少しおかしな聖女さまのVRMMO日常記

ガブガブ

4話

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 私のステータスは今、こうなっています。


〈名前:Aya 性別:女 種族:天魔:羊人LV12/40
職業:回復術師Lv5
HP:854/1220
MP:3020/3720
SP:720/720
STR:5
INT:56(136)
VIT:1
DEX:24(27)
AGI:1(4)
LUC:1
残りステータスポイント:22→0
《装備》
頭:【純白ベール】(【INT+3】【浄化】)
胴:【純白のローブ】(【HP+500】【浄化】)
手:【純白のグローブ】(【DEX+3】【浄化】)
脚:【純白のローブ】
靴:【純白のシューズ】(【AGI+3】【浄化】
武器:世界樹の杖:白桜(【INT+1】【MP+500】【不壊】)
武器2:【紅桜】(【INT+3】【回帰】)
アクセサリー1:なし
アクセサリー2:なし
アクセサリー3:なし
《スキル》
〈全種族共通語Lv-〉〈奇襲攻撃Lv-〉
慈悲者ザドキエルLv2〉〈回復魔法Lv12〉〈詠唱破棄Lv10〉〈魔陣術Lv1〉〈鑑定Lv10〉〈魔力操作Lv15〉〈杖術Lv1〉〈短剣術Lv5〉〈空間魔法Lv12〉
《控え》
〈反転Lv1〉〈氷魔法Lv3〉
残りスキルポイント:7
《加護》
【大賢者の庇護】
《称号》
【春の精霊】【魔の探求者】【大賢者の弟子】(INT+5)〉


 ステータスポイントを獲得していたので、とりあえずINTに極振りします。


 ––––さて、早速続きをしましょうか。
 今度は100MP消費の【回復ヒール】ではなく、新しく獲得した【回復:強】と【回復:超】を使ってみましょうか。


「おそらく、くふさんの【部位欠損】を治せる【回復魔法】はLv50くらいで解放されると思うんですよね」


 くふさんの顔が、この世の終わりに直面したかのような顔になりました。


 別にそんな顔をする必要もないと思いますが…。


「いやあのですね、くふさん。私も別に好き好んでこれをしているわけじゃないんですよ?」


「そんな笑顔で言われても説得力ありませんよっ!」


 ……この笑顔はくふさんを怖がらせないようにと、作ったものでしたが…、逆効果でしたか。


「ふむ、そうですか。ならば、無表情で…」


 私は作った笑みを消して、無表情でくふさんを見つめます。


「こっちの方がいいですか?」


「始めのでお願いしますぅぅぅ!」


 ……泣いちゃいますよ?無表情になっただけでそんな絶叫するなんて…。


 私は表情を無表情から笑顔に変えて、くふさんの左腕の断面に、手を当てようとして–––


 その時、私の【探知】がこちらに近づいてくる何かを捉えた。


「ごめんなさい、くふさん。一旦中断です」


「へ?え、あ、はい」


 私は空を見上げます。


「……?どうしたんですか、あやさ––––っ?!これは…!」


 突然くふさんの目が赤く染まり、なぜか目を抑えて苦しみだした。


 ……側から見ると目が、目がぁぁぁ、ってやってたあの人に見えますね…。


 ほんの数秒経ったあと、くふさんは瞳を赤くして、息を荒くした状態で、こちらを見てきました。


「…一応言っておきますが、これは私のスキルの代償ですので。別に目が、目がぁぁぁ、ってやってる人の真似ではないですよ?」


 エスパーですか、くふさん。


「……はあ。––––今発動した私のスキルは【未来視】と云うものでして、発動条件は所有者に危険が近づいた時、というものなんです」


 …なにやら凄そうなスキルですね。効果は良さそうですが…、代償がちょっと恥ずかしそうですね。


「––––今こちらに、空を飛ぶ蛇が––––」


「……ちょっと遅かったですね。その空飛ぶ蛇––––いえ、「竜」でしょうか。ちょうど私たちの真上の上空にいますよ」


 私と同じように、くふさんも空を見上げます。


「……?居ませんが…」


 ……くふさんには見えていないようですね。
 私は【探知】と【魔力視】の応用で、それ––––「竜」を捉えることができていました。


 白色の体を持つ竜。黒色の体を持つ竜。それが、太陽を背景にして、おおよそ高度3000mあたりのところに、います。


 大きさはそこまでないのか、私でも捉えられています。…いやまるで、わざと私が捉えることができるようにしているような…。


 私と、白色の竜の視線が、交差しました。


 私にとっては、それは予想外のことでした。私たちとの距離が、3000mほどもあったのにも関わらず、目が、合ったのです。
 ギラギラと、金色に光っている瞳。それと合った瞬間、私の腰は面白いようにストンッと抜けてしまいました。
 ぺたりと、地面に座り込んでしまいます。


「っ?!ひっ…」


 まるでライオンに、いやそれ以上のなにかに睨まれたような感覚。
 声も発することも、息をするのも許させないような、そんな錯覚に陥ってしまった。


 その竜から、目を離すことができない。目を離した瞬間に殺される。なぜか、そう思っだてしまったから。


 そして白色の竜と、黒色の竜が、ゆっくりとこちらに向かって降下してきました。
 白色の竜と黒色の竜が、ニヤリと、笑ったような気がしました。


「っあ、あやさん?どうしまし、た、か」


 おそらく、【魔力】の塊––––精神的生命体のようなものだった白色の竜と黒色の竜が、輪郭を成して、はっきりとした存在感を作って––––つまり、肉体を作り、顕現しました。


 くふさんも、気づいたようです。あの、圧倒的な存在感に。


「……白龍に、黒龍、ですか?」


 くふさんがボソリとそう呟きました。
 ……中国の、伝説の龍でしたっけ…。
 白龍が、たしか龍たちの王で、黒龍が、白龍の対になる存在でしたっけ…。


 どんどんと、まるで遊んでいるかのように、ゆっくりと降下してくる白龍と黒龍。


 くふさんも、ついにはぺたんと地面に座り込んでしまいます。


 ほんの数秒––––私には、永遠のように感じられた––––経ち、白龍と黒龍が、全くと言っていいほど音を立てずに、地面に着陸しました。


 白龍と黒龍は鎌首を上げてこちらを見つめてきます。


 …ああ、ここで私殺されるんですね……。


 私は腰に差していた【紅桜】を引き抜きます。
 私は足だけに魔力を集中させて、無理やり立ち上がりました。


《【魔力操作】からマジックアーツ【身体強化:脚】が派生しました。…獲得に成功しました》


 くふさんはすでに生きることを諦めていたようで、目を閉じて俯いていました。
 急に立ち上がった私に気づいたのか、くふさんは驚いた表情でこちらを見つめてきます。


 …どうせ死ぬなら一矢報いてやるのが人間でしょう!


「ふッ!」


 私は【紅桜】を思いっきり白龍に向かって投擲しました。


 なにを思ったのか、白龍は口元のあたりを面白そうに––––おそらく––––歪めて、飛んでいく【紅桜】にふっと息を吹きかけました。


 たったそれだけで、【紅桜】は勢いを失い、地面に落下していきました。


「…【回帰】」


 私はそう呟いて、白龍を睨みつけます。


 くふさんもいつのまにか私のように立ち上がっていて、【魔力】を使用していない、魔法のようなものを黒龍に向かって解き放っていました。


 当然、私と同様にその魔法のようなものは黒龍がふっと息を吹きかけただけで、消えてしまいました。


『ほっほっほ。まさか儂の圧を喰らっても立ち上がった挙句に、攻撃を仕掛けてくるもの豪胆なものがおるとは。【旅人】とやらも捨てたものではないのう』


 白龍が、喋りましたっ?!チラリと黒龍の方を見ると、くふさんとなにかを話しているように見受けられます。


『…なにを驚いた顔をしておる。儂は全生命体の頂点に君臨するものぞ?喋れて当たり前であろう』


 突然、白龍がこちらに向かって手のようなものを伸ばしてきました。


 チラリと、くふさんの方を見ると、黒龍も同じように、くふさんに手のようなものを伸ばしていました。


 私とくふさんの考えは同じだったようで、それから必死に逃れようと駆け出します。


『……なぜ逃げるのだ』


【何ゆえ逃げるのだ】


 なぜ、と聞かれても、それは生物的本能が逃げろ!!と囁いているからに決まっているでしょう!


 しかしながら、ステータスの差か、図体の差か、もしくは両方か。
 その手のようなものは、私たちを掴もうとして––––




「ようやく侵入できたよ。––––このクソジジイが。お前みたいな超次元生命体がなにワタシの弟子モノに手ェだそうとしてるんだよ」




 突然私の目の前に、ソニアさんが現れて、その手のようなものを消滅させてしまいました。


「っ!ソニア、さん?!」


「ごめんね、君の旅にあんまり・・・・介入するつもりはなかったけど、こいつらが出てくるなら話が別なんだ」


 そう言ってソニアさんは、白龍に向かって手を構えました。


 …ソニアさんがいるのなら、多分安心ですね…。


 私はチラリとくふさんの方に視線を向ける。


 そこには、この場には不釣り合いなコック帽、コック服、そして赤色のエプロンをつけた大柄の男性が、くふさんを脇に抱えて、黒龍にフライパンを向けている姿がありました。




「わての弟子になにしようとしやがった!挽肉にすんぞオラァ!!」




 この人が、【料理王ガゼル】さんでしょうか。
 なんか……キャラが濃い人ですね…。



















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