身の覚えの無い妹が出来てしまった。しかも、誰も存在を認知できないんだから驚きだ!いやーどうしよう、HAHAHAHAHA!!・・・どーすんのよ、マジで・・・。

がおー

31.「自称従兄弟は僕の家に居候を願い出た。 」

自称妹はそれに反対した。

その結果はと言うとだ。

「有り難うございます!お兄さん!」

自称従兄弟は深々と僕に頭を下げた。

自称妹は不満そうに僕を見ている。

こういう事だ。自称従兄弟も居候させる事にした。

だって、突然現れた自称妹は居候オッケーで、暫くしない内に現れた自称従兄弟は駄目なんて言えないだろう。

これで狭い家がより狭くなる。まあ仕方ないね。

「お兄ちゃん・・・私、夕飯の仕度するね」

自称妹は不機嫌そうに台所へ行った。

機嫌を損ねたらしい。

「台所・・・。あの、炊事は、千尋さんがやっているんですか?」

「ああ、任せている。何でも僕の食生活が乱れているからだとさ。」

「そうなんですか。千尋さんがお兄さんの食事を」

自称従兄弟はむむむと唸って眉間を歪ませた。

「おーい、千尋ちゃん、作る量は三人前で頼むぞ」

「・・・うん!解った!お兄ちゃん!」

一応、忠告しておく。あいつは自称従兄弟を歓迎してないみたいだからな、変な嫌がらせをされても困る。

まあ、とにかく、とにかくだ。

「これから暫く、いつまでは解らんけど暫くは同居人という事になる。よろしくな?千歳ちゃん。」

「・・・っ。はい!その・・・お兄さんの迷惑にならない様に気を付けます!こちらこそよろしくお願いします!」

と、自称従兄弟はびしっと背筋を伸ばし畏まって言った。

まあ、居候が一人増えた所で何も変わるはず無い。誤差だよ!誤差誤差!。

「さて、千歳ちゃん」

「何です?」

「千尋ちゃんがご飯作っている間、少しお話しないかい?。もうちょっと千歳ちゃんと僕との関係を聞きたい。千歳ちゃんも僕に聞きたい事があるだろう?」

そう言ったら、自称従兄弟はこくりと頷いた。

「そうですね・・・私とお兄さんの関係・・・従兄弟同士とは言いましたけど・・・何を話しましょうか。」

「ほらっ、例えば、今まで僕と千歳ちゃんとのエピソードとか、どういう風に出会ったのかとか」

「昨日言った様に私とお兄さんは従兄弟同士です。小さい頃からお兄さんの実家に良くお邪魔していました。一緒に遊んで貰っていた記憶があります。お兄さんが町に出てきて私の家にも近いので、今はお兄さんのアパートに良くお邪魔してます」

頬な手を当て、少し照れた様に自称従兄弟は語り出した。

「相当、僕と君は仲が良かった様だね。普通、僕ぐらいの年齢の男と君みたいな女子高生って話も合わないと思うけど・・・。」

彼女の知る僕はどんな人物だったのか?。

「あはは・・・。お兄さんは、色々私の事応援してくれて、良くしてくれたから、お兄さんの人徳ですよ?今の高校だって、仕事もあるだろうに、

お兄さんが私の受験勉強を付きあってくれた結果ですから。」

にこっと自称従兄弟は微笑んだ。

「そうなんだ。良い奴なんだな。僕は。」

「はい、良くして貰ってます・・・お兄さんが居てくれたから、私、色々成長出来たと思うんです。剣道も初めたのもお兄さんの一声でしたし。」

と自称従兄弟は目の前で素振りし始めた。

「剣道?そりゃあ、立派だね。部活も入っているんだ。」

「はい、そこそこ腕に自信あるんですよ?大会でも一、二回戦は勝てますし・・・」

「へえ、割とやるじゃないか」

「有り難うございます!へへへっ」

誉めてやると自称従兄弟は顔をとろりと破顔して照れた様だった。

「千歳ちゃんは立派だなあ、僕が君ぐらいの歳の頃と比べたら、立派だ」

「お兄さんのお陰ですよ。」

ふふっと自称従兄弟は笑い、そして、僕に抱きついて来た。

「うぇっ!!?」

「はっ!?」

僕は仰天した。

僕が仰天した後に自称従兄弟も仰天した様だ。

「す、すいません。いつも誉めて貰えた時は、こうやって、甘えさせて貰ってるんです。・・・つい、癖で・・・。」

顔を真っ赤にさせながら自称従兄弟は慌てて己の行為の弁解をする。

「あ、ああ・・・。そうか、・・・気にしないでおくね」

僕も努めて冷静に言った。

「えっと・・・はい、気にしないで下さい。」

自称従兄弟は少し迷った風に答えた。

まっ、こんな事する奴はもう一人うちに居る、慣れているのだから・・・。

と台所の方の自称妹に目を向けると、自称妹がこちらを凝視していた。

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