身の覚えの無い妹が出来てしまった。しかも、誰も存在を認知できないんだから驚きだ!いやーどうしよう、HAHAHAHAHA!!・・・どーすんのよ、マジで・・・。

がおー

59.「お風呂、よろしくお願いします!お兄さん!」

「はいはい、こちらこそよろしく。」

早朝、僕らは風呂場に居た。もちろん、お互い水着姿。僕が海パンで自称従兄弟はビキニだ。

自称妹以上に露出度が広い水着で、直視するのも、恥ずかしい。

「どいしたんです?お兄さん、ちゃんと私の顔を見て下さい。体も見て下さい。」

自称従兄弟は、僕の思いを知ってか、しきりに僕の視界に入ろうとする。

「はいはい、自重してくれよ、千歳ちゃん」

僕は、内心、自分が興奮してしまわないか、冷や汗をかきながら、呆れている大人のフリをした。

今考えれば、僕、良くもまあ、自称妹との入浴で、興奮せずに済んだものだ。

「ではでは、私の体を洗って下さいな?お兄さん?」

自称従兄弟はにこりと何か期待してそうな顔で微笑んだ。


シャンプーを手に取り自称従兄弟の髪を塗りつける。

「ん、んー・・・」

「大丈夫か?髪引っ張ってないか?痛くないか?」

自称従兄弟の髪は長いから、どうも、洗い方がわからない。ちゃんと洗えているか、不安だ。

「大丈夫ですよ、気持ち良いです。」

そう、自称従兄弟は答えた。

良かった。ちゃんと洗えている様だ。

「うふふふ」

自称従兄弟は気持ち悪く笑う。

「どうしたんだ?」

「いえね、水着を着ているとは言え、裸んぼに近い状態でお兄さんと二人っきりで居れて

こう、興奮しますね。

何か、いけない秘め事が起きそうで、ドキドキしてます」

と宣った。

僕は自称従兄弟の後頭部をチョップした。

「あてっ」

「あんまり、変な事言うんじゃありません」

呆れた口調で言ったが、この異常なシチュエーションに胸(と、その他一部の肉体の部位)に高揚感を感じているのは僕も同じだ。

僕は自称従兄弟を気に止めず、努めて淡々と髪を洗う事にした。

乙女の髪だ。丁寧に大切に洗ってやらなきゃいけない。

湿めらせた上でもサラサラだろうと分かるぐらい、キューティクルだ。

「髪、綺麗だな」

そんな感想が、自然と流れ出た。

「そ、そそそそそそ、そうです!?」

僕が誉めたとたんに、全身をびくりと震わせ、喜びの混じった声を放つ。

「ふへ、ふへへへふへふへほへ、そりゃー、まあ、お兄さんに振り向いて貰うために、私なりに手入れしてるつもりですからねー」

うきうきの声色だ。

「そうなのか?」

「そうです!、ちゃんと髪を傷めないように、髪の毛の流れに沿って洗ってるんですよー」

自称従兄弟の密かに励んでいた努力が垣間見れた。

「そ、そうか。どうも有り難う。」

「いえ、こちらこそ誉めてくれて有り難う御座います!」

困惑気味な僕に自称従兄弟はぴしっとお礼を言った。

そうかあ、女の子は大変なのだな。

「なあ、僕の髪の毛洗い方、これで本当に大丈夫か?」

「はい、気持ち良いです。丁寧に洗ってくれている事が分かります。嬉しいです」

自称従兄弟は僕の洗い方に不満が無い様だった。

そのまま、黙々と自称従兄弟の髪にシャンプーを刷り込む作業が続く。

「どうしたんだ?君ならもっと、あれこれ騒ぐものと思っていたんだが。」

「まあ、お兄さんはこれからお仕事ですもんね。色々お楽しみしたいですけど、今は控えめにしておきます」

と自称従兄弟は言った。

「君、千尋ちゃんに先を譲ったり、僕の仕事に配慮したり、割りと気が利き家だなあ。」

「そ、そうです?うふ、有り難う御座います!」

自称従兄弟は嬉しそうに喜んだ。

「まあ、今だって無理言って仕事もあるのに

お風呂ご一緒になってますからね。わがままは言えません」

「殊勝だなあ」

「えへ、有り難う御座います。」

自称従兄弟はただただ感謝するばかりだ。

「はいはい、シャンプーを流そうな。目を瞑っててな。」

「はい」

僕は自称従兄弟の長い髪からシャンプーを流し落としたのだった。

その後、リンス等を着けて、また洗い落とした。

自称従兄弟は終始おとなしくいてくれたのだった。

「身の覚えの無い妹が出来てしまった。しかも、誰も存在を認知できないんだから驚きだ!いやーどうしよう、HAHAHAHAHA!!・・・どーすんのよ、マジで・・・。」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

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