少しおかしな聖女さまのVRMMO日常記
6話
6話
ウロボロス––––たしか、古代の象徴の一つで、自身の尻尾を噛んで円のような形になった龍のこと、そしてはじめにも言った生と死を司り、全知全能と呼ばれる龍、でしたよね。
ウロボロスが意味するのは……、不老不死、永劫回帰、始原、矛盾、永遠、でしたよね。他にも何かあった気がしますが…、まあ今は置いておいていいでしょう。
マジレスしますとこの世界はやはり人の手で作られたデータです。
人の手によって作られたということは、このウロボロス––––爺龍さんも、何かしらの文献などを参考にして作られているはずです。
今私たちがいる空間はおそらく、私とくふさんとこの爺龍さんを除いて、永遠と同じ時間を繰り返していると思われます。
その根拠は、私たちがこの空間に囚われてから太陽の位置が変わっていないことです。もう一つは、一定の時間おきに全く同じ光景が繰り返される、という点です。こちらの方はあくまでも私の推察ですが。
例えば、風が吹いたとき、草花は揺れますよね。そして風が止むと、草花は揺れなくなります。
この空間では、風が吹いては草花が揺れ、そして風は止み、草花は揺れなくなる。
それが一定の時間おきに、繰り返されているんです。
もしかしたらただの偶然かもしれませんがね。
––––おそらくこれが、【永劫回帰】の力と推測できます。【永劫回帰空間】とでも呼びましょうか。
残るは不老不死、始原、矛盾、永遠ですね。
不老不死は、爺龍さんが決して死なないし決して老いないと捉えるとして、始原、矛盾、永遠ですか…。
永遠はつまり、終わりがない、繰り返すこと、でしょうか。
それを力として見るならば、終わりがない、つまり…、なんでしょうか。
…繰り返すを力として見るならば…、生誕と死、でしょうか?そうくるならば破壊と創造もですが…。
うむむむ…、【生誕と死】そして【破壊と創造】が【永遠】の力と仮定しましょうか。
あとは始原と矛盾になりますが、正直何も浮かびませんね…。
たしかこの前読んだファンタジー小説とやらに、載っていた「矛盾するものは世界に否定される」やら「矛盾エネルギー」みたいなものを【矛盾】の力と思っておきましょうか。
……始原、ですか。全ての始まりみたいな意味しかありませんよね…。
これだけは詳細不明、推測不明としておきましょうか。
結論。【永遠】推測通りの力ならば、それ使われては私たちが3秒以上もつなんて無理です。
諦めましょう。…というのもやっぱり悔しいんですよね。
観点を変えましょうか。私が今使えるものは【魔力操作】に【氷魔法】に【空間魔法】くらいです。あとは【紅桜】ですが…、これは先ほど通用しませんでしたし、無理ですね。
とりあえずスキルレベルを上げるために全部使っちゃいましょうか。
……どうせ一撃で死ぬならくふさんに回復を掛け続けて、【氷魔法】や【空間魔法】を爺龍さんにぶっ放して【HP変換】で魔力を回復させて【自己修復】でHPを回復させて余った魔力でまた【氷魔法】や【空間魔法】を爺龍さんにぶっ放して…、それを繰り返して死にたいですね。
これは全部やるとして…、少しでも長く生き残る方法を考えましょうか。
そういえば…、くふさんで思い出しましたが【遊戯世界】では、死に際に【回復魔法】を使うと、運が良ければ––––というよりプレイヤースキルですね が––––生き残ることができたはずです。
このゲームでは【自己修復】を覚えたものは自身に【回復魔法】を使えないはずなので、必然的に【自己修復】を使うことになりますが。
【遊戯世界】と【エヴァーラスティング・ワールド】の制作会社は同じなはずです。
もしかしたら、それ––––たしか名称は【瞬間蘇生】でしたっけ––––が出来るかもしれません。
それを試してみましょうか。
それをするには、相手の攻撃のタイミングを見計らわなければなりません。
今からの予測だと、爺龍さんは3秒保ったら報酬をくれると言いました。
つまり、3秒以内に攻撃が来るということです。
まあ、タイミングは直感に任せてみましょうか。
とりあえず今回は、あれを使いましょうか。
《エイドロンクエスト:【ウロボロスの遊戯】が開始されました。経過時間および与ダメージによって、報酬が変動します》
「【氷の針:対象:爺龍:消費MP300】【空間固定:対象:爺龍:消費MP100】【魔陣術】【詠唱待機:1秒:自己修復:対象:Aya:消費MP1200】【詠唱待機:1秒:回復超:対象:kufurinn:消費MP400】」
1秒。
私は【詠唱待機】––––【魔陣術】Lv1で覚えられるもの––––を二つの魔法で発動させる。
これで【瞬間蘇生】は問題ないと思われます。
あとはさっき言った無限ループを繰り返すだけです。
《【氷魔法】の––––。【空間魔法】の––––。【魔陣術】の––––。【魔力操作】の––––。【種族レベル】の––––》
ふっふっふっふ。敵が敵なだけでどんどんレベルが上がりますね。
くふさんは––––やばいですね。矢の雨、でしょうか。暗色に輝く矢を雨のように爺龍さんに振らせていました。弓道まったく関係ないですよね…。
しかもその合間に、【魔法】ではない【魔法】のようなもの––––【妖術】でしょうか––––をまるで弾丸のようにぶっ放しています。
2秒。
《【詠唱待機】解ほ––––》
その言葉が聞こえた次の瞬間、私の視界が黒一色で染まりました。
おそらく、ブレスがなにかでしょうね。あたりは埃っぽくなってますし、砂塵でも舞ったのでしょう。
というか、視界が元に戻りませんね。もしかして、これってバグ扱いされるんですかね?
3秒。
『ほっほっほ。【幻獣の卵】とはいえ、まだまだ未熟。3秒は酷であったか––––』
4秒。
「––––信じてましたよ、あやさん。ナイス援護です」
トスッ
矢が、柔らかい何かに突き刺さった音が聞こえました。
グチュッ
5秒。
視界は晴れませんが、音から推測するに、柔らかい部分––––ウロボロスの眼、かどこかに刺さったのでしょうね。
聴覚が働いているということは、私も回復しているということですね。
「【氷の針:対象:爺龍:消費MP300】【空間固定:対象:爺龍:消費MP100】【自己修復:消費MP1000】【詠唱待機:1秒:回復超:対象:kufurinn:消費MP400】【HP変換】」
6秒。
今度は【詠唱待機】の【自己修復】ではなく、通常詠唱の【自己修復】でループを繰り返します。
あ、視覚が元に戻りましたね。
私はチラリと爺龍さんを見ます。そこには、眼に矢が刺さった状態で、呆然としている姿がありました。
7秒。
……レベルアップのウィスパーアナウンスがうるさいですね…。
矢の雨、魔法の雨、その殆どが効いていないと思われるのに、なぜか爺龍さんは動こうとしません。
8秒。
『かッ。かかかかかかかかか!!!!まさか世界に綻びを作るとは思わんかったわ!そして儂に、傷を負わせるなど、想定しておらんかった。』
してやられたと、爺龍さんはこちらを見つめてきました。
9秒。
ピキリ、どこからか、ヒビの入る音が聞こえました。
私は追加で【探知】を発動させます。この世界において、魔素がないところは存在しません。ソニアさんが言ってました。
ということはつまり、魔素がないところは、すでに空間としての機能を失っているということになります。
「……なんですか、それ。反則じゃないですか……」
ピキリピキリと、この空間全てに、亀裂が走っていきます。
10秒。
『かっ、かかかかかかかか!これを使うつもりなぞなかったが…。使わせて貰うぞ。【空間崩壊】』
そんなの、この空間に入った時点で終わりじゃないですか!むっきぃぃぃ!
地団駄を踏みたくなりますが、その地面もすでに崩壊しているんですよね。
視界の右上に表示されているバーが、どんどんと赤く染まっていって––––私の視界は暗転しました。
《エイドロンクエスト:【ウロボロスの遊戯】が終了しました。【タイム:10秒:与ダメージ:122/error】報酬が付与されます》
ウロボロス––––たしか、古代の象徴の一つで、自身の尻尾を噛んで円のような形になった龍のこと、そしてはじめにも言った生と死を司り、全知全能と呼ばれる龍、でしたよね。
ウロボロスが意味するのは……、不老不死、永劫回帰、始原、矛盾、永遠、でしたよね。他にも何かあった気がしますが…、まあ今は置いておいていいでしょう。
マジレスしますとこの世界はやはり人の手で作られたデータです。
人の手によって作られたということは、このウロボロス––––爺龍さんも、何かしらの文献などを参考にして作られているはずです。
今私たちがいる空間はおそらく、私とくふさんとこの爺龍さんを除いて、永遠と同じ時間を繰り返していると思われます。
その根拠は、私たちがこの空間に囚われてから太陽の位置が変わっていないことです。もう一つは、一定の時間おきに全く同じ光景が繰り返される、という点です。こちらの方はあくまでも私の推察ですが。
例えば、風が吹いたとき、草花は揺れますよね。そして風が止むと、草花は揺れなくなります。
この空間では、風が吹いては草花が揺れ、そして風は止み、草花は揺れなくなる。
それが一定の時間おきに、繰り返されているんです。
もしかしたらただの偶然かもしれませんがね。
––––おそらくこれが、【永劫回帰】の力と推測できます。【永劫回帰空間】とでも呼びましょうか。
残るは不老不死、始原、矛盾、永遠ですね。
不老不死は、爺龍さんが決して死なないし決して老いないと捉えるとして、始原、矛盾、永遠ですか…。
永遠はつまり、終わりがない、繰り返すこと、でしょうか。
それを力として見るならば、終わりがない、つまり…、なんでしょうか。
…繰り返すを力として見るならば…、生誕と死、でしょうか?そうくるならば破壊と創造もですが…。
うむむむ…、【生誕と死】そして【破壊と創造】が【永遠】の力と仮定しましょうか。
あとは始原と矛盾になりますが、正直何も浮かびませんね…。
たしかこの前読んだファンタジー小説とやらに、載っていた「矛盾するものは世界に否定される」やら「矛盾エネルギー」みたいなものを【矛盾】の力と思っておきましょうか。
……始原、ですか。全ての始まりみたいな意味しかありませんよね…。
これだけは詳細不明、推測不明としておきましょうか。
結論。【永遠】推測通りの力ならば、それ使われては私たちが3秒以上もつなんて無理です。
諦めましょう。…というのもやっぱり悔しいんですよね。
観点を変えましょうか。私が今使えるものは【魔力操作】に【氷魔法】に【空間魔法】くらいです。あとは【紅桜】ですが…、これは先ほど通用しませんでしたし、無理ですね。
とりあえずスキルレベルを上げるために全部使っちゃいましょうか。
……どうせ一撃で死ぬならくふさんに回復を掛け続けて、【氷魔法】や【空間魔法】を爺龍さんにぶっ放して【HP変換】で魔力を回復させて【自己修復】でHPを回復させて余った魔力でまた【氷魔法】や【空間魔法】を爺龍さんにぶっ放して…、それを繰り返して死にたいですね。
これは全部やるとして…、少しでも長く生き残る方法を考えましょうか。
そういえば…、くふさんで思い出しましたが【遊戯世界】では、死に際に【回復魔法】を使うと、運が良ければ––––というよりプレイヤースキルですね が––––生き残ることができたはずです。
このゲームでは【自己修復】を覚えたものは自身に【回復魔法】を使えないはずなので、必然的に【自己修復】を使うことになりますが。
【遊戯世界】と【エヴァーラスティング・ワールド】の制作会社は同じなはずです。
もしかしたら、それ––––たしか名称は【瞬間蘇生】でしたっけ––––が出来るかもしれません。
それを試してみましょうか。
それをするには、相手の攻撃のタイミングを見計らわなければなりません。
今からの予測だと、爺龍さんは3秒保ったら報酬をくれると言いました。
つまり、3秒以内に攻撃が来るということです。
まあ、タイミングは直感に任せてみましょうか。
とりあえず今回は、あれを使いましょうか。
《エイドロンクエスト:【ウロボロスの遊戯】が開始されました。経過時間および与ダメージによって、報酬が変動します》
「【氷の針:対象:爺龍:消費MP300】【空間固定:対象:爺龍:消費MP100】【魔陣術】【詠唱待機:1秒:自己修復:対象:Aya:消費MP1200】【詠唱待機:1秒:回復超:対象:kufurinn:消費MP400】」
1秒。
私は【詠唱待機】––––【魔陣術】Lv1で覚えられるもの––––を二つの魔法で発動させる。
これで【瞬間蘇生】は問題ないと思われます。
あとはさっき言った無限ループを繰り返すだけです。
《【氷魔法】の––––。【空間魔法】の––––。【魔陣術】の––––。【魔力操作】の––––。【種族レベル】の––––》
ふっふっふっふ。敵が敵なだけでどんどんレベルが上がりますね。
くふさんは––––やばいですね。矢の雨、でしょうか。暗色に輝く矢を雨のように爺龍さんに振らせていました。弓道まったく関係ないですよね…。
しかもその合間に、【魔法】ではない【魔法】のようなもの––––【妖術】でしょうか––––をまるで弾丸のようにぶっ放しています。
2秒。
《【詠唱待機】解ほ––––》
その言葉が聞こえた次の瞬間、私の視界が黒一色で染まりました。
おそらく、ブレスがなにかでしょうね。あたりは埃っぽくなってますし、砂塵でも舞ったのでしょう。
というか、視界が元に戻りませんね。もしかして、これってバグ扱いされるんですかね?
3秒。
『ほっほっほ。【幻獣の卵】とはいえ、まだまだ未熟。3秒は酷であったか––––』
4秒。
「––––信じてましたよ、あやさん。ナイス援護です」
トスッ
矢が、柔らかい何かに突き刺さった音が聞こえました。
グチュッ
5秒。
視界は晴れませんが、音から推測するに、柔らかい部分––––ウロボロスの眼、かどこかに刺さったのでしょうね。
聴覚が働いているということは、私も回復しているということですね。
「【氷の針:対象:爺龍:消費MP300】【空間固定:対象:爺龍:消費MP100】【自己修復:消費MP1000】【詠唱待機:1秒:回復超:対象:kufurinn:消費MP400】【HP変換】」
6秒。
今度は【詠唱待機】の【自己修復】ではなく、通常詠唱の【自己修復】でループを繰り返します。
あ、視覚が元に戻りましたね。
私はチラリと爺龍さんを見ます。そこには、眼に矢が刺さった状態で、呆然としている姿がありました。
7秒。
……レベルアップのウィスパーアナウンスがうるさいですね…。
矢の雨、魔法の雨、その殆どが効いていないと思われるのに、なぜか爺龍さんは動こうとしません。
8秒。
『かッ。かかかかかかかかか!!!!まさか世界に綻びを作るとは思わんかったわ!そして儂に、傷を負わせるなど、想定しておらんかった。』
してやられたと、爺龍さんはこちらを見つめてきました。
9秒。
ピキリ、どこからか、ヒビの入る音が聞こえました。
私は追加で【探知】を発動させます。この世界において、魔素がないところは存在しません。ソニアさんが言ってました。
ということはつまり、魔素がないところは、すでに空間としての機能を失っているということになります。
「……なんですか、それ。反則じゃないですか……」
ピキリピキリと、この空間全てに、亀裂が走っていきます。
10秒。
『かっ、かかかかかかかか!これを使うつもりなぞなかったが…。使わせて貰うぞ。【空間崩壊】』
そんなの、この空間に入った時点で終わりじゃないですか!むっきぃぃぃ!
地団駄を踏みたくなりますが、その地面もすでに崩壊しているんですよね。
視界の右上に表示されているバーが、どんどんと赤く染まっていって––––私の視界は暗転しました。
《エイドロンクエスト:【ウロボロスの遊戯】が終了しました。【タイム:10秒:与ダメージ:122/error】報酬が付与されます》
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