謎現象が起こったからな。


「…久しぶりじゃな。ソフィーよ」


 この偉そうに喋っているやつがアリスだ。【三大賢者】の【教皇】と呼ばれていて、リリアと同様、ワタシが信頼している四人のうちの一人である。
 彼女は【天神族:有翼種】という貴重な種族であり、それを隠すためにこの世界で一番多く信仰されている宗教の【教皇】をやっている。
 容姿はまあ…、白色の髪を腰のあたりまで流していて、そして妖しく爛々と光っている水色の瞳。
 そしてまるで天使のような…、––––いや天使より位は上なのだが––––純白の一対の翼を持っている。
 リリアとは違い、アリスは出るところは出ていて、引っ込むところは引っ込んでいる。身長もそこそこある。


「––––一番遅く来たのに偉そうにするのは御免なさいなんだけど、要件は何かな?リリア、アリス」


 ワタシは用意されている椅子に座り、ワタシがここに呼ばれた理由を尋ねた。


「……新たに生まれた7柱の【幻獣】…いや、【瑞獣】についてじゃよ」
「……そう。一応聞くけど【カイチ】【キュウビ】【霊亀】【鳳凰】【応竜】【麒麟】【白澤】の卵が生まれたのは知ってるよね?」
「それはもちろん」


 なんせワタシの弟子がそのうちの一柱だからね!把握しているのは当然じゃないか!


「知ってるなら話ははやい。あれらは祝福を与えてくれる時もあるが、基本的に破滅しかもたらさない。いつもどうり殺して【卵の因子】を【奪う】か、それとも放置するか、どっちにする?」
「………【カイチ】に手を出すのはワタシが許さないよ」
「…ふむ、なるほどな。お主が弟子を取ったと風の噂で聞いたのじゃが…、其奴か。お主の弟子は」
「ああ、そうさ。なにか問題でも?」
「くくっ。そう憎まれ口を叩くな。ならば今回は【静観】だな」


 なんだか全てを見通すはずのワタシが、アリスに見透かされているような気がして、彼女から目を背けてしまった。


「…了解。その旨を伝えておく」


 リリアは一瞬で紙飛行機のようなものを作り出し、なにかを記すと、それに息をふうっと吹きかけた。
 すると紙飛行機のようなものは一瞬でリリアの手から消え去った。


「––––で、要件はそれだけ?」


 それだけならさっさと帰ってアヤの様子を盗撮––––いや、観察していたいんだけど。


「くくっ。そう焦るな焦るな。久しぶりに茶会でもどうじゃ?珍しい茶葉が手に入ってのぅ」
「……えー。ワタシそこまでお茶に興味は…」
「お主の可愛くて天才ですばらしい弟子について聞かせて欲しいのじゃが」
「それならもちろんいいよ!さあ、さっそく用意したまえ!」


 アリスとリリアは思った。私たちの前だとソフィーは相変わらずチョロいな、と。



















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