身の覚えの無い妹が出来てしまった。しかも、誰も存在を認知できないんだから驚きだ!いやーどうしよう、HAHAHAHAHA!!・・・どーすんのよ、マジで・・・。

がおー

107C 「見渡す限りの赤い砂漠の風景。」

地上は、僕が、魔王退治をしていた頃の面影は無くなっていた。

「な・・・何なのかな・・・?これ・・・私達の居た世界・・・こんな風になっちゃっているの?」

千尋ちゃんは困惑している。

「・・・世界中旅しましたけど、こんな場所無かったですよね・・・。それに、この赤い砂・・・何か、血みたいで気持ちが悪いです・・・」

千歳ちゃんも気味悪がっている。

赤い砂、そして、それで覆われている赤い砂漠。千歳ちゃんが連想する様に、赤い砂が血の様なものだったとしたら、この世界は血で覆い尽くされた地となる。

実際、この辺りを漂う魔力瘴気じゃ、普通の生命は死に絶えるだろう。

まさに、ここは死の大地だった。

「・・・・・魔族だって、こんな、生気の無い場は作りません。ここは・・・どこなのでしょうね?。私がお兄様を助け出しに行った時は、城の近くの古塔の地下にお兄様は封印されていました。

だとすれば、古塔は朽ちてしまったにせよ、ここは、皆さんが知っているはずの、城の周辺の草原地帯だと思うのですが・・・」

ソルフィちゃんも、変貌した世界を見て狼狽している。

「・・・もう、何百年も、何千年も経ったかもしれないのだろう?・・・良く僕の体や魔力が尽きなかったとは思うけど、ともかく、この世界の現状を知る為の手がかりを探そう」

僕は、周囲を見渡す。魔力により、視力は双眼鏡を覗く様に、遠くを視る事が出来る。

すると、ずっと遠くに、何かドーム状の建物が見える。

「・・・あっ・・・遠くに建物が見えたのだけど・・・」

「分かるよ、お兄ちゃん。お兄ちゃんが見ているもの、私にも見えてるから」

千尋ちゃん達にも見えているのなら説明するまでも無い。

「・・・・・あれは、何かな?明らかに、千尋ちゃん達の世界にあった建物とは違うね」

「そうですね、ソルフィ達の世界では見覚えがありません・・・。寧ろ、お兄様の世界の方で見覚えがある感じがします。どこかのイベント用施設のドームというか・・・」

ソルフィちゃんも同じ感想を抱いている様だ。

「・・・・・・・あそこに行ってみようと思う。もしかしたら、人が住んでいるかもしれないし、とにかく、ここに居ても、快適に過ごせそうも無い」

僕が提案すると、三人は良いねと賛同してくれた。

このままここに居るのは埒が明かないというのは皆も一緒らしい。

僕は魔力を使って、砂漠の上を半ば空中を滑空する勢いで駆けた。

4~5時間は駆け続けただろうか、ドームの目の前に到着した。

ドームは赤い砂漠の上に立っていた。コンクリートの様な材質で出来ている様に見え、そして、建物全体が汚れ、傷だらけで、所々の壁が砕けていたり、穴が開いていたりしていた。

どこが入り口かは分からないが、穴が開いているので、侵入する分には、入り口を探す必要も無さそうだ。

それにしても、木や石作りの建物しかなかったのに、ずいぶんと文明が発達した様に見える。

「・・・・・・到着したのですけど・・・何か人住んで無さそうですね」

ボロボロのドームを見て、千歳ちゃんは感想を漏らす。

「・・・どうしちゃったんだろう・・・私達の世界・・・。こんな真っ赤な砂漠に、酷い魔力瘴気、そして、このボロボロの建物・・・まるで・・・」

と言いかけて、千尋ちゃんは口を継ぐんだ。・・・その後の言葉は大体予測がつく。

「・・・・・人が住めない場所になり果ててしまった様ですわね・・・ソルフィ達の世界は・・・」

・・・・・・そう、この生気を感じない世界を見ていたら、そうとしか思えない。

何か異変があったのだろうか?この世界は。

「ともかく、この建物の中に入ってみよう。誰か人が住んでいるかもしれないし、そうじゃないにしても、この世界が何でこうなってるか、見当がつく本か何かの情報があるかもしれない」

僕がそう言うと、3人はそうだねと同意してくれた。

だから、早速、壁に開いた穴から、ドームの中に入ってみる事にした。


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