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身の覚えの無い妹が出来てしまった。しかも、誰も存在を認知できないんだから驚きだ!いやーどうしよう、HAHAHAHAHA!!・・・どーすんのよ、マジで・・・。

がおー

86.「エルフ千尋ちゃんはひとしきり泣いた後、『僕』の胸から離れた。」

『・・・あ・・・有り難うございます・・・。お陰で・・・落ち着きました・・・。』

『そうか、良かったよ・・・』

先は大泣きしていたのが嘘の様に、泣き止んでいた。

『あの・・・お兄ちゃん達は、・・・いえ、お兄ちゃんは強いですよね。オークの軍団を、強力な魔法一つ二つで、あっさりやっつけちゃって・・・
ウチの村の人だって、力自慢の男の人や、腕利きの狩人の人も居たのに、皆やられちゃったのに、瞬殺でした・・・
何者・・・なんですか・・・?』

おずおずと『僕』にたずねるエルフ千尋ちゃん。

『え・・・と、その・・・お兄ちゃん・・・って僕・・・?』

『・・・?・・・はい』

お兄ちゃんと呼ばれた事に照れてるのか、どこか顔を赤らめている『僕』。我ながらキモいな。しかし、千尋ちゃんよ、初対面の人に
お兄ちゃんなんて、あざといぞ。

『何、デレデレしてるんですか、お兄さん』

『いでっ!』

『僕』のわき腹に肘を当てる剣士千歳ちゃん。

『ここに、御座す方は、魔王を討伐する為に異世界から召還された勇者様です。強力な魔法も異世界人の勇者様の力です。ねっ・・・お兄さん』

『・・・あ、ああ、うん、ちょっと照れるけど。そういう事だよ・・・』

ビシッと、姿勢を正して、『僕』を紹介してくれる剣士千尋ちゃん。その顔は、どこか誇らしげだ。『僕』の事を自慢したいという風に。

『え・・・勇者・・・様・・・。あの・・・毎回、魔王に挑んで、負けてばっかりという、あの・・・』

『今までの勇者は、そもそも魔王に挑む前に逃亡したりしてるぽんこつばかりですから。この勇者様は違いますよ、今までの勇者より、魔法力もダンチですよ、最強です』

鼻息をふんすふんす鳴らしながら、自慢げになる剣士千歳ちゃん。・・・他者の自慢をするのは、ちょっと情けないぞ、千歳ちゃん。

『そうなんですか・・・。魔王を・・・。そう・・・。・・・お兄ちゃんは勇者様なんだ・・・とても強いし・・・それに・・・』

エルフ千尋ちゃんは、うんうん言って『僕』を見た。

『・・・・・・・・何だい?』

『僕』は困惑したかの様にエルフ千尋ちゃんを見る。

エルフ千尋ちゃんは『僕』の顔を見続け、そして、何かを決意したかの様に『僕』の方を向いた。

『あの、勇者様、私も勇者様の魔王討伐に連れてください!!』

『えっ!!』『ええっ!!』

『僕』と剣士千歳ちゃんは、驚いて、エルフ千尋ちゃんを見る。

『・・・あの!、私、多少弓矢は出来ますし、炊事洗濯も出来ます!。きっと、お兄ちゃんの力になれると思うんです!足手まといにはなりませんから!!だから・・・!!』

『『えええええええええええええ!!!』』

『僕』と剣士千尋ちゃんは、さらに驚いて声を上げる。

『ちょ・・・ちょっと、エルフさん、これ、遊びじゃないんですよ。私達本気で魔王を戦っているんですよ。危険なんですよ!』

『・・・大丈夫です、お兄ちゃんが来なかったら、私、死んだ様なものだから、だから、お兄ちゃんに、役に立たせて欲しいんです・・・っ!お願いします!!』

エルフ千尋ちゃんはぺこりと『僕』に頭を下げた。

『・・・いや、君が、僕に役に立てる事なんて、無いと思うよ・・・』

『・・・お願いします!!・・・村の皆は、私を邪険に扱っていたのに、そんな私を助けてくれた、お兄ちゃんの役に立ちたいんです・・・・』

『僕』は断るが、エルフ千尋ちゃんは折れない。

『・・・・・・チトセちゃん・・・・・・・』

『駄目ですからね』

『僕』は剣士千歳ちゃんに目を配らせるが、剣士千歳ちゃんはとんでもないという風に口を尖らせる。

『・・・ともかく・・・ともかく、ここを出て、最寄の町へ行こう。それから今後の事を考えようじゃないか。それで良いだろう?・・・ええと・・・君の名前は・・・?』

『チヒローゼです』

エルフ千尋ちゃんは答えた。エルフ千尋ちゃんの本名はチヒローゼというらしい。

『じゃあ、チヒローゼちゃん、行こっか』

『僕』がエルフ千尋ちゃんに手を差し伸べると、期待が答えられたかの様にエルフ千尋ちゃんは顔を微笑ませて、

『・・・はい!』

と、『僕』の手を握り返した。

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