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身の覚えの無い妹が出来てしまった。しかも、誰も存在を認知できないんだから驚きだ!いやーどうしよう、HAHAHAHAHA!!・・・どーすんのよ、マジで・・・。

がおー

53.「お兄さん、卵焼き食べたいです」

僕の膝の上で、自称従兄弟は卵焼きをねだる。

「はいはい」

僕はちゃぶ台にある皿から卵焼きを箸で摘まむと、自称従兄弟の口の中に入れた。

「んー、美味しいです。」

自称従兄弟は卵焼きを噛み締める様に食べた。

あのイオンモールの戦いの後、まあ、大変だった。

自称従兄弟は足を挫いて歩けないから家までお姫様抱っこして帰ったし、家に帰ったら帰ったで自称従兄弟が「足が痛くて歩けないので介護して下さい~」と駄々こねるし、それを見て、自称妹は頬を膨らませるし、そもそも公園でのゴーレムとの初戦で、全身擦り傷だらけの筋肉痛だし。

「うふうふ、次はソーセージお願いします。」

「むう~・・・」

横から、何か怨念エネルギーを感じた。

振り向くと、自称妹が膨れっ面でこっちを見ている。

「お兄ちゃん」

「何だい?」

「お兄ちゃんも擦り傷と筋肉痛ばかり何だから、誰かの介護が必要だよね?」

「いや、必要ないよ」

「必要だと思うよ?」

自称妹が恨めしそうにじっと僕を見つめている。

「さあ・・・何だ?君が僕を介護してくれるのか?」

大体自称妹が言いたそうな事は察したので、僕から聞いてみた。

「うん!したい!」

自称妹はにっこり微笑んだ。

ちょっとため息が出そうだった。愛されているんだな、僕は。

「じゃあ、介護頼むよ・・・して、何をしてくれるんだ?」

「私がお兄ちゃんのご飯食べさせるよ。千歳さんにご飯あげてて、お兄ちゃん自身はご飯食べれてないから。だから、私がお兄ちゃんにご飯食べさせる。」

と言って自称妹は卵焼きを箸で摘んだ。

「あ、それなら、私が・・・」

自称従兄弟が間に入ろうとするが、

「だめだめ。千歳さんは重体なんだから、しっかりお兄ちゃんにお世話して貰わないと駄目だよ?。その代わり、傷だらけのお兄ちゃんをケアするのは私」

と自称妹はふふんと笑った。

「・・・ま、仕方無いですねえ。ここは譲りましょうか・・・。」

渋々自称従兄弟は引き下がる。

「じゃあ、お兄ちゃん、あーんして。あーん。」

「はいはい、あーん」

僕は口を開いてやった。

「目、瞑って」

自称妹は微笑みを絶やさず言った。

目瞑って?何故だ?箸移しで食べさせるだけなのに?

「何で?」

「いいから。お願い。」

自称妹は上目使いで頼み込んでくる。

・・・こいつ、色仕掛けでもしているつもりか?

「分かった、分かった。変な事するなよ?」

「うん、有難う。」

僕は自称妹の言う事に従ってやった。

目を瞑った。

「じゃあ、お兄ちゃん、あーん」

「はいはい、あーん」

口を開ける。

自称妹は僕の口に卵焼きを入れるつもりだろう。自称妹の言葉通りなら。

僕は目を開けてみる事にした。

目の前には・・・卵焼きをくわえた自称妹がいた。

「うわあ!」

「むぎゅー!」

お互い目を合わせて驚く。

「な、何なんだ!千尋ちゃん!顔近いって!」

僕がその場から遠ざかろうとした時、ぐるっと、自称妹の腕が僕の首に回った。

「んむー!んむー!」

自称が迫ってくる。

迫ってくるのを、何とか、何とか、手でガードをし、自称妹を引き剥がした。

「おひいちゃん・・・」

自称妹は口をもごもごしている。

「何をするんだ!」

「んむ・・・お兄ちゃんの介護・・・卵焼き、あげようって、口に含んで・・・」

「箸で寄越しなさい箸で」

「んむー・・・」

「何なんだ?君まで千歳ちゃんみたいになったのか?お兄さんは悲しいぞ」

僕は泣いているジェスチャーをした。

口移しをしようなんて、何でこんなに積極的なんだ。というか、こういうスキンシップ、過激化している気がする。

「あー、惜しかったねー、千尋さん、次は私にやって欲しいです。今千尋さんがやったのをお兄さんから私に」

と言って自称従兄弟は目を瞑って口をあんぐり開けた。

「するか!」

と言って僕はプチトマトを自称従兄弟の口に放り込んでやった。

自称従兄弟は咳き込んだのでだった。

「身の覚えの無い妹が出来てしまった。しかも、誰も存在を認知できないんだから驚きだ!いやーどうしよう、HAHAHAHAHA!!・・・どーすんのよ、マジで・・・。」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

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