最弱印と失われた神話

ノベルバユーザー356021

最弱印と特訓

 朝の五時。まだ日が出てまもない時間帯の頃に三名の女子生徒が、ジャージ姿で街を走っている。その遥か先に一人の男がYシャツ姿で走っていた。








「遅い………。遅いぞ、お前ら」


 グレリアーズ学園の校庭で二人の女子生徒が、肩で息をしながらへばっていた。帝園祭で優勝する事を目標にした三人は早朝と放課後、レヴィア先生と特訓する事にしたのだった。


「……先生が早いんですよー」


「ほんとそれ……。はぁはぁ、先生になる前はニートだったんじゃないんですか?」


 アンジェルは、地面に尻をついて座っていて、今にも倒れそうな感じだ。アルマに限っては、地面に倒れていた。


「大体、魔術特訓に走る必要あるんですか?」


「あ?意味あるに決まってんだろ。魔術戦って言うのは、二通りの戦い型がある。一つは、スピードで相手の隙に付け込む戦いと、一発一発で、相手を吹っ飛ばす戦い型だ。んでだ、学生には力勝負は無理だから、スピードで上回るしかないんだよ。そのためには、基礎体力と的確な状況判断力が必要なのっ」


「うぅ~~、そうなんですか~??」


「そ、だから毎朝これを続けるぞ」


「「毎朝~~」」


「当たり前だろ……。てか、レスティアを見習え!!アイツ走り終わったあと、すぐに訓練道具持ってきてくれてるんだぞ。……てか、レスティアは体力が、かなりあるんだな?」


 それを聞いたアルマは、まるで自分が褒められたように胸を張っている。


「んふふ~、当たり前ですよ。レスティアはこの学園で一番運動が得意なんですよ~」


「…………そうか」


(それにしても、あれは本当に学生の体力……なのか??)


 レヴィアがした特訓は軍にも採用される過酷なランニングだった。それを余裕で走り終わり、休憩する間もなく、訓練道具を持ってきますね、と言って学園の中に入って行ってしまったのだ。


(学園一位は、当たり前として軍の中でもあんな体力の奴、そうそういないぞ?)


 レヴィアが考えていると、長方形の箱を持ったレスティアが走って来た。


「これで、合ってますか?」


「おう、サンキューな」


「いえ、特訓に付き合って貰ってるので当たり前のことですよ」


 言いながらレスティアは箱を地面に置いた。アルマはその箱を覗きながら不思議そうにレヴィアに聞いた。


「その箱の中はなんなんですか~?」


「剣だ」


「「剣??」」


 アンジェルとアルマは嫌そうな顔をして、レヴィアの事を見た。


「魔術戦の特訓をするんじゃ無いんですか??」


「だから言ったろ。お前らにはスピードと判断能力が必要なんだよ。剣術が上手くなれば、判断能力が高まるし、ちょっとした小回りも効くようになるの!!……ほらっ!ブーブー言ってないで剣を持つっ」


 そう言うと、レヴィアは一回レスティアを見て、頭を掻きながら悩んでいる。


「あー、…………レスティアお前は後ででいいか?」


「え?」


 二人が驚いていると、レスティアは頷いた。


「ええ、別にかまいませんよ」


「そうか、……悪ぃな」


「なんでレスティアは後でなんですか~?」


 アルマがしゃがんで、剣を持ちながら聞くと、レヴィアはレスティアを見ながら難しい顔をしている。


「いや…………、勘違いなら悪いんだけど、お前軍剣、習って無かったか?」


「ええ。その通りです。…………流石レヴィア先生ですね」


 軍剣とは言葉の通り、軍人が振るう剣術で、速い動きで勝負を決める学生剣術とは違い、多少の傷は我慢して、強力な一撃で勝負を決めるやり方が軍剣の主流。
 なのだが、軍剣は、基本的に身体が出来てる男が振るう剣術であり、学生の、ましてや女子生徒が振るう剣術では無い。


(……だが、軍剣を習ってるなら、あの体力も納得ができる。……しかし、……普通、女に軍剣を習わせるか??)


「先生、軍剣ってなんですか??」


 アルマが不思議そうにしならがら、レヴィアとレスティアの顔を見ている。


「軍剣って言うのは、軍人になる為に必要な剣術のことだ」


「凄いじゃないですか!?レスティアは軍剣ができるんですか??」


 レヴィアは目をキラキラさせている、アルマを見てため息をついている。


「……レスティアには悪いが、軍剣は辞めとけ。軍剣は簡単に言うと、肉を切らせて骨を断つ、剣術だ。女の細腕なんかで振るえねぇーよ」


「そうなんですか~~??」


「でも、レスティアは振るえるみたいじゃないですか!私達も訓練すれば振るえる様になると思いますが??」


「レスティアは魔属印の、相性が良いからな」


  闇の魔属印はスピードは無いが、攻撃力と防御力が優れている。闇属印の戦い型は、基本的に物体や自身に付与して、近距離で戦うので、軍剣と相性が良い。


(……だからと言って、まだ習わす剣術じゃないだろ)


「先生??早く、特訓を始めますよ!」


「お、おう。そうだな。」








 レヴィアと、アンジェル達の剣術特訓が始まるんだった。























































「最弱印と失われた神話」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く