身の覚えの無い妹が出来てしまった。しかも、誰も存在を認知できないんだから驚きだ!いやーどうしよう、HAHAHAHAHA!!・・・どーすんのよ、マジで・・・。

がおー

85.『場は焼き跡が所々残る集落に写った。』

『駄目です・・・生存している人は居ません・・・お兄さんの方は・・・?』

『駄目だね・・・誰も居ない・・・』

集落の奥からやってきた剣士千歳ちゃんに『僕』は答えた。

『僕』の腕にエルフ千尋ちゃんがしがみ付いていた。

エルフ千尋ちゃんはふるふる震えている。

『・・・君・・・、すまないが・・・誰も生きていないらしい・・・』

『・・・そう・・・ですか・・・』

エルフ千尋ちゃんはカチカチ歯を震わせながら、ボロボロになっている集落を見回す・・・。

『・・・あのさ・・・誰か、身寄りのある人は居るかい?居るなら、僕達がそこまで送り届けよう』

『僕』はエルフ千尋ちゃんを気遣う様に言った。

『いえ・・・私、この村から外に出た事無いですし、・・・身寄りは・・・居ません・・・。』

エルフ千尋ちゃんはぎゅうと『僕』を掴む手の力を込めた様だった。

『・・・そうか・・・何と言えば良いのか・・・』

『・・・でも、良いんです、私、この村に人々から、好かれていませんでしたから・・・』

『え・・・?そうなのかい?』

『はい・・・、だから・・・あまり悲しくありません・・・』

エルフ千尋ちゃんは、感情が無い様な、あるいは正の負の感情が複雑に織り交ざったかの様な、生気の無い微笑みを『僕』らに浮かべた。

その笑みはどこか強がっている様に見えた。

『・・・私、要領悪くて、皆から外に出ていけば良いって、笑われながら言われてました。親や兄弟も・・・だから悲しくないんです。』

微笑みながら言葉を続けるエルフ千尋ちゃん。そして、また微笑みを絶やさず言葉を続ける。

『いつか、追い出されるかもって・・・思っていたから、だから弓矢の練習もしていましたから、オークが襲い掛かった時、戦えて、生き延びる事が出来ました・・・村の皆が私を虐めてくれたお陰です』

微笑みを絶やさないエルフ千尋ちゃん、だが、その目からは一滴、二滴と水滴が零れ落ちていた。

『え・・・えふっ・・・えぐっ・・・ざまあみろ・・・ざまあみろ、みんな・・・みんな・・・みん・・・』

感情が押さえ込めなくなったのか、ぼろぼろと泣き出したエルフ千尋ちゃんに、『僕』は肩を抱きしめた。

『・・・え・・・?ええ・・・?』

エルフ千尋ちゃんは困惑した声を呻き出した。

『・・・辛かったな・・・君。・・・頑張ったな・・・君』

『僕はエルフ千尋ちゃんの肩をぽんぽんと叩いた。

『うえっ・・・・・うえええっ・・・・ええええええええ!!!』

『僕』の言葉に、感情が決壊したかの様に、エルフ千尋ちゃんは、『僕』の脇の胸の辺りに、自分の顔を押し付けて、わあわあと泣き出したのだった。

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